65歳以上にかかる医療費はいくらかかっているの?
厚生労働省「2020(令和2)年度 国民医療費の概況」によると、病気やけがの治療で医療機関などに支払われた国民医療費の合計額は42兆9665億円。うち65歳未満の人の医療費の総額は16兆5350億円(38.5%)、65歳以上の人の医療費の総額は26兆4315億円(61.5%)となっています。また、人口一人当たりの医療費は、34万600円ですが、年齢・男女別にみた医療費は、以下のとおりになります。
《65歳未満》
・男性:18万4700円
・女性:18万2200円
《65歳以上》
・男性:80万2000円
・女性:68万1200円
上記のデータをみると、65歳未満に対し、65歳以上は、3.7~4.3倍もの医療費がかかっています。実際、高齢になれば加齢による衰えがもとで、病院に通院したり、薬をもらったりすることが多くなります。
今回は、さらに詳しく、65歳以上の治療費や診療代にかかる医療費の内容を確認して、老後にかかる医療費節約の方法を考えましょう。
65歳以上はどんな病気に治療費がかかるの?
医療費に含まれるものには、病気で病院を受診したときの診療代や治療代、歯科治療費、薬代などさまざまなものがあります。その中で最も割合が多いのは、病気で病院を受診したときの診療代や治療代で、65歳以上の傷病分類別医科診療医療費は、19兆7563億円になります。実際に、65歳以上の人がどんな病気の治療などを行っているのか、主な傷病の金額と構成割合をみてみましょう。●65歳以上の傷病分類の金額と構成割合
・循環器系の疾患:4兆7908億円(24%)
・新生物(腫瘍):3兆1064億円(16%)
・筋骨格系及び結合組織の疾患:1兆7195億円(9%)
・損傷・中毒及びその他の外因の影響:1兆6763億円(9%)
・腎尿路生殖器系の疾患:1兆4716億円(7%)
・その他:6兆9917億円(35%)
・合計額:19兆7563億円(100%)
上記の中で割合が一番多いのが循環器系の疾患で24%です。循環器系とは、血液が循環する器官の心臓と血管のことをいい、主な循環器系の疾患には、心血管疾患や脳卒中があります。次に割合が多いのは、新生物(腫瘍)で16%です。新生物(腫瘍)には、悪性腫瘍(がん)以外に良性腫瘍が含まれています。
65歳以上の人がかかる医療費の約40%が「生活習慣病」のがん、心臓病、脳卒中ということを考えれば、それらを予防することが医療費を節約するカギといえるでしょう。
生活習慣病には、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与します。
毎年、健康診断を受けて、もし、その結果の中に生活習慣病にかかわる指摘があれば、早々に「食生活」「運動」「生活習慣」などの見直しをしましょう。
65歳以上になれば、現役時代よりも時間にゆとりができます。しかし、家族の介護を受けたり、入院したりすれば、自由な時間を満喫することができません。日常生活を制限されず健康に生活できる期間である「健康寿命」を延ばすことが大切です。
シニアが体力を維持するために必要となるのは「筋力アップ」「心肺機能の向上」「関節の柔軟性」が欠かせません。お金をかけず、手軽に始められるものを紹介します。
65歳からの医療費節約に向けた手軽な運動1:日常生活の延長での運動量を増やす
日常生活でこまめに体を動かしましょう。「買い物は歩く」「エレベーターなどを使わずに階段を利用する」など、日常生活の延長でできる運動を意識しましょう。65歳からの医療費節約に向けた手軽な運動2:お金も道具も必要なく、気軽に始められるウォーキング
厚生労働省によれば、健康な成人男性であれば1日9000歩、女性なら8500歩、65歳以上になれば、男性が1日7000歩、女性6000歩を目安に歩くことをすすめています。歩くことで足の筋力アップにつながり、骨も丈夫にします。他にも、内臓の働きを良くしたり、リフレッシュ効果が得られたりします。ウォーキングは、お金も特別な道具も必要ありません。気軽に始められる運動の代名詞といえます。より運動効果を高めたい場合は、早めに、歩くことを心がけるとよいでしょう。