お父さん役にガッツリ取り組んでみたい
――子どもの頃から鍛えられていたんですね。濱田:その日の撮影が終わったら、翌日の撮影スケジュールをもらって、セリフを覚えてしっかり演技ができるように準備しておくというのは、子どもにとっては宿題みたいなものです。
宿題をちゃんとやっておけば、撮影はスムーズに進むし、大人たちは喜んで僕を仲間に入れてくれる。でもちゃんとやらないと、もう次は呼んでもらえない。ずっとそうやって仕事をしてきましたし、それがすごく楽しかったんです。
家庭と学校しかコミュニティがなかった子どもがいきなり社会に出るわけですから、それはもう刺激的で。その時のキラキラした時間が今も続いている感じがします。 ――今後、俳優としてやりたいこと、役などはありますか?
濱田:クラスのひょうきん者で、高嶺の花の女の子を追いかけているという役は、たくさん演じてきました(笑)。でも34歳になった今、「お父さん役」に興味があります。あまりやったことがないんですよ。もうお父さんを演じても違和感のない年齢だし、ガッツリ取り組んでみたいですね。まあ、チャレンジすることは、産みの苦しみも伴うんですけど、それも覚悟の上です。
ずっと大好きな映画は『ブルース・ブラザース』
――濱田さんの映画生活についてもお伺いしたいのですが、忘れられない映画、思い出の映画はありますか?濱田:おじいちゃんになっても「好きな映画を1本教えてください」と言われたら、僕はきっと『ブルース・ブラザース』(1980)を選びます。いつ観ても笑っちゃうし、元気をもらえる映画なんです。
ドンパチはあるけど、人は死なないし、主役のふたり(ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド)は周りを引っ掻き回しているけど、結局、荷物を背負わされるのはあのふたりというのが、僕には美しくてオシャレで粋に感じるんですよ。
それに音楽もいい! この映画の魅力は、世界中どこでも伝わると思うし、まさに国境を超えた映画だと思います。
――ありがとうございます! では最後に、完成した映画を観た感想と、映画を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
濱田:映画を観て、いちばんうれしかったのは、夢が叶ったことです。銭湯の常連客を僕の先輩俳優の皆さんが演じていますが、昭和から映画の世界で活躍していたすごい方ばかり。 そして、この映画が放つ昭和の雰囲気。「憧れの昭和の映画に出演できているじゃん」と、叶わないと思っていた夢が叶ったと感じました。鈴木雅之監督は、昭和の映画を撮ろうとしたわけじゃないと思いますが、僕はそう感じたんです。 昭和世代の方たちが観たら、どこか懐かしさを感じると思いますし、すごく温かい気持ちになれると思うんです。また、マーベル映画を見慣れた若い人にも新鮮に映るんじゃないかな。
本当に素敵な映画に出演できてうれしいし、いろいろな世代の方に見てほしい。「いい映画観たね、美味しいもの食べて帰ろうか」という気持ちになれる映画なので、ぜひよろしくお願いします!
濱田岳(はまだ・がく)さんのプロフィール
1988年、東京都生まれ。1998年ドラマ『ひとりぼっちの君に』(TBS)で子役デビュー。2004年『3年B組金八先生』(第7シリーズ/TBS)に出演。その後も演技派としてドラマ、映画など多くの作品で高評価を得ている。主な作品は映画『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007)『ゴールデンスランバー』(2010)『ポテチ』(2012)『ヒメアノ~ル』(2016)『喜劇 愛妻物語』(2020)ほか。最新出演作はドラマ『警視庁アウトサイダー』(2023/テレビ朝日)『湯道』(2023年2月23日公開)
監督:鈴木雅之企画・脚本:小山薫堂
出演:生田斗真、濱田岳、橋本環奈、ほか
【ストーリー】
亡き父が残した銭湯「まるきん温泉」にある日突然戻ってきた、建築家の長男・史朗(生田斗真)。目的は「まるきん温泉」を畳んで跡地をマンションにする計画を弟の悟朗(濱田岳)に伝えるため。勝手に出ていった兄の代わりに実家を継ぐことになった悟朗は、そんな兄に冷たく接します。ところが悟朗がアクシデントに巻き込まれ入院することに! 史朗は看板娘・いづみ(橋本環奈)の助言もあり、銭湯を手伝うことになるのですが……。
取材・撮影・文/斎藤 香
ヘアメイク:池田美里
スタイリスト:勝見宜人(KoaHole inc)