お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

48歳貯金420万円。老後資金、教育費、車の買い換えなど、いろいろ不安が拭えません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、赤字を出さないように家計管理をしているものの、将来のお金が足りるのか、不安を感じているという48歳の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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保険は最低限入ったつもりですが保障が足りているのか不安です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、赤字を出さないように家計管理をしているものの、将来のお金が足りるのか、不安を感じているという48歳の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
将来のお金が足りるのか不安です

将来のお金が足りるのか不安です

■相談者
ひまわりさん
女性/パート・アルバイト/48歳
近畿地方/持ち家(一戸建て)

■家族構成
夫(44歳)、第1子(14歳)

■相談内容
初めまして。こちらのマネー相談、そして深野さんの親身、かつ的確で明瞭な回答にいつも学ばせていただいています。

自分なりに試行錯誤しながら何とかやりくりしてきたものの、老後資金、教育費、車の買い換えなど、いろいろ不安が拭えません。アドバイスいただけたら幸いです。

保険も、最低限で入ったつもりですが保障が足りているのか不安です。投資なども興味ありますが、そこまでの余裕がなく、何とか赤字を出さないことに日々追われています。しかしお金の不安は尽きません。

支出の削りどころ、今後の見通しなどアドバイスいただけたらありがたいです。よろしくお願いいたします。

■家計収支データ
相談者「ひまわり」さんの家計収支データ

相談者「ひまわり」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)収入について
相談者の収入は、パート収入6万円のほか、副業で5万~6万円。副業は不定期。児童手当は、子ども用口座に全額貯蓄

(2)ボーナスの使い道
月々の支払いのほかに、40万円ほどの特別支出あり(固定資産税、年払い、コンタクト、お祝いなど)。貯蓄22万円(教育費用10万円、火災保険用6万円、家電購入用6万円)

(3)貯蓄について
毎月4万円の貯蓄は普通預金。

(4)家計収支について
収入に変動があるため生活費以外(保険、税金など)は、年単位で管理。記載した収支は1カ月あたりの平均値なので、ばらつきがあります。貯蓄も毎月、定額ではありません。月々の家計が赤字でも年間通して70万~100万円ぐらいの黒字を目指したいところです。

(5)車両費について
普通車と軽自動車の2台所有。毎月の車両費はガソリン、税、保険料込み。

(6)子どもの教育費、進路について
・教養費は子どもの習い事(習い事は1年後に終了予定)
・子どもの大学費用は、自宅から通わせたいが、なるべく本人の希望に添えるよう準備したい

(7)加入保険について
夫/
生命保険(無解約返戻型、収入保障定期保険、死亡保障13万円/月、払込、期間ともに60歳)
=毎月の保険料4700円
変額保険(終身タイプ、払込60歳、死亡保障200万円)=毎月の保険料3300円
生命保険(低解約返戻型、終身タイプ、半年後まで払込み、死亡保障200万円)=毎月の保険料6000円
※2024年から解約返戻金130万円。学資保険代わりに加入。貯金の不足分次第で解約予定
医療保険(終身タイプ、60歳払込、入院日額5000円、がん通院日額5000円)=毎月の保険料6600円

相談者/
生命保険(無解約返戻型収入保障保険、55歳払込み、死亡保障10万円/月)=毎月の保険料払込み免除
変額保険(終身タイプ、終身払込み、死亡保障200万円)=毎月の保険料2100円
医療保険(終身タイプ、入院日額5000円、がん通院日額5000円)=保険料払込み免除

子ども/
こども総合保険(入院日額4000円)=毎月の保険料1300円

(8)住居費について
・購入年/2015年
・購入価格/2400万円
・ローン借入額/2300万円
・借入金利/0.975%(変動金利)
・返済期間/35年
・毎月の返済額/6万5000円
・ローン残債/1880万円
※返済は毎月返済のみ
※固定資産税9万2000円/年、火災保険46万円(10年)、地震保険3万4000円(5年)。火災保険と地震保険はボーナスから積立

(9)働き方について
・夫:定年は60歳。再雇用は未定
・相談者:持病があり、これ以上は体力的に働くのは難しい。いつまで働けるか予測がつかないのも不安

(10)公的年金について
夫:93万6100円
相談者:67万8000円

(11)双方のご両親、ご実家について
同じ県内に居住だが同居、援助を受ける可能性は低い

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 家計を見直して、決まった金額を貯蓄できるようにする
アドバイス2 子どもの教育費は問題なし。老後資金には不安が残る
アドバイス3 住宅ローンが残るので、60歳以降も細く長く、働く覚悟を

アドバイス1 家計を見直して、決まった金額を貯蓄できるようにする

教育費、老後資金、車の買い換えと、不安になることばかりですが、子どもが14歳ですから、すぐに高校、大学進学があり、まとまった教育資金が必要になってきます。まずは、優先して教育費の準備をすることが大切です。

現在、毎月の貯蓄は4万円とのことですが、決まった額を貯蓄しているわけではなく、実際の家計は赤字が出ないようにし、収支プラスマイナスゼロということかもしれませんね。貯蓄は毎月先取りで決まった額を貯めていくことから始まります。家計は毎月変動するため、残ったら貯蓄ではお金を貯めることが難しくなってしまいます。給与が入ったら自動的に積立預金などでしっかり貯めていくようにしてください。

