脳科学・脳の健康

睡眠不足はなぜ悪い?睡眠時間を削ると何が起こるのか

【脳科学者が解説】睡眠不足は、ただ眠たくてパフォーマンスが落ちるだけではありません。感染症やその他の重大な病気のリスクも上がるなど、健康にもさまざまな悪影響が及びます。睡眠時間を削ることで何が起こるのか、そこから睡眠の重要性について考えてみましょう。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

睡眠はエネルギー節約、体力の回復・向上のため

なぜ私たちは毎日眠るのでしょうか?


皆さんは、毎日よく眠れていますか?

筆者は、仕事が忙しくて、なかなか睡眠時間がとれていません。だいたい夜の1時か2時くらいまではパソコンに向かって作業をしていて、朝は普通に6時くらいには起きなければなりませんから、一日の睡眠時間は4~5時間というところでしょうか。実は今まさにこの記事の執筆も夜中にやっています。一日でいいから、たまにはもっと早く床について、朝までぐっすり、死んだように爆睡したいなあなんて思うこともあります。これではよくないと分かっていても、ついつい睡眠不足を感じる毎日を過ごしてしまっています。

ところで、私たちはなぜ毎日眠るのでしょうか。必要なことだからこそ、毎日規則正しく眠たくなり「睡眠」をとっているにちがいありません。睡眠不足が原因で起こることから、睡眠の重要性について考えてみましょう。

<目次>  

睡眠時間を削ると寿命に関わることも

睡眠時間と寿命には関連があります。「睡眠中の代謝率の低い動物ほど、寿命が長い」という法則がありますが、これは、睡眠によって無駄なエネルギーを消費せずに済むからだと考えられます。

エネルギーを消費せずに済む、というのは、単に「疲れずに済む」という意味ではありません。私たちの免疫力の源である白血球が十分にはたらくためには、エネルギーが欠かせないのです。ネズミをずっと断眠状態にする実験では、2週間足らずで全個体が死亡してしまったと報告されています。ひどい睡眠不足は命にかかわることもあるのです。白血球が十分にはたらかず、免疫機能が低下したことにより、重度の全身性の感染症になったためと考えられています。詳しくは「Q. 『眠らないと死ぬ』って本当?」をご覧ください。
 

睡眠不足だと風邪やインフルエンザにかかりやすくなる

ネズミの実験からもわかる通り、睡眠不足になると、免疫力が低下して感染症にもかかりやすくなります。これは、重大な病気だけでなく、よくある風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症も同じです。

詳しくは「Q. 『眠らないと風邪をひきやすくなる』って本当?」で解説していますので、ご覧ください。
 

睡眠不足は肌荒れの原因になる

また、睡眠不足は健康面だけでなく美容面にも影響します。寝不足の日は「お肌の調子が悪い」と感じることがあると思いますが、これも肌トラブルを修復する免疫が十分にはたらかないためです。詳しくは、「Q. 睡眠不足で肌荒れするのはなぜですか?」をご覧ください。
 

睡眠不足だと、がん・糖尿病リスクも上がる

また、睡眠不足の状態が長期に及ぶと、がんや糖尿病などのリスクが上がることも分かっています。しっかり睡眠をとることで、免疫力を高め、病気にかかりにくいように整えることも大事です。

睡眠はエネルギーを節約し、体力を回復・向上させ、大切な免疫機能を維持するために重要ですが、これら以外にも睡眠のメリットはたくさんあります。一方で、睡眠の生理的意義については、古くから多くの研究者が解明しようと取り組んできましたが、実はまだ完全には解明されていないのです。心身の健康を守るためには毎日の睡眠が重要であることを認識し、忙しくても最低限の睡眠はしっかり確保するようにしてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます