冨山さんからMBA留学の意義をお聞きしました |
当日は、103名のMBA留学志望者が集まり、冨山氏の基調講演を聞きました。
冨山氏は、産業再生機構でCOOを4年間ご経験され、今年の4月3日から新会社である"企業支援会社"株式会社経営共創基盤を設立されました。
1960年生まれの新人類と呼ばれる世代の冨山氏は、1984年に東京大学法学部を卒業され、ボストンコンサルティングに入社。約一年後には、CDI(Corporate Directions, Inc.)という会社を立ち上げられました。
20年前といえば、就職先人気の1位が日本興業銀行、2位が日本長期信用銀行、3位は上位都市銀行だったそうです。金融業界が圧倒的人気で、高度経済成長期の中、毎年10%の賃金引上げ率だった時代です。
会社員はまず社宅(独身寮)に入り、女性は30歳までに寿退社を強いられ、男性は30歳でマンションを購入し、35歳で一戸建ての家を買う、そのようなレールが敷かれ、その上を走れば誰もが幸せになれると信じていました。
ところが、20年たった現在の日本は全くその状況と異なります。現在は、年金の給付は減り、税金は高くなる一方、経済格差は開くばかり。このような状況を当時、想像する人はいませんでした。
中国やインドの単純労働賃金は下がり続けるだけでなく、人口的には中国やインドの上位10%の人々と日本の全人口が戦う世の中になっています。確実に間接部門、IT部門は追い越される未来が迫っています。アメリカでは既にこの現象は起こっています。
ここで言えることは、「都合の悪い確実なことは絶対に起こる」という事です。今ある常識に従っていたら後悔するということは、免れることが出来ない事実だと、冨山氏はおっしゃいます。
なぜMBA留学を志したか
そもそも、冨山氏がなぜMBA留学をしようと思ったかと言うと、脱藩したのが早すぎたため、漠然と将来に不安があったからだそうです。司法試験も受かっていたそうですが、本当の意味でのエリートの中は学歴社会なので、MBAがあれば強い武器になると考えたそうです。ちなみに、日本は、エリートの中では世界一、学歴社会でない国だと冨山氏はおっしゃいます。20年前、電気産業は日本がトップでしたが、今は、国際競争力があるのは、自動車産業と精密機器のみ。確実に日本の国際競争力は下がってきている、金融は論外と言えます。現代の日本はエネルギーの90%、食料の40%は輸入であることからも分かるように、グローバリゼーション化は確実に進んでいくので、「世界で戦う人材にならないとダメ」と冨山氏は参加者にエールを送りました。
次のページは、なぜ今MBA留学なのかについてです。