お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

43歳貯金3500万円、転職活動中。子ども2人を私立中学に通わせることはできますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、家の近くで働くことを考えている転職活動中の43歳の女性です。子ども2人を私立中学に通わせたいと考えているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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夫が激務のため、ワンオペ育児がつらく、仕事を辞めて転職活動中です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、家の近くで働くことを考えている転職活動中の43歳の女性です。子ども2人を私立中学に通わせたいと考えているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
子ども2人を私立中学に通わせることはできますか?

子ども2人を私立中学に通わせることはできますか?


■相談者
ちくわぶさん
女性/転職活動中/43歳
関東/持ち家(マンション)
 
■家族構成
夫(43歳)、第一子(7歳)、第二子(4歳)
 
■相談内容
いつも深野先生の聡明かつ、的確なアドバイス、参考にさせていただいております。
 
昨年末まで派遣社員として就業しておりましたが、夫が激務のため、ワンオペ育児がつらく、仕事を辞めて転職活動中です。家の近くで時短の契約社員、派遣社員、無理なようならパートで働く予定です。
 
子どもの進路について相談させてください。
 
教育熱心な地域で、子どもを私立中学に行かせる家庭もちらほらです。夫婦とも高校までは公立希望ですが、子どもたちに目標があり、私立を望むなら受験させてあげたいと思っております。その場合、現在の家計で中学から私立に通わせることは可能でしょうか。
 
なお、大学は2人ともに国公立、私立かかわらず自宅通学を希望しております。
 
また、住宅ローンの繰り上げ返済も検討しております。住宅ローン控除が終わるタイミングで全額返済を考えておりますが、普通預金が貯まってきたので、200万円ほどを今年繰り上げしてもよいかなと思っております。全額返済した場合、団信も契約終了するので、生命保険料の掛金も増額したほうがよろしいのでしょうか。ご教示願います。

■家計収支データ
相談者「ちくわぶ」さんの家計収支データ

相談者「ちくわぶ」さんの家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
学資保険年払い40万円、固定資産税17万円、車検(2年に1度)13万円、自動車重量税5万円、帰省費用13万円、ふるさと納税12万円、夫小遣い6万円、家電の買い替え、旅行代20万円など。余った分は普通預金に入れています。
 
(2)貯蓄について
毎月の貯蓄額は投資などをあわせて26万円。預貯金のほか、個人年金払込みの分が、夫125万円、妻125万円。学資保険の払込みの分が220万円あります。
 
(3)投資商品について
投資はいずれも数年前からはじめたばかりなので、あまり利益は出ていません。すべて時価評価額です。

毎月の積立は、以下の通り。
・iDeCo:夫1万2000円、妻2万円
・つみたてNISA:夫3万3333円、妻3万3333円
・米国株の投資信託積立:妻5万円
 
(4)家計収支について
退職して間もないため、就業していたころの収支です。現在、就職活動中で、同等の手取りか最低10万円程度のパートで就業予定です。 パートで働く場合、米国株の投資信託の積立は、いったん止める予定です。
 
(5)住居費について
・購入年:2016年
・購入価格:3800万円
・ローン借入額:1800万円
・借入金利:0.6%(変動金利)
・返済期間:30年
・ローン残債:1400万円
・毎月の返済額:5万5000円
※返済は毎月返済のみ、修繕積立金・管理費は月1万5000円
※固定資産税:年に一度、17万円口座引き落としです。火災保険(家庭総合保険):購入時に一時払い2万2000円(10年満期)、地震保険2万円(5年に1度)
※妻の実家より生前贈与があり、頭金を多めに入れることができました。
 
(6)自動車について
駅前の立地のマンションで、通勤で使わないため、車は必須ではないですが、夫は手放したくないとのこと。1年ほど前に買い換えたばかりなので(250万円・現金一括)、10年後にもう一度だけ買い換えるかもしれません。家計が厳しくなったらカーシェアリングの予定です。
 
(7)加入保険について
<家計から>
妻/
・共済(病気死亡200万円、交通事故500万円、入院日額2500円)=毎月の保険料2000円

<以下は夫の給料から天引きしている>
夫/
・共済(死亡保障1500万円、医療特約付き)=毎月の保険料4500円
妻/
・共済(死亡保障1000万円、医療特約なし)=毎月の保険料2000円
※妻は既往歴があるため、医療特約は加入不可です
※夫の医療保険は現在調査中です。加入していなかった場合、入院保障1日6500円ほどの共済に加入予定です。その場合、毎月の保険料2500円(給料天引き)
 
第一子/
・学資保険(払込み15年、満期学資金300万円、140万円払い済み)=年払い保険料20万円
第二子/
・学資保険(払込み15年、満期学資金300万円、80万円払い済み)=年払い保険料20万円
<個人年金保険>
夫:2025年まで払込み。60歳受取り。受け取り額200万円=毎月の保険料1万8000円
妻:2025年まで払込み。60歳受取り。受け取り額200万円=毎月の保険料1万8000円
 
(8)教育費について
第一子:給食費・学校費6000円、学童保育1万円、習い事8000円
第二子:保育園1万円。他雑費ありで計4万円くらいです。
 
(9)働き方について
夫は現在の就業先が激務のため、60歳でリタイア予定です。ただ、子どもの教育費がかかるようでしたら、再雇用やアルバイトを検討しているようです。退職金は2000万円、別途、給料天引きの積立分が400万円ほどの予定です。妻も65歳、もしくは70歳までパートかアルバイトなどで就業予定です。
 