まずは、家計を見直して確実に2万円は貯蓄に回せるようにしましょう。まずは通信費と保険料については削減ができそうです。

通信費については、格安スマホに乗り換えるなど契約を見直せば、半分の1万円に抑えられます。保険については、保険料免除のものはそのまま。そのほかの保険を一部解約します。具体的には、ご主人の保険は収入保障型の保険のみ残し、変額保険は解約、半年後まで払込みがある生命保険も解約。解約返戻金が少し減るかもしれませんが、来年解約予定であれば、今解約しても大差ありません。相談者の変額保険も本来は不要です。気持ちが整理できるようでしたら解約で問題ありません。それと子どもの保険。子どもについては、自治体にもよりますが、医療費無償であれば加入する必要はありません。

これで通信費は1万円、保険で少なくとも1万円は削減できます。いずれも手続きに少し時間がかかりますが、固定費は一度見直せば、削減効果がずっと続きますので、検討してみてください。

アドバイス2 子どもの教育費は問題なし。老後資金には不安が残る

毎月2万円の貯蓄ができるようになれば、年間で24万円。ボーナスから20万円で合わせて44万円です。2年目には教養費(子どもの習い事)の3万円がなくなりますから、毎月5万円は貯蓄できます。年間60万円に、ボーナスから20万円を加えて80万円です。

このとき、ご相談者は49歳。60歳までの11年間で880万円貯めることができます。1年目の44万円、今ある貯蓄の420万円を加えて、1344万円。さらに保険を解約した際の解約返戻金が130万円弱。すべて合計すると約1470万円になります。

これが、現在の家計収支が続き、順調に貯蓄できた場合の、60歳時点の金融資産となります。

この間、子どもの教育費として、高校が公立なら150万円、私立なら300万円、大学は500万円とすると、おおむね750万円は必要となります。ただし、現在の家計で教育費として5万円計上されていますので、年間60万円、大学卒業までの8年で480万円は家計から出ていきますので、貯蓄の取り崩しはその分ありません。そうなると教育費の不足分(750万円-480万円)は270万円です。

1470万円から差し引くと、残り1200万円ほどが老後資金ということになります。また、車の買い換えも必要になり、1回200万円として2回(2台)で400万円はキャッシュで出ていきますので、実質、老後資金として残せるのは800万円ほどということになります。少し不安が残ってしまうかもしれません。

アドバイス3 住宅ローンが残るので、60歳以降も細く長く、働く覚悟を

しかしながら、8年後(ご主人52歳、相談者56歳)にはおそらくお子さんが大学を卒業し自立しますから、そこからは老後資金の最後の貯めどきとなります。

この時には、教養費としてかかっていた5万円もなくなります。毎月5万円の貯蓄が続いていれば、あわせて毎月10万円は貯蓄できることになります。年間で120万円。ボーナスから20万円で140万円です。ご相談者が60歳になるまでの4年間で560万円です。その後、ご主人が60歳で定年退職するまでの4年間は、貯蓄のペースが遅くなるとは思いますが、年間60万円ほど貯蓄ができれば、240万円の上乗せで、都合800万円です。先に計算した800万円に800万円を加えて1600万円。

ご主人が60歳から65歳まで、どのような働き方をするかにもよりますが、少なくとも生活費をまかなえるだけの収入があれば、1600万円は老後資金としてキープしておくことができます。

ご主人が71歳まで住宅ローンが残りますので、生活費を一気に下げることができませんが、夫婦ともに公的年金の受給が始まったとしても、プラス5万円程度でも構いませんので、収入を得ることができれば、貯蓄の取り崩しスピードは格段に遅くできます。

この先、金銭的に一生安泰、と言えないのは心苦しいのですが、可能な限り、細く長く働くことを想定しておいてください。ただし、ご相談者には健康不安がありますから、絶対に無理な働き方はしないことです。ご主人の収入が上がれば、その分は余裕資金となります。車も今は2台必要かもしれませんが、子どもが自立して1台に減らせたら、車関係費が大幅に削減できます。

今は、子どもの教育費を優先に考えることです。8年後にもう一度、家計支出を見直し、最後の貯めどきを逃さないようにすることだけ覚えておいてください。教育費のかけ過ぎにも注意しておいてください。教育費を優先すべきですが、かけようと思えばキリがありませんから。

毎月の貯蓄、ボーナスからの貯蓄がしっかりできれば大丈夫です。必要以上に心配しなくてもいいでしょう。

相談者「ひまわり」さんから寄せられた感想

深野先生、このたびはありがとうございました。今まで何となく貯められている気で家計管理をしてきましたが、今回、今後の明確な数字を出していただいたことで、今までの管理では思うようには貯められないと気付かされました。

60歳までの資産。我が家に貯め時のチャンスがまだあること。まずは頑張れそうな月2万円からの積立。今まで、不安だったことが明確になり、少し心が晴れました。“必要以上に心配しないでよい”との深野先生の温かいお言葉もありがたかったです。

これからもこちらで勉強させていただきながら、できることからコツコツやっていきたいです。このたびは貴重な機会をいただきありがとうございました。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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