芝居のスイッチが入ってキャラが激変するのが恥ずかしい
――ハルを演じるにあたって、準備したこと、役作りなどについて教えてください。井上:僕は、急に芝居のスイッチが入って「すごいね、変わったね」と言われるのが苦手なんです。変わったと言われるのがすごく恥ずかしいので、できるだけ「いつもの自分」のまま撮影に臨みたいと思っていました。
撮影前に共演者の方たちとリハーサルを重ね、そこで役作りができたので、撮影が始まってからは特に井上瑞稀からハルに変わるという意識を持たずに、スッと役に入れました。
――撮影期間は、カメラが回っていない時でも動きをハルに寄せていたそうですね。具体的にはどのようなところでしょうか?
井上:原作を読んで気付いたことを演技に生かしました。あまり足を上げない歩き方とか、ちょっと姿勢が良くないところ。あとハルの言葉は濁点が多いんです。「あ」に濁点がつくような感じなので、それも意識しつつ、明るく素直に演じることを心がけました。
ハルとの共通点は「部屋が汚いこと」
――この映画に出演するにあたって、参考のために観た映画やドラマがあったら教えてください。井上:『ヒロイン失格』(2015)『センセイ君主』(2018)、ドラマ『花のち晴れ~花男Next Season~』(2018/TBS)は「ラブコメディとは……」と学習する気持ちで観ました。特に『ヒロイン失格』が好きですね。思わずツッコミを入れたくなるような映画が好きなんです。
『おとななじみ』もリアリティを大事にしつつ、ちょっとぶっ飛んだところもあるので、そういう意味では『ヒロイン失格』と共通点もあり、参考にさせていただきました。
――井上さんとハルの共通点はありますか?
井上:共通点がひとつだけあります。それは部屋が汚いってことです! 僕の部屋はハルに負けないくらい、めちゃくちゃ散らかっていて、服が散乱しています(笑)。
――『おとななじみ』は少女漫画らしいキュン要素が詰まった作品ですが、井上さんはアイドルとして、普段からファンの皆さんをキュンキュンさせていますよね。高橋監督(※)も「キュンの部分は井上くんに任せた」とおっしゃっていたそうですが、ご自身では観客をキュンキュンとさせる自信はありましたか?
井上:まったく自信はないです。「キュンとするってなんだろう」とか根本的なことを考えたりして……。特にこの原作はコメディ要素も強いので、笑いとキュン要素の塩梅が難しかったです。
でもハルは、キュンとさせたくてもカッコよく決まらないところが魅力でもあるんです。この映画のテーマは「ムズキュン(なかなかくっつかなくてじれったい恋)」。ハルとおさななじみの楓はお互いに踏み出せない関係だからこそのムズキュンなので、そこに皆さんがキュンしてくれればいいなと思います。
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