夫婦ふたりで楽しむ老後へ
定年後は“暗い”ばかりではない、心待ちにする人だっている
ニコニコしながらそう言うのは、ユウスケさん(60歳)だ。結婚して30年、ふたりの子どもたちは独立、長男は独身で寮住まい、長女は結婚したばかり。
「もう何の責任もない、肩の荷が下りたという気分です。妻もあと3年働けば定年退職。彼女も1カ月ほど休んでから継続して働くそうです。その間、ひとりで海外旅行したいと言っています。うちは、それぞれ好きなようにしようと話し合ったので、僕もそのうちひとりで旅行するつもり」
退職金にはまだ、手をつけずにいる。妻が退職した時点で、ふたり合わせての資産運用を考えるつもりだとか。とはいえ、「ふたりとも中堅企業ですから、遊んで暮らせるほどの退職金ではない」そうだ。
「長男は専門学校、長女は大学へ行きました。学費は大変でしたけど、子どもたちに奨学金を借りさせるのもしのびなくて、親として学費を出しました。そのおかげでこっちは貯金なしです。でも、だからこそ今、とても解放された気持ちなんだと思う」
お金のことを考えたら足元が震えるほど不安になる。だけど、「今を生きるしかない」と腹をくくりつつあるそうだ。
「週3回の休みをどう使うか。今、じっくり考えているところです。まずは家庭菜園かな。今までも少しやっていたんですが、もう少し収穫を多くしたい。本当はバイクを買いたいんですが、そうもいかないので、レンタルして遠出したいですね」
「物を持つのをやめよう」と妻とも話した。それより自分の健康を第一に考えた生活をしていこう、と。
「車やバイクを買っても毎日乗るわけじゃない。だったらレンタルでいい。代わりに今までより運動をしよう。興味のあることを深く研究しよう。それがいちばん大きな目標です」
>ユウスケさんが考える定年後の「課題」は?