人間関係

「日常的に不愉快」だった実母と同居生活。30代女性が母の“毒”から逃げようと決めた瞬間

【毒親の毒は消えない #12】親子なら“分かりあえる”などというのは幻想だ。母への憎悪が肥大し家を出た30代女性は今……

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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母の「毒」はとどまるところを知らない。親子だからわかりあえるなどというのは幻想であり、傷が深くなる前に離れるしかないこともある。

子どものころから母が苦手だった

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「30歳で結婚したものの、なんと相手は元カノと関係が切れてなかった。元カノも既婚者なので、自分も結婚すれば立場が対等になる。そのために結婚した、君には申し訳ないことをしたと言われました」

苦笑しながらそう言うのは、アキナさん(39歳)だ。屈辱的だったが、泣きながら謝る彼を責める気にもなれなかったという。

「まあ、そういうこともあるかもねと。友人たちには寛容すぎると怒られたけど、過ぎてしまったことはしかたがない。私が彼をそういう人間だと見抜けなかったわけだし。彼からは慰謝料として少しお金をもらいました。引っ越さなくてはいけなかったから、それを引っ越し代に当てようと考えていたんです」

そんなとき、実家の父が急逝。母がひとり暮らしになった。アキナさんの姉は遠方で家庭を持っており、「心配だからお母さんと一緒に暮らしてあげてよ」とひっきりなしに連絡が来た。ところがアキナさんは母親が苦手だった。

「過保護だったとか人生を阻害されたとか、そこまでではないんだけど、母と一緒にいると日常的に不愉快なんですよ(笑)。たとえば一緒にどこかに行って、道に迷うとするでしょう。そうすると母はきちんとたどり着けなかった私のせいにするわけ。一緒にいるんだから、あなたのせいでもあるよねと私は思うんですが、私が彼女をリードするものだと思い込んでる。誰かに道を聞けとしつこく言うから聞いてみると、反対方向だったとしますよね。そうすると『ほうら、やっぱりあんたが間違ってたのよ』と大声を上げて、しかも大笑いするわけです。道に迷って、でも母娘で楽しいよね、みたいに。こっちはさっぱり楽しくないんですけどね」

一事が万事、そういう感じだから、一緒にいて楽しいと思ったことがなかった。

大学に入学すると、彼女はあまり家に帰らなくなった。友人宅を泊まり歩き、母がパートに出ている昼間の時間帯に家に戻り、また出て行った。

そんなアキナさんに、母は特に何も言わなかったという。

「そのころは姉が自宅にいました。母は姉さえいればご機嫌だった。だから私が大学を卒業してしばらくたったころ、姉が結婚して家を出ていくときは大騒ぎでしたね。これからは私にターゲットが移る可能性があると察して、就職して4年目に家を出ました」

それからは年に数回しか実家に立ち寄らなかった。

>母の目がキラリと光ってイラッ!
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