国民年金保険料を前納するとどのくらいお得になるの?
国民年金の第1号被保険者は、20~60歳までの自営業者やその配偶者、学生、フリーランスの方々などが該当します。この方々が支払うことになる国民年金保険料は、毎月支払うよりも、6か月~2年分を「前納」すれば保険料が安くなることはご存じでしょうか。まずは、国民年金保険料を前納したときのお得度をみていきましょう。
国民年金保険料の前納には「6カ月前納」「1年前納」「2年前納」の3つがあります。また、支払い方法は、「納付書・クレジットカード払い」「口座振替」の2種類があります。 このうち、最もお得なのは、口座振替の2年分前払いです。どのくらいお得なのか以下で確認してみましょう。
●令和5年度の国民年金保険料を「口座振替」で支払った場合のお得度
【毎月支払った場合】1万6520円
【6カ月前納】9万7990円を1か月当たりにすると1万6332円→188円(約1.1%)お得
【1年前納】19万4090円を1か月当たりにすると1万6174円→346円(約2.1%)お得
【2年前納】38万5900円を1か月当たりにすると1万6079円→441円(約4%)お得
なお、国民年金保険料の2年分前払いには、2023(令和5)年分の1万6520円と2024(令和6)年分の1万6980円が含まれています。
もし、上記の中でも一番お得な2年分前払いを選択するとトータルで「1万6100円」も安くなります。
次は、国民年金保険料の前納のもう一つの支払い方である「納付書またはクレジットカード」の場合もみてみましょう。
●令和5年度の国民年金保険料を「納付書またはクレジットカード」で支払った場合のお得度
【毎月支払った場合】1万6520円
【6カ月前納】9万8310円を1か月当たりにすると1万6385円→135円(約0.8%)お得
【1年前納】19万4720円を1か月当たりにすると1万6227円→293円(約1.8%)お得
【2年前納】38万7170円を1か月当たりにすると1万6132円→388円(約3.7%)お得
こちらは、口座振替で支払った場合よりも割引率は低くなりますが、使用したクレジットカードによってはポイントがつきます。さらにポイントの還元率次第では、口座振替で国民年金保険料を前納したときのお得度と同じくらいなるかもしれません。ご自身の都合のよい方法を選ぶとよいでしょう。
●前納の種類と割引額 国民年金保険料の前納は、支払いが安くなる以外にも、納付し忘れることがないという点がメリットです。国民年金保険料の支払いを「忘れてしまう……」「つい後回しになってしまう……」という方は前払いを活用してみましょう。
次は、前払い手続きについて解説します。
国民年金保険料を前納にする手続き方法
国民年金保険料の前納をするには、該当書類を期日までに提出する必要があります。それぞれ、以下で確認しましょう。【口座振替】
「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書」に必要事項を記入して、預貯金口座をお持ちの金融機関(郵便局を含む)の窓口、またはお住まいを管轄する年金事務所へ「毎年2月末まで」に提出します。
【クレジットカード】
「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」に必要事項を記入して、お住まいを管轄する年金事務所へ「毎年2月末まで」に提出します。なお、口座振替・クレジットカードの申請書は、街角の年金相談センターでは受け付けていません。
【納付書で支払う(現金)】
納付書を使っての支払いは、「国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)」に必要事項を記入して、お住まいを管轄する年金事務所に提出します。申出書は3月末までに提出が必要です。
それぞれの申請書類は、下記のサイトからダウンロードできます。
国民年金関係届書・申請書一覧
引き落としになる時期はいつでも大丈夫なの?
国民年金保険料の1年・2年前納は、毎年2月末までに申し込みを行い、1年分の前納は「その年の4月~翌年3月分まで」、2年分の前納は「その年の4月分から翌々年の3月分まで」が、4月末に引き落とされます。なお、6カ月分の前納は、「その年の4月~9月分」が10月末に引き落とされ、「その年の10月~翌年3月分」は翌4月末に引き落とされます。引き落とし時期は、決まっており、自分の都合で決められない点に注意しましょう。
もし、国民年金保険料を2年分前納した場合の社会保険料控除はどうなる?
支払った国民年金保険料は、全額が所得税を計算する際の所得控除になり、課税所得を引き下げられます。もし、2年分前納すれば、その分社会保険料控除が増え、所得税や住民税を安くすることができますが、その場合は、翌年の控除できる国民年金保険料がなくなってしまいます。2年分をまとめるか、1年ごとに均すのか、確定申告を行うときに、状況に合わせて決めるようにしましょう。まとめ
国民年金保険料を2年分、前納する場合、支払い方法により38万5900円~38万7170円となり、まとまった金額になります。そのため、「得かもしれないけど、厳しい……」と感じる方が多いかもしれません。とはいえ、通常24カ月支払うはずの国民年金保険料が、23カ月分で済ませることができるのは魅力的です。今から資金計画を立て、来年度の引き落としから2年分前納を目指してみましょう。そのためには、毎月の資金繰りに「国民年金保険料の前払い分」を追加して、計画的に分けておくようにしましょう。