高校受験

アナウンサー採用試験とは違う!9割の高校受験生がしている「入試面接」の誤解5つ

合格者より不合格者がはるかに多い、都立高校の推薦入試。受験生がしがちな入試面接の5つの誤解を、正しい考え方とともにアドバイスします。

西村 創

執筆者:西村 創

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合格者より不合格者がはるかに多い、都立高校の推薦入試。受験業界に30年近くいる筆者が接してきた受験生の9割近くがしていた、高校入試の面接の誤解を5つお伝えします。
 

誤解1. 面接はただ質問に答えればいい ――あえて自分の“マイナス”をアピールに活かして

面接というものをどうとらえて臨むかによって、その評価は大きく分かれます。面接は、面接官の質問にただ答えて、合格・不合格の判断をされる場ではありません。面接官からされた質問を入り口にして、面接官とコミュニケーションをするなかで、自分がいかにその学校に入学するのにふさわしい人物であるかをアピールする場なのです。

では、どのようにアピールをすれば効果的なのでしょうか。まずは、自分を知ることです。次に、学校を知ること。自分を知って、学校を知る。これが面接準備のスタート地点です。その上で、学校と自分との接点、つまりお互いに求めることがマッチするところを探しましょう。探しても見つからないようであれば、そもそもその学校に入学する意味があるのか考え直す必要があるといえます。

そして、自分の過去・現在・将来が、志望先の学校とマッチすることがわかるようなエピソードを、面接官に伝えるのです。そのエピソードが自分だけの個性的な内容であるほど、面接官の印象に強く残ります。個性的といっても、なにも輝かしい過去・現在・将来を語る必要はありません。むしろ、うまくいかなくて苦しんだこと、それを乗り越えようと努力したり、工夫したりする姿勢こそ、学校が知りたいことなのです。あえて自分のダメな部分を伝えて、それを乗り越えるためにどうしてきたか、どうしているか、どうしていくのかを伝えると、個性的なストーリーになり、かつ、話の内容に真実味が生まれます。

たとえば、「勉強をどんなふうにがんばったか」について話す際に、「中1から塾に通っており、ずっと成績最上位のトップクラスに所属していました。模試では偏差値60を超えたこともあります」と答えたとします。立派な実績です。

では、「中2の定期テストで今までで一番ひどい成績を取って、そこからこのままではダメだと思って本気で勉強をし始めました。そうしたら、特に理系科目のおもしろさに気付き、いまでは高校も理系コースに進みたいと思うまでになりました」という回答はどうでしょうか。

この回答には、特に輝かしい実績はありません。でも、面接で高く評価されるのは、後者の回答パターンです。大人からすれば、中学生の実績というのは、よほど目立つことでない限り感心するほどのものではありません。それよりも、中学3年間でどれだけ成長したか、マイナスをプラスに変えられたか、そこが評価されるわけです。

うまくアピールするには、あえて自分のマイナスを紹介して、それをどう克服したか、克服しつつあるかを伝えるのが重要です。そうすると面接官は「この受験生は、うちに入学したらもっと成長しそうだな」と思ってくれます。
 

誤解2. できるだけ緊張しないで臨むべきだ ――むしろ緊張は面接の“味方”

入試本番に緊張してしまわないか、不安な人も多いでしょう。でも、緊張して不安なのはいいことです。むしろ、緊張していることが面接官に伝われば、「この受験生は、よほどうちに入学したいんだな」と思ってくれるはずです。

面接は、スピーチコンテストではありません。どれだけ受験生の望むことと学校がマッチングするか、どれだけ受験生にその学校に入りたいという熱意があるのかを確認する場です。だから面接では、緊張が面接官に伝わってしまったからといって、合格の可能性が下がるわけではないでしょう。

気を付けたいのは、むしろ緊張感なく面接に臨むことです。緊張感なく面接に臨むと、口ではどんなに立派なことを言ったとしても、面接官には「この受験生、本気でわが校に入りたいのかな?」と思われかねません。緊張は味方なのです。

とはいえ、「緊張で、頭が真っ白になってパニックになってしまったらどうしよう」と心配する人もいるでしょう。そういうときには、それをそのまま面接官に伝えればいいのです。「すみません、緊張して頭が混乱しています。落ち着くためにお時間を少しいただいてよいでしょうか?」とお願いして受け入れてもらいましょう。もしそれで不合格にされるようなら、自分とは合わない学校だったというだけのことです。

