法定調書の提出枚数が100枚以上ではデジタル処理が義務化
そもそも税務関連の書類提出について、条件にあてはまる事業者は2021年1月1日(令和3年1月1日)より、デジタル処理をしての提出が義務づけられています。税務関連の書類をデジタル処理で提出しなくてはならない事業者とは「前々年に提出すべきであった法定調書(源泉徴収票や支払調書)の提出枚数が100枚以上である」業者が対象となります。(2019年の法定調書の枚数が100枚以上→2021年から義務化という形です)
以下の方法のいずれかで提出することになります。
- インターネットを利用したe-Taxを使用して送付する方法
- CD、DVDなど光ディスク等を使用して送付する方法
- 国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等を利用して提出する方法
年末調整がデジタル化する目的としては、国税庁が正確に、従業員の所得を把握することにあります。年末調整とは、従業員が会社に提出した書類を、会社側は内容のチェックをした上で、入力をして「データ化」を行います。人力で行っている作業をデジタル化することにより、ミスが起きないようにするという目的があります。
年末調整のデジタル化は、「前々年に提出すべきであった法定調書(源泉徴収票や支払調書)の提出枚数が100枚以上である」という条件に当てはまる大手企業だけではなく、近いうちに中小・零細企業にも導入される可能性があるでしょう。
年末調整書類がデジタル化されることによるメリットとは?
では、従業員にとっての、年末調整がデジタル化された場合のメリットとは何でしょうか?大きく2点あるといわれています。【従業員にとってのメリット】
・年末調整用紙の記入・自分で計算する等の手間が省ける
・わざわざ出社して年末調整書類を取りに行ったり、提出しに行ったりする必要がない
電子化によって、企業が導入している年末調整のシステムに、入力していくだけですみます。たとえば「控除証明書」の何をどこに記入すればいい?ということもなくなりますし、自動入力、自動計算なので、計算ミスしていないか?という心配も減るでしょう。年末調整の手続きがペーパーレス化すると年末調整の用紙を勤務先に受け取りに行ったりする必要がなくなります。
ちなみに、用紙がなくなることによって、勤務先にもメリットがあります。従業員から提出された書類のチェックやデータ化の手間が省けるうえ、従業員から提出された年末調整書類は、企業側が7年間は保管する必要がありますが、保管するスペースを確保する必要がなくなります。
年末調整のデジタル化で従業員がもとめられることとは
年末調整作業がデジタル化されると、これまで「手書き等で作成していた年末調整書類」について、「パソコンやスマホで作成し、印刷せずにデータのまま給与担当者に提出する」ことになります。国税庁ではホームページ上で「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」をダウンロードでき、それに家族の情報を入力すれば、扶養控除等が受けられるか判定できます。
デジタル化でポイントとなるのは「これまでハガキ等で送付されていた(保険料・住宅ローン等)控除証明書等について、データで取得する」ということかもしれません。
控除証明書等をデータで取得するためには……
- マイナポータル連携を利用して一括取得する方法
- 会社のホームページ等からダウンロードする方法
いずれにしても家族状況の入力、控除証明書の取得は、アナログ、デジタルにかかわらず、本人にしかできないので、そのアナログ作業がデジタルに置き換わるだけ、と考えれば気が楽かもしれません。
税務以外の分野においても、デジタル庁が2021年9月に設置されたり、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるなど、デジタルトランスフォーメーションの推進の流れは止まらないと考えます。
たとえば「控除証明書を紛失した」ケースで「再発行」してもらうという場合に、「電子データで再発行をしてもらうには」というようなことも調べてみてはいかがでしょうか。
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