涼を呼び暑さをしのぐ! 「夏を涼しく過ごす」知恵と工夫
涼を呼び暑さをしのぐ
五感で涼を呼ぶ
人の五感を総動員して涼を呼ぶ知恵の中には、今の暮らしに取り入れられるものもあります。南部鉄の風鈴の音色で涼しさ倍増。卓上ならエアコンの風でも楽しめます。画像は「駿河竹千筋細工 置き風鈴 初風 25」
夏の風物詩である風鈴は、ガラス製、陶器製、金属製など色々な素材があり、音色も素材によってさまざまですが、無機質なサーキュレーターや扇風機と違い、どれもそこにあるだけで目と耳を涼やかにしてくれます。ぜひ好みのものを見つけてみてください。
夏用のお香や精油
お香の中には、夏をテーマにした香りもあります。香合で焚くだけにとどまらず、扇子やうちわに焚き染めたり、そのまま巾着袋に入れて持ち運ぶなど、楽しみ方も多様です。一度お店を覗いてみては?
また、掃除にも使える「薄荷(ハッカ)」の精油もおすすめ。薄荷と同じミントの一種で、夏におすすめのアロマ・ペパーミントは、なんと体感を4度も下げる効能があるとか(※1)。洗剤液に2~3滴足して拭き掃除をすると涼感も得られますよ。
※1:公益社団法人日本アロマ環境協会「アロマでクールダウン」より
手のひら冷却
手足を冷水に浸す手浴や足浴で涼を取るのも昔からの知恵。こちらは科学的に涼を取る効果があることが証明されています。水温はひんやり感じる程度がおすすめ。冷たすぎると逆効果です。
首筋や脇を冷やす熱中症対応ほどの効果はありませんが、予防効果が期待できそうです。冷たいもの(ペットボトルでも氷でも)を手のひらで握るだけでOK。暑さの中でスポーツをする選手も行っています。
冷水を入れた洗面器に手のひらを浸ける手浴で涼を取る
夏は、陶器の花瓶やお皿をガラス製に取り替えると涼やかな雰囲気になります。「小さな子どもがいるから落として割るのではないか……」と心配な方は、透明なアクリル製のものを使ってみて。
打ち水~最も効果的な実践術とは
打ち水には効果的なやり方がある
打ち水は、地表の熱を逃がし、その影響で風が起きることにより涼感を得ることを目的としたものですが、現代の検証からいくつかのコツが挙げられています。
・時間帯は朝や夕方。日差しの強い時間帯ではすぐに蒸発し、逆に蒸し暑くなるだけで体感的に逆効果。
・できれば土に撒く。打ち水の効果を左右するのは、素材が含むことのできる水分の量。土や植物など天然素材の方が良く、コンクリートやアスファルトはすぐに蒸発するため、あまり効果を期待できません。
・日向より日陰に。効果が持続しやすいのは日陰。昔はよしず(すだれ)の内側にできる日陰に撒くと良いといわれました。
・残り湯や溜めた雨水を「たっぷり」と。節水の意味で江戸時代から伝わっている流儀です。もったいないからと少量撒くと効果はいまいち。思いっきり撒くのがポイントです。
ひんやりおしぼり
暑い中の外出から戻った時に冷たいおしぼりで手を拭くと気持ちよくて生き返った気分に
逆に熱くしたホットタオルも、冷房の効いた室内で使ったら一気に汗が引き、血行も良くなるのでエステや美容院でよく使われますね。こちらは熱いお湯や電子レンジで温めて使います。
行水(水浴び)
今ではシャワーを浴びたり、子どもたちがビニールプールで水遊びをしていますが、昔の人は「たらい」等に水を入れて体を洗ったり浴びたり、手ぬぐいで濡らしたりして夏の暑さをしのぎました。行水の後は体も気分もさっぱりして涼しくなりますね。冷水よりもぬるま湯の方が体にはやさしいようです。体の中から冷やす慣習、冷房の冷えから体を守る知恵
体の内側から熱を冷ます知恵も色々伝わっています。麦茶やスイカ、夏野菜はその代表です。一方、冷やしすぎてお腹を壊してしまうのも、昔からよくあること。その対策は、今なら冷房対策に使えそうです。例えば、俳句では夏の季語である「甘酒」は、夏バテ予防に良いとされていて、そのままでも冷やしても、ココアやハチミツと合わせてもおいしくいただけます。生姜を切って干すだけの自家製乾燥生姜を常備して、紅茶や白湯に入れて飲めばお腹からぽかぽかに。また、赤シソジュースは夏バテ防止に効果があります。
昔から親しまれ伝わっている知恵にはなにかしら根拠があるものが多いので、一考の価値があります。日々の暮らしにちょっと取り入れてみてくださいね。
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