子連れで電車・バスに乗った際の事例……赤ちゃんが泣く場合は
電車・バスで赤ちゃんが泣くときは?
ここではAll About編集部で募集した親子の事例と乗客として居合わせた人の事例をもとに、電車やバスなどに乗る際の心がけについて考えていきたいと思います。
事例1:必死にあやしても泣きやまなくて、途中下車して授乳
あやしても泣き止まない0歳の娘
同じ“子連れ”でも、買い物に困るといった場合は、夫婦で手分けしたりネットスーパーを利用したりと他にできる工夫もあるでしょう。しかし電車やバスなどの移動はそれ以外の方法がなく、せざるを得ない状況のことも多いものです。この点が多くの方を悩ませる部分です。0歳の長女と2人で実家に帰省中のときのことです。電車の揺れ心地のおかげでしばらくはお昼寝をしてくれたのですが、目が覚めたときから機嫌がとても悪くなってしまいました。お腹が空いているのか、オムツを交換してほしいのかもわからず、もう少しで目的地というところでしたが、仕方なく授乳室を探すために途中下車してから、再び電車に乗って実家にたどり着きました。
泣き止まない間、周りの視線がとても痛かったのですが、ありがたいことに「赤ちゃん、可愛いね」と多くの人に声をかけてもらいました。もし電車やバスで他の子が泣いていたら、「大丈夫だよ」と私も伝えてあげたいです。それだけであやしている親の心は救われると思います。(投稿者:37歳女性)
ピタッと泣き止む秘策があればいいのですが、特に0歳の赤ちゃんは車内の音や湿度、気温などにも反応しやすいですから、泣き止ませようとして泣き止むものではありません。
こんなとき周囲の目線がとても気になりますが、次の乗客側の事例を見ると、そこに乗り合わせた人が、どのようなときに気持ちを逆なでされやすいのかという心理が見えてきます。対応へのヒントをくれているようにも思いますので、一緒に見ていきましょう。
事例2:騒いでいる子を“放置”して、スマホゲームに集中する親
居合わせた乗客は、親が我関せずとばかりに自分事としては捉えていないことにイライラしているということです。子育て中の私たちであっても、同じような状況で何も関与しない親御さんを見たら、イラッとするのではないでしょうか。子どもが靴のまま椅子に立ったり窓を叩いたり、とにかくうるさくしているのに親がイヤホンをしたままスマホでゲームをしていて一切注意もせず、降りるまでほったらかしていました。
小さな子がじっとしていられないのはわかりますが、その子がやっていることは絶対にマナー違反だし、親に静かにさせようという努力がないのも許せません。隣のおばさんが注意していましたが、子どもは何も聞かないどころか、それを見ている親も何もしませんでした。(投稿者:46歳女性)
また「ある程度の年齢なのに車内のマナーを守れない」という年齢的な面も怒りを助長する要因になっていると思われます。
事例3:「知らない人から怒られちゃうよ」注意する親、改善しない子
こちらの事例に見られる「うるさいと知らない人から怒られるよ」という注意の仕方は、その場に居合わせた人にとって気持ちのいいものではありません。電車内で靴を脱がずに座席に立ち上がる子がいたのですが、親はスマホを見ていて注意しようともしません。子どもが奇声をあげたり窓を叩いたりしだしたため、親がようやくスマホをやめて子どもを座席から下ろしたのですが、下ろされた子はますます泣き叫び暴れるばかり。
騒ぎ出した子どもに親は「うるさいと知らない人から怒られるよ」と注意していましたが、改善されませんでした。(投稿者:33歳女性)
親自身が注意してもどうせ言うことを聞かないだろうから、ならば「他のだれかに怒られるよ」と子どもを脅かして従わせよう、こんな心理が働いているのかもしれませんが、結果的には子どもには届かず、周囲の人々には響いてしまっている状態です。
うっかり言ってしまいがちな言葉ですが、自分の言葉が周囲を逆なでしている可能性もあるということは振り返りたいところです。
事例4:窓から電車を見ようとして、靴で前の人を蹴ってしまい……
窓から対向の電車を見たがる息子
0歳の赤ちゃんであれば泣いてしまう、自分で歩いて活動するようになったら車内ではしゃいでしまう。これはよくあることです。ただ、そこで親までもがそれを許容し、何も働きかけをしないというのはやはりNGです。電車好きの息子は対向の電車が見たくて、よく窓に向かって膝立ちで席に乗ることがありました。そんなときは「靴を脱ぐんだよ、脱がないと席が汚れちゃうからね」と声かけをするのですが、その日は靴のまま膝立ちをしてしまい、前に立っている人の足と鞄を蹴ってしまうということがありました。
蹴ってしまった人に謝罪して、すぐに靴を脱がせて本人にも注意をしました。その後もうっかり膝立ちしてしまうことが数回ありましたが、基本的には自分から靴を脱いでその体勢になるようになりました。迷惑をかけないか心配になりますが、周囲からは息子のことを微笑ましいというような顔で見守っていただくことが多いように感じます。(投稿者:33歳女性)
公共のマナーにおいて、親がきちんと働きかけているかということは非常に大事なポイントで、もし頑張って何とかしようとやっているのにどうにも改善しないという場合は、事例2、3のようないら立ちにはつながらず、きっと多くの人が寛容になってくれると思うのです。
「子連れお断り」の社会なのか? 理解はあっても親への許容ではない
実は筆者にも同様の経験があります。当時フランスに住んでいて、0歳だった娘を連れて帰省しようと乗り込んだ飛行機内での出来事です。たまたま隣の座席だった初老のご夫婦が、“大の子ども嫌い”だったようで、私たちの顔を見るなり、娘が泣いているわけでもないのに「席を変えてくれ!」とクレームを出したのです。あからさまにイヤな態度を取られつつも、飛行機なので途中下車することもできず、それから10時間強の多くを自分の座席外で過ごしました。とにかく「早く着いてほしい」の一心でした。
座席では散々な思いをした一方で、座席外ではとても救われました。娘を抱っこしながら機内のドアの辺りをフラフラしていると、乗員の方も乗客の方もみなさんもれなく親切にしてくださり、「抱っこしてますからお食事をとってくださいね」「あやしているからトイレ行っておいで」と気持ちをほぐしてくれたのです。
この事例の老夫婦のように、泣いていようがいまいが子どもは嫌いという方も中にはいますが、一般的に見れば、赤ちゃんは泣くことだってあるし、子どももじっとしているのは苦手だろうという許容は持ち合わせているように思います。
だからといって、それは子どもが騒いでいるときに親が何もしないということへの許容ではありません。その点を誤解しないことが重要です。みんなが快適に過ごせるように努めていく姿勢が、だれにとっても大事なのだと思います。
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