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知らぬ間に詐欺加害者に!? 子どもにスマホを持たせるときに、決めておきたいこと

子どものスマホ利用にはトラブルがつきものであり、保護者の心配は尽きません。安全に利用させるために必要な、スマホを持ち始める時に決めたいルールや約束、対策とは。具体的なポイントや事例とともにご紹介します。

高橋 暁子

執筆者:高橋 暁子

ITリテラシーガイド

マホを持ち始めの時に決めたいルールや約束、対策とは

スマホを持ち始める時に決めたいルールや約束、対策とは(画像はイメージ)

NTTドコモモバイル社会研究所の「2022年親と子の調査」(2023年2月)によると、スマホの所有率は、小学生高学年で4ポイント上昇し、37%と過去最高に。中学生は76%でした。なお、スマホの利用率は小学生で上昇傾向、中学生は80%後半となっています。
 
子どもは、たとえスマホを所有していなくても、親のスマホや家族の共用スマホなどを利用することも多いのです。このようにスマホの利用率や所有率が上がると、当然トラブルも増えます。
 

スマホ利用で知らぬ間に加害者になる例も

最近、女子中学生がPayPayアカウントを乗っ取られ、それがチケット詐欺の受け渡し場所として悪用されてしまったという投稿が話題になりました。
 
スマホにはフィルタリングなどの安全対策を施し、会った事がある人以外との個別でのやり取りを禁止するなど、ルールも決めていました。その上、ネットでは素性を偽れることなども伝えてあったにも関わらず、被害にあってしまったといいます。
 
中学生は、Instagramで知り合ったイケメン写真をプロフィールに設定した相手に騙され、PayPayアカウントを作り、認証コードも教えてしまっていました。被害総額は20万円強に及んだそうです。課金できない設定にしていたそうですが、金銭授与の場とするだけであれば口座登録や本人確認もいりません。
 
警察に相談したところ、女子中学生は不正利用の被害者ではなく、反社の活動を補佐する被疑者にあたる可能性もあると言われてしまったとのこと。未成年であることや経緯を踏まえて罪に問われることはなかったものの、不注意を叱られてしまったそうです。
 
スマホを利用開始すると、このように思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。子どもにどのように利用させればいいのでしょうか。
 

利用し始める前に決めたいルールや約束

利用し始める前に、子どもと話し合ってスマホについてのルールや約束事を決めましょう。ポイントは親が一方的に押し付けるのではなく、必ず子どもの意見を聞きながら、守れるルールや約束事にしていくことです。
 
ルールや約束事を決めている子ほど、トラブルが少なくなる傾向にあります。安全な利用について考えるきっかけとなり、決めたことが行動指針となるためでしょう。自由に使わせた後に制限しようとしても聞き入れてもらえないので、必ず利用し始める前に決めましょう。
 
具体的には、利用時間の長さ、利用時間帯(夜間は禁止等)、利用して良い場所(居間で使う、夜間は居間で充電等)、個人情報や悪口などは書かないこと、知らない人に会いに行かないこと、知らない人との交流を許可するか否か、裸の写真は撮ったり送ったりしないこと、顔写真は出すかどうか、利用するアプリの種類(SNS、ゲーム等)、課金の有無や課金額の上限などです。
 
ただし、一度決めたルール・約束事も、利用状況や年齢などによって変えていく必要があります。状況が変わったら、子どもと話し合いの上、随時アップデートしていくといいでしょう。
 
大切なのは、「困ったことがあったら相談してほしい」と伝えておくことです。必ず「困ったことや心配なことがあったらいつでも相談してね。怒って取り上げたり禁止したりはしないから。絶対に味方するから信用して」と伝えておきましょう。トラブルに早い段階で気づくことで、問題が大きくなる前に解決できるようになります。
 

まず保護者が安全について学ぼう

続いて、ルールや約束事に合わせて、守りやすくするための設定をしましょう。
 
フィルタリングやペアレンタルコントロールを使えば、有害サイトやフィッシング詐欺などにアクセスすることを防ぎ、利用時間や機能なども制限できます。キャリアで申し込む「あんしんフィルター」、「あんしんフィルター」アプリ、iOS端末用の「スクリーンタイム」やAndroid端末用の「ファミリーリンク」などが便利です。
 
利用させるアプリを決めたら、そのアプリで起きるトラブルやリスクについて調べ、用意された安全設定についても調べましょう。話し合いの上、子どもが同意したら安全設定を活用してもいいでしょう。たとえば、子どもに人気の高いTikTokやInstagram、フォートナイトなどにもペアレンタルコントロール機能が用意されています。自由に使わせるのであれば、約束や見守りなどが必要となります。
 
ご紹介した機能は、保護者が設定、管理する必要があります。一度制限設定をしたらそのままでいいわけではなく、利用状況に合わせて随時設定を見直す必要もあります。つまり、保護者が方針を決めて設定、管理しなければならないので、分からないままではできないのです。
 
保護者世代は情報リテラシー教育を受けていないので、分からない、苦手という方も多くいます。しかし、スマホを利用させるのも親ですが、安全設定をして守るのも親しかできません。利用させるのであれば、子どものためにまず保護者自ら安全について学ぶ必要があるのです。
 
冒頭でお伝えした例で分かる通り、ご紹介した機能を使えば絶対にトラブルにあわないということではありません。子どもが利用するSNSなどでもトラブルが起きるため、リテラシーを高めたり、利用の見守りなども必要です。
 
利用し始めてからは、使っているアプリ等について普段から会話するようにしてください。子どもが関係する事件が報道されたら子どもに伝え、トラブルにあわない使い方について話し合うことで、子どものリテラシーが高まる効果があるはずです。
 
スマホやネットは利用しながら学んでいくものであり、トラブルに一切あわないということは不可能です。保護者も子どもと一緒にリテラシーを高めていくという意識でいるといいのではないでしょうか。
 
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

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