映画

「無理に分かろうとしなくていい」災害で妻子を亡くした漁師に向き合う女性、三浦透子が演じて思うこと(4ページ目)

映画『とべない風船』に出演している三浦透子さんにインタビュー。第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で素晴らしい芝居を見せてくれた三浦さんは、本作でも役の芯を捉えた演技で人々を魅了しています。

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

楽しい! 体を通して学びを得る歌手活動 

――三浦さんは歌手活動も活発にされていますが、それは演技と同じく「表現する」ことができるからですか?
 
三浦
:俳優も歌手も体を使う仕事というのが共通点で、机上ではなく、体を通して学べるというのが私としては魅力です。特に歌はフィジカルな作業で、歌うことで、その日の体調も分かるし、技術を磨いていく感覚もあり、歌は本当に楽しいです。 お芝居は……脚本を読んだり、演じる役のことを考えたりする時間は、自分のことを考えている時間でもあると感じます。「この役は、こういうことを考えているのか」とか、「ここは自分と一緒だな」「こういう考え方もあるのか」など、自分の中で新しい何かが生まれたり、自分の知らなかった自分に気付いたりできる。
 
どちらも自分と向き合う作業です。表現の種類は違いますが、そういった意味で、歌と演技は本質的に一緒かなと思っています。
「とべない風船」

(C)buzzCrow Inc.

――では最後に、完成した映画を観た感想と作品の魅力について教えてください。
 
三浦
:セリフがなく、歩くとか、車に乗ってただ窓から外を見ているとか、そういうシーンが多いので、撮影の時は「何もしていないけど大丈夫だろうか」という不安もありました。
 
でも映画を観たら、そんな心配はちっぽけなものに感じました。それほど場所の力が大きくて、圧倒的なパワーで場面を支えてくれていると感じました。

『とべない風船』は、広島でしか撮影できない映画。凛子が少しずつ変化していく姿と瀬戸内海の美しい眺めをぜひみなさんにも楽しんでいただきたいです。
 
撮影・取材・文/斎藤 香
 

三浦透子(みうら・とうこ)さんのプロフィール

1996年、北海道生まれ。2002年にSUNTORY「なっちゃん」のCMで2代目なっちゃんとしてデビュー。その後、子役としてドラマなどに出演しつつ、キャリアを積み重ね、女優として活動の幅を広げていく。主な出演作は『私たちのハァハァ』(2015)『月子』(2017)『あの日のオルガン』(2019)『ロマンスドール』(2020)『スパゲティコード・ラブ』(2021)そして、ヒロインを務めた『ドライブ・マイ・カー』(2021)が第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。近作は主演映画『そばかす』(2022年12月16日公開)のほか、Amazon Original『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』『エルピスー希望、あるいは災いー』(フジテレビ)『鎌倉殿の13人』(NHK)(いずれも2022)『山女』(2023年公開予定)。

『とべない風船』

「とべない風船」

(C)buzzCrow Inc.

2022年12月1日より、広島県先行公開中。2023年1月16日より新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー。

監督・脚本:宮川博至
出演:東出昌大、三浦透子、小林薫、浅田美代子、原日出子、堀部圭亮、笠原秀幸、有香、中川晴樹、柿辰丸、根矢涼香、遠山雄、なかむらさち
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