切手収集

実家で見つけたらラッキー「お宝」切手&年賀状ランキング!家宝にできるレアものも…

昔のお年玉の切手シートや年賀状のなかには「お宝アイテム」が見つかることもあります。実家の片付け中に「家宝」級の出合いがあるかもしれません。

板橋 祐己

執筆者:板橋 祐己

切手収集ガイド

令和5年のお正月はひさしぶりに郷里に帰るという方も多いのではないでしょうか。実家に届いた過去の年賀状を整理する機会があるかもしれません。昔のお年玉の切手シートや年賀状のなかには「お宝アイテム」が見つかることもありますので、専門家の目利きポイントを解説したいと思います。
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<目次>

第1位 |「富嶽の図」(渡辺崋山)20面小型シート

「富嶽の図」(渡辺崋山)20面小型シート

「富嶽の図」(渡辺崋山)20面小型シート

年賀状を送る習慣自体は明治6年(1873年)発行の「紅枠二つ折りはがき」(日本初の官製はがき)にも確認されますが、年賀郵便が制度化されたのは明治33年(1900年)の年賀状からです。年賀切手の登場は昭和10年(1935年)12月(一部先行発売あり)のこと。年賀状の早期差し出しを呼びかけるキャンペーンの一環として、昭和11年(1936年)用の年賀切手「富嶽の図」が発行されました。

「富嶽の図」図案の年賀切手は、100面シートだけでなく、20面小型シートも製造されました。こちらは昭和10年内から郵便局で限定発売されたもので、年賀小型シートの最初として人気が高く、未使用極美品で18万円のカタログ評価(『さくら切手カタログ2023年版』、日本郵趣協会/編)がついています。

保存状態によって値段は大きく変わりますが、日本最初の年賀小型シートが保管されていること自体めったにないことなので、それこそ「家宝」として大切にしてもいいかもしれません。なお、20面シートの購入者向けに配布された「切手題名入り紙袋」がついていれば、査定額は1万円ほどあがります。
 

第2位 |「円山応挙のトラ」小型シート

「円山応挙のトラ」小型シート

「円山応挙のトラ」小型シート

戦後に限ってみた場合、年賀小型シートの王様は昭和25年(1950年)の「円山応挙のトラ」でしょう。カタログ評価は4万5000円(未使用極美品※)となっています。

この切手は戦後発行の年賀切手として2例目ですが、郵政省が発行した最初の年賀切手にあたり、「お年玉付き年賀はがき」の発行が始まった初年の6等(末等)の景品でもあります。昭和25年用年賀はがきの当選本数360万枚のうち、引換枚数が89万8000枚に止まったことや根強い人気などから高値安定を維持しています。

※『さくら切手カタログ2023年版』(日本郵趣協会/編)
 

第3位 | 幻の昭和20年の年賀状

昭和20年の年賀状

昭和20年の年賀状

戦争の時代は年賀状の数が少なくなる傾向にあります。昭和12年(1937年)7月に日中戦争がはじまったことを受け、すでに昭和13年(1938年)には自粛ムードが広がっていましたし、昭和15年(1940年)には年賀郵便制度自体が中止になっています。

しかし年賀郵便制度がなくなっても、一部の人々のあいだではやりとりが続いていました。ほとんど取り扱われなかった昭和19年(1944年)、昭和20年(1945年)のものは「幻の年賀状」として珍重されています。戦時中ということもあり、楠公はがきと呼ばれる官製はがきのみの簡素なものが多いのですが、数千円から1万円程度の市場評価を受ける場合もあります。概ね昭和13年から昭和23年にかけては年賀状が少なく、消印などのいくつかの要因によっては「お宝」に化けるものもあるので、粗末に扱ってはいけません。
 

第4位 | 5円年賀切手の年賀印

5円年賀切手の年賀印

5円年賀切手の年賀印

昭和25年用の「応挙のトラ」以降、年賀切手は新年の慶祝切手として年明け以降に発行されていました。しかし昭和29年の年賀切手からは年末の鉄道輸送の繁忙期を避けるために、早めに印刷製造を終えて11月下旬に各郵便局へ配給されることとなりました。これが現在まで続く年賀切手と年賀はがきが併売されるスタイルの始まりです。

ところが、通常の郵便はがき料金が5円だったのに対して、年賀はがきは特別料金で4円でした。年賀切手はいずれも5円額面だったので、年賀状に1円分を過納して使う利用者は少数派だったのです。そのため、昭和29年から昭和41年にかけての5円額面の年賀切手の年賀印・元日印は1000円から5000円ほどで取引されることもあります。
 

番外編 | 100年前の年賀状?

100年前の年賀状にも新たな光が……

100年前の年賀状にも新たな光が……

明治33年から続いてきた年賀郵便制度ですが、これまでに戦争以外の理由で中止されたことが2回だけあります。1回目は大正12年(1923年)9月1日に発生した関東大震災のときで、翌年向けの特別取扱いは休止されました。2回目はすでに差し出し済みの年賀状も多かったのですが、大正天皇が崩御した大正15年(1926年)12月25日の翌日から取扱いを中止しています。

ここに示すのは震災はがきの市郡同高タイプ(震災後に民間印刷された官製はがきの一種)を使用した年賀状です。年賀郵便取扱いのなかった年のものですが、被災地東京であっても、やはり年賀の挨拶くらいはしたいと願うのが人情なのかもしれません。

令和5年(2023年)は関東大震災100年であり、令和8年(2026年)には昭和100年を迎えます。これから改めて大正の終わりから昭和の始まりにかけての年賀状にも新たな光が当てられるのではないでしょうか。

※図版協力:ロータスフィラテリックセンター(東京)

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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