睡眠不足で経済にダメージ!? 損失額の試算でわかったこと
睡眠不足で12.4万円分、損をする!?
睡眠不足の状態では勉強や仕事に集中できなかったり、思わぬ失敗をしてしまったりするものです。2020年に行われた慶應義塾大学などからなるチームの試算によると、睡眠の問題が生産性の低下を招き、年間、少なくとも1人あたり12万4000円、日本全体では7兆5000億円の損失になっているようです。
少し前の調査ですが、2007年にも、日本大学精神科のチームが日本での睡眠障害による経済的損失を推計しています。この調査では、睡眠の問題が原因で起こる作業効率の低下は、男性一人当たり年間25万5600円、女性1人当たり年間13万7000円と報告されています。これを日本全体に当てはめた場合、眠気による作業効率の低下で起こる経済損失はなんと3兆665億円。眠気が原因の欠勤による損失は731億円。同様に、遅刻が810億円、早退が75億円、交通事故が2413億円と試算されています。
あわせると日本での睡眠障害による経済的損失は、年間3兆4694億円にも達していたのです。当時の国内総生産(GDP)の0.7%にも相当する金額が、睡眠不足によって失われていることになります。
GDP3%の消滅に匹敵……深刻な日本の睡眠障害
さらに巨額が失われているという推計もあります。米国・ランド研究所の調査では、睡眠障害による生産性の低下や交通事故死などのために、日本では年間約15兆円もの経済的損失が起こっていると報告されています。つまり、GDPの3%近くに匹敵する金額を、睡眠障害によって毎年失っているとも言えるのです。毎日目にする商品の値段や、給与の増減には敏感な人が多いと思いますが、実は睡眠の量や質も経済に影響することは、知らない人が多いのではないかと思います。経済の回復はすぐにとはいかないかもしれませんが、まずは一人一人がよい睡眠をとって、コンディションを整えていきましょう。