年金の平均月額と、65歳以上の一人暮らしの平均的な生活費の内訳
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)」によると、老齢厚生年金の平均月額は14万4366円です。しかし、年金だけで生活する場合、国民健康保険料・介護保険料・住民税などが天引きされます。そうなれば、1カ月あたり約15万円の年金も、もしかしたら10万円ぐらいしか受け取れないかもしれません。一方、65歳以上の単身世帯の生活費はどうなっているのでしょうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年4~6月期平均」から、ひも解いてみましょう。
「65歳以上の単身世帯」の基本情報は、平均年齢が76歳。有業者比率が0.21%であるため、働きにいかず年金で生計を立てています。持家率は82.8%となっていることより、住居項目の支出額は少なくなっています。もし、賃貸にお住まいの場合、家賃分がプラスされると考える必要があります。
65歳以上の単身世帯の1カ月間の支出の内訳は、画像のとおりです。 一人暮らしに毎月かかる費用の平均額は、14万4860円です。もし、年金収入が10万円だとしたら、貯蓄から毎月約5万円が着実に減っていくことになるでしょう。そうなれば、1年で60万円、5年で300万円、10年で600万円がなくなってしまいます。
そうならないためには、1カ月約15万円の支出を約30%削減した、10万円でやりくりすることが理想的ではないでしょうか。
「今でも、そんなに贅沢はしていないのに、さらに節約なんて……ありえない」と思うかもしれません。しかし、10万円でやりくりすることができなければ、貯蓄を崩しながらの生活となり、日々、資産が目減りする恐怖を感じながら過ごすことになってしまいます。まずは10万円という予算内で生活費をおさめるためのチャレンジをしてみませんか。もし、うまくいけば、貯蓄がどんどん減っていく不安から解放され、ゆったりとした日々を楽しむことができるはずです。
「10万円以内の生活になれば、しめたもの。試してみよう」という軽い気持ちで取り組みましょう。その際、ただケチケチするのは面白くありません。今までと違う価値を見つける工夫をしてみましょう。以下は、1カ月を10万円で暮らすためのコツについて解説します。
1カ月を10万円で暮らすためのコツ(1)お金の使い方の枠組みを決める
1カ月で約15万円の支出には、目立つ浪費、ムダ遣いなどは少ないといえます。レシートを細かに確認するよりは、すべての費目を30%減で予算を決めてしまい、即、実行するようにしてみましょう。または、交際費や外食など、生活に支障のないものを一旦やめてみるのもよいかもしれません。まずは、月10万円で生活すると決意し、その後、目標達成するための、明確なルールを決めるのがポイントです。1カ月ごとのお金の枠組みを決めてしまえば、お金の使い方が変わるはずです。今まで、なんとなくしていた買い物が「予算、大丈夫かな?」というふうに気にするようになります。あまり気にしたことのない、細かな支払いに注意が向くようになるでしょう。支出が徐々に管理されれば、家計はどんどん健全になっていくはずです。
1カ月を10万円で暮らすためのコツ(2)手間暇かけて家の隅々まで整理する
現役時代は、毎日仕事や家事で忙しく暮らしていたものです。家の中も、その時々で整理できればいいですが「なかなか時間がなくて……」という理由で、片付いていないケースが多くあります。定年後は、有り余る時間が手に入ります。まずは、家の中を片付けて、すっきりさせてみてはどうでしょう。家の中にある不要なものを目の前に集めて、捨てるか使うかなど考えながら向き合っていると「今までムダなものにお金を使ってきたな……」という気持ちが沸々湧いてきて「もうムダなものを増やしたくない!」と思うかもしれません。そして、案外、その時を境に物欲が消えてしまうという副次的効果が得られることもあります。
すべての人がそうなる訳ではありませんが、家の中の整理は、有り余る時間がなければ、なかなかできないものです。この機会に、家の隅々まで、手間を惜しまずキレイにしましょう。「時間にゆとりがあるお陰で、こんなにスッキリできた!」と気持ちが上向くはずです。
1カ月