新型コロナウイルス感染症の分類が引き下げに
新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げ移行されました。主な変更点は?
今月5月8日より、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、これまでの「2類相当」から「5類」に移行されました。感染症の分類とは何か、分類の引き下げによって変わるポイントについて解説します。
感染症法とは? なぜ感染症を分類するのか
感染症は人から人へとうつり、大流行して人の生命や社会に大きな影響を与える可能性があります。「感染症法」とは、正式には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という名前の法律です。感染症の予防のための施策と、感染者への人権配慮の、両方を考えた適切な対策法について定めています。そして感染症法では、感染力の強さや重症化率などを踏まえて、各感染症を重大なものから順に1類~5類に分類しています。分類によって、行動制限の強さや、それに伴う公費などでのサポートの程度が異なります。
新型コロナウイルス感染症は、これまで高病原性鳥インフルエンザである「2類」と同じ「2類相当」でしたが、「5類」に変更されました。5類は、冬に流行する季節性インフルエンザと同じ分類です。
感染症法の2類相当から5類移行で変わるポイント
■感染者数の発生動向の報告2類相当では、感染者数が毎日全数把握され報告されていましたが、5類になってからは、一定の医療機関から1週間で発生した数の報告のみに変わります。患者登録や健康観察などもなくなります。
■受診できる医療機関
2類相当では、新型コロナを診療できる限られた医療機関だけでしか受診ができませんでしたが、今後はインフルエンザ同様、幅広い医療機関で受診できます。
■感染者の医療費等の負担
2類相当では、検査・治療ともに公費でまかなわれたため医療費の自己負担はなく、行政による入院治療が受けられましたが、今後は加入している保険によって1~3割の自己負担が生じます。
■感染者の行動制限
2類相当では、感染者は外出自粛を求められていましたが、今後は陽性でも外出自粛は個人の判断に委ねられます。
■感染対策
2類相当では、日常における基本的な感染対策が一律に求められていましたが、今後は個人、企業の判断にゆだねられます。
ワクチンに関しては、引き続き自己負担なく接種が可能です。重症化リスクが高い場合は年2回、そのほかは年1回が目安となります。
全体として、2類では行政の要請などがあり、ガイドラインなどによる感染症対策に沿った行動が求められていましたが、5類になると自主的な対応に変化します。状況に応じて、個々人が適切に判断して行動していく必要があります。