(10)公的年金について
夫は月額約8万2000円、妻は月額約5万2000円です。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 中学から私立でも大丈夫。ただし住宅ローンの繰り上げは少し先に
アドバイス2 老後資金として4000万円は残せるので、車の買い換えもOK
アドバイス3 激務の夫が心配。収支の調整ができれば早期退職も可
 

アドバイス1 中学から私立でも大丈夫。ただし住宅ローンの繰り上げは少し先に

結論から申し上げれば、子ども2人を中学から私立でも金銭的に困ることはないでしょう。
 
現在、金融資産が貯蓄と投資で3517万円あります。毎月26万円の貯蓄ができていますが、ご相談者の収入が6万円程度減ることを考慮すると、毎月20万円の貯蓄となります。これで年間240万円です。ボーナスから学資保険の年払いとして40万円ありますが、これは最終的に満期で受け取れますが、現時点ではカウントしません。年間240万円の貯蓄が継続できれば、今後3年間で720万円が金融資産に上乗せされ、4237万円となります。
 
3年後に住宅ローン控除が終わり、そのタイミングで住宅ローンを完済させるとします。この時のローン残高は、おそらく1230万円ほどですから、金融資産から差し引くと、約3000万円となります。
 
その後は、住宅ローン返済分の5万5000円を貯蓄に回せば年間66万円。年間合計306万円の貯蓄ができることになります。3年後は夫46歳ですから、定年退職の60歳までの約10年間で約3000万円となり、都合、6000万円ということになります。これに学資保険の満期金が600万円、払込みが終わっても年払いで支払っていた保険料を貯蓄に回すことができれば、さらに400万円程度は上乗せできます。60歳時点での金融資産は7000万円となります。
 
中学から私立の場合、1人あたり、およそ1500万円を見込んでおきます。2人で3000万円です。7000万円から3000万円を差し引いても、4000万円が残り、これが老後資金となります。
 
住宅ローンを3年後に繰り上げ返済し、子ども2人を中学から私立に通わせても大丈夫、ということです。
 
ただし、第一子がそろそろ中学受験の塾に通うことを考えると、今年200万円を繰り上げ返済に充てると書かれていますが、これはやめておき、3年後に一括返済すればいいでしょう。
 

アドバイス2 老後資金として4000万円は残せるので、車の買い換えもOK

教育費について、詳しく述べると、私立中学で450万円、高校で300万円、大学で500万円。合計1250万円程度は必要になります。さらに中学受験のための塾代として200万~250万円を加算すると、1人1500万円ということです。
 
教育費はかけようとすれば、キリがありません。自分たちの老後資金としていくらあれば安心なのかも考えておき、教育費とのバランスに注意するようにしてください。仮に3000万円で大丈夫であれば、あと1000万円ほどは教育費に回すことができます。
 
また、教育費次第で車の買い換えはせず、カーシェアリングを考えておられますが、10年後であれば、その後の進学について、ある程度、決まっていると思われますので、余裕資金の範囲で買い換えも可能でしょう。
 
老後資金については、個人年金の受取りもありますし、退職金も2000万円、給与積立分が400万円あるとのことですから、その点においても心配ないと言っていいでしょう。
 

アドバイス3 激務の夫が心配。収支を調整できれば早期退職も可

このように概算で教育費、住宅ローンの繰り上げ返済、老後資金は問題ないのですが、一番の心配は、ご主人が激務であるということです。子どものため、家族のためにとの思いもおありでしょう。しかしご主人の健康があってこそ、です。
 
もし、つらくなるようでしたら、早期退職して、働くペースを落とされることも考えてみてください。仮に55歳で早期退職した際は、5年分の貯蓄ができなくなり、退職金も減額になるかもしれませんが、それでも3500万円ほどは残るはずです。55歳から65歳までの10年間は、生活費を抑えつつ、収支がプラスマイナスになるようにできれば、まったく問題ありません。
 
55歳時点で子ども2人の教育費は大学卒業までの分は確保できていますから、心配ないでしょう。
 
保険については、住宅ローンを完済することで団信はなくなりますが、金融資産がありますので、新たな保険に加入する必要はありません。医療保険も同じです。病気・ケガでの入院も貯蓄でカバーできるからです。
 
ただ、貯蓄と投資の配分だけは注意してください。教育費はできるだけ現預金で準備するようにしましょう。つみたてNISAは夫婦それぞれ2万4000円に減額し、現預金に振り替えるといいでしょう。
 
なお、ご相談者は現在就職活動中とのことですから、半年以内には、月10万円程度の収入を得るように頑張ってください。できれば厚生年金に加入できる働き方が望ましいのですが、まずは収入を得ることです。それができれば、問題ありませんからね。
 

相談者「ちくわぶ」さんから寄せられた感想

深野先生からアドバイスをいただき、大変感激し、何度も読み返しております。子どもの教育費が見えず、今まで漠然と節約し、貯蓄や投資にいそしんでおりました。今回、具体的な金額を出していただき、選択肢が広がったように思います。夫も状況によっては55歳で早期退職可能、車の買い換えも可能と聞いて肩の荷が下りたようです。落ち着いて、ゆっくり仕事を始めようかと思います。今後の指標にさせていただきます。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
 
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