一番よくないのは、緊張してどんなふうに答えていいかわからなくなり、黙り込んでしまうことです。黙っていると、面接官には受験生がいまどういう状態にあるかがわかりません。面接は、コミュニケーションの場です。緊張したら、緊張していることを伝え、考える時間がほしかったら、考える時間がほしいと伝えましょう。

考える時間をもらうのは、悪いことではありません。質問を受け止めてよく考えるということは、それだけ質問に対して真剣に向き合う姿勢があるということですから、適当に答えるよりも、はるかにいい印象を与えます。
 

誤解3. 質問全てに答えるべき ――回答をごまかすとマイナス評価に……

面接官によっては、わざと答えづらい質問をしてくる場合があります。だからといって、馴染みのないテーマや難しいキーワードを出されるなど、自分のよく知らないことを聞かれても、ごまかすような回答はしないことです。

面接官は受験生にその知識がないことを容易に見抜けるので、知識がないことをごまかす態度にマイナスの評価を付けられかねません。

わからないことを聞かれた場合には、正直に知識がないことを伝えましょう。「すみません、そのことについては、不勉強で知識がありません。どういうことか、教えていただいてよいでしょうか?」と素直に伝えればいいのです。

面接は知識を問うものではなく、コミュニケーションですからね。わからないことはわからないと伝えた上で、今後勉強していきたいという姿勢を見せ、むしろプラスの評価を得るのです。
 

誤解4. 面接はよどみなく話すのがいい ――“不自然”な印象を与えかねない

面接はよどみなく話すのがいいと思って、準備して覚えてきた内容を早口で無感情に話す受験生はとても多いものです。面接練習をすると、ほとんどの生徒が覚えてきた内容を思い出しながら無感情に話します。

しかしそのような発表の仕方は、どんなに言っている内容が立派で、話し方もよどみなくムダがなくても、それがかえって不自然な印象を与えてしまいます。面接はアナウンサーの採用試験ではないのです。

面接では、話の内容だけでなく、気持ちも伝える必要があることを覚えておきましょう。人は論理だけでなく、感情でも判断する生き物です。言葉に気持ちを乗せて、はじめて相手の心に響くものになるのです。ひと言ずつ考えながら話し、ときに笑顔を交えて話すことで、気持ちをしっかりと伝えましょう。
 

誤解5. 面接は本番が大切だ ――合否の結果は「準備が9割」

面接は、本番前、準備の段階で9割結果が決まると筆者は考えます。本番よりも、準備が大事なのです。具体的にどう準備すればいいかというと、自分の「過去」を振り返り、「現在」に向き合って、「将来」を思い描くということです。

自分の「過去」を振り返って、これまでどんなことをしてきたか。自分の「現在」に向き合って、今どんなことに関心があって、どんなことが好きか。自分の「将来」を思い描いて、将来、どんなことに力を入れたいか、どんなことを生かして、どんな進路に進みたいか。自分の過去・現在・将来を、言葉で伝えられるように準備をするのです。

それができたら、次は志望先である学校のことを調べます。まずは、学校のホームページに書かれていることを読みましょう。次にその学校の在校生、卒業生やその保護者による口コミサイトの投稿で、リアルな実態もチェックしてみましょう。

さらに学校のことを知るには、たとえば塾に通っている場合は、講師にその高校のことを聞きましょう。場合によっては、塾からその志望校に進学した卒業生を紹介してくれるかもしれません。また、文化祭やオープンスクールなどで在校生に聞いたことも思い出しましょう。行動して得た情報は、志望動機として説得力のあるものになります。

学校調べが適当だと、面接官の質問に対して、ありきたりなことしか言えなくなります。「入学したら、力を入れたいことは?」という質問に「英語の勉強と学校行事です」などと答えても、面接官からすれば「英語の授業と学校行事は、他の学校にもあるのになぜうちを志望するの?」といまいち納得ができません。

「勉強をがんばりたい」「部活をがんばりたい」「学校行事をがんばりたい」、これらはどの学校でも言える志望理由です。どの学校でも言えるということは、どの学校にも説得力のない志望理由ということになります。「この学校だから行きたいんだ!」という思いが伝わる志望理由を言えるように、その学校にしか言えないことを答えるために、学校をよく調べましょう。

ということで今回は、入試面接の誤解についてお伝えしてきました。高校入試の面接についてアドバイスしましたが、大学の総合型選抜、中学入試の面接にも役立つ内容になっているため、ぜひ参考にしてください。

 
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