豊かな自然の中でのんびり暮らす動物たちに出会える可能性のある、知床の美しい風景とアクセス方法をご紹介します。
<目次>
「知床」地名の由来は“大地の突端”
知床(Googleマップ)は、北海道の道東にある、オホーツク海に向けて上に突き出ている半島です。知床という名前の由来は、アイヌ語の「シリエトク」。「シリエトク」とは「大地の突端」という意味です。海に突き出た半島の形をよく表していますね。
半島の真ん中を知床連山の山々が貫き、原生林に覆われている知床は、まさに地の果てという感じがします。
知床国立公園。「世界自然遺産」の表記もあります(2019年7月撮影)
世界自然遺産に登録された理由は、北半球の中で最も低い緯度で流氷が見られること、その影響を受けて陸と海の生態系が相互に関係し合い、生物多様性を保つ意味で特に重要な地域であることです。この豊かで貴重な生態系を未来に向けてずっと残していくべきと判断されました。
知床半島の入口にあるオシンコシンの滝
それでは知床半島の見どころを紹介していきます。知床半島へのアクセスは、網走からオホーツク海沿いに進むルートと、標津から根室海峡沿いに進むルートがあります。オホーツク海沿いに国道334号線を進んでいくと現れるのがオシンコシンの滝(Googleマップ)です。 滝の深さは30メートル、その美しい姿から日本の滝100選のひとつにも選ばれています。国道沿いから滝の全景を見上げられますし、遊歩道を上がれば別のアングルからも滝を望むことが可能です。
知床観光の拠点、ウトロ
オシンコシンの滝から、オホーツク海沿いに進んだ先にあるのがウトロ地区。多数の宿泊施設があるウトロ温泉や、観光船が発着する港など知床観光の拠点となっています。知床観光案内コーナーに掲示された道路や観光に関するインフォメーションボード(2019年7月撮影)
知床の大自然を心ゆくまで満喫できる知床五湖
ウトロ地区からオホーツク海沿いをさらに奥へ進みます。アップダウンが大きくカーブも多い道なのでレンタカーで移動する場合は十分注意して運転してください。ウトロから30分ほど走ったところにあるのが知床五湖(Googleマップ)。ここでは知床の大自然を満喫することができます。
知床五湖は、その名の通り5つの湖からなります。湖の名前は一湖から順番に五湖まで。知床半島の尾根にあたる知床連山の山々と原生林の中にたたずむ湖を望めます。 5つの湖すべてを周遊する遊歩道があり、昔は自由に歩いて観光できましたが、知床が世界自然遺産に登録されたのを機に高架木道が整備されました。現在は知床五湖フィールドハウスを起点として高架木道を歩いて観光する形になります(無料)。
以前の遊歩道(地上遊歩道)については、ヒグマ活動期(5~7月まで)は事前にガイドツアー(有料)の申込みが必要。その他の時期についても知床五湖フィールドハウスでレクチャー(有料)を受けた人のみ歩くことが可能です。 高架木道は片道800メートル、車いすでも回ることができるよう考慮されています。5つの湖のうち一湖のみが鑑賞可能です。 のんびりと歩いていくと、右手に知床連山を望むビューポイントが現れます。お天気に恵まれると、知床連山の雄姿を眺めることができます。 知床連山のビューポイントからさらに先へ進むと、原生林の向こうにオホーツク海を見ることが可能です。 高架木道の終点には、知床連山をバックに一湖を一望できるビューポイントがあります。 お天気に恵まれれば、湖と山の美しさを満喫することができますよ。 ちなみに地上遊歩道は二湖と一湖をまわる小ループが1.6キロメートルで約1時間半、すべての湖をめぐる大ループが3キロメートルで約3時間のコースとなります。
散策中、野生動物に会えるかも……
世界自然遺産である知床の主役は、ここに暮らす動物たち。知床五湖の高架木道を散策しているとエゾシカなどの野生動物に会えるかもしれません。 またヒグマ活動期に訪れると、状況によってはヒグマの姿を見かけることがあります。 ただし知床五湖でヒグマが出てきたときは観光客の安全を最優先とするため、地上遊歩道は歩行禁止となります。その場合は高架木道をゆっくり歩いてみてください。知床峠で絶景を望む
知床半島の先端にあたる知床岬へ行く道路はなく、オホーツク海側は知床五湖の先にあるカムイワッカ湯の滝までしか行くことができません。根室海峡側にまわるためにはいったんウトロに戻って知床峠横断道路(国道334号線)で知床峠を越える必要があります。知床峠(Googleマップ)は標高738メートル。お天気がよければ知床連山の美しい風景や海を楽しむこともできます。 ただし、お天気が悪いと霧がかかり、何も見えません。残念ながら天気はコントロールできませんので、そのときは再訪を期して安全に峠を下りましょう。
羅臼では、シャチやクジラに会えるかも……
知床峠を越えた先にある町が羅臼(らうす・Googleマップ)。羅臼昆布でよく知られる港町です。 羅臼からは、知床半島沖の根室海峡に向けて観光船や小型船のクルーズが運航されています(一部はウトロからも観光船が出航)。 羅臼港を出航した観光船は、左手に羅臼灯台がある崖など知床半島の陸地が見える所をしばらく進んだ後、根室海峡の沖合へ繰り出していきます。 羅臼港を出航してから約1時間ほどの沖合で観光船がスピードをゆるめます。船長さんの案内に従って海を見つめると、そこにはシャチの泳ぐ姿が!実は根室海峡の沖合には野生のシャチやクジラ、イルカが暮らしています。観光船・小型船に乗ってシャチやクジラ、イルカの姿を見に行くアクティビティが人気を集めています。 根室海峡のシャチは5月~7月上旬頃、マッコウクジラは6月中旬~10月中旬によく見られるとのこと。相手は生き物ですので必ず見られるものではありませんが、羅臼まで足を伸ばしたらぜひ観光船・小型船にも乗ってみることをおすすめします。
日本最北に位置する世界自然遺産、知床の魅力をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
アクセスは便利ではありませんが、手つかずの大自然と共生する動物たちに会える可能性がある知床で、のんびりと旅を楽しんでみてください。
知床へのアクセス
地図:Googleマップアクセス:
<飛行機> ・女満別空港から網走バス・斜里バス共同運行の「知床エアポートライナー」(1日2便、約2時間10分)でウトロ温泉へ。
または網走バスで網走駅まで乗車し(約30分)、JR釧網線に乗り換えて知床斜里駅へ。斜里バスターミナルから斜里バス(約50分)でウトロ温泉へ。
・根室中標津空港から根室交通バス(約10分)で中標津バスターミナルへ。阿寒バス(約1時間半)に乗り換えて羅臼へ。
・JR、バス共に本数が非常に少ないため、時刻表を十分確認した上で利用してください。
<鉄道> ・釧網線 知床斜里駅下車。駅正面にある斜里バスターミナルより、斜里バスでウトロ温泉へ。
JR、バス共に本数が非常に少ないため、時刻表を十分確認した上で利用してください。
<車>
・女満別空港より国道39号線で網走へ、国道244号線、国道334号線を経由してウトロへ。女満別空港からウトロまで約100キロメートル。
・根室中標津空港より道道経由で国道335号線に入り、羅臼へ。羅臼から国道334号線で知床峠を越えてウトロへ。根室中標津空港からウトロまで約120キロメートル。
【関連サイト】
・知床の観光情報(知床斜里町観光協会)
・知床五湖(環境省)
・知床羅臼観光協会
◇「北海道の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで北海道の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
◇「日本の世界遺産」に、「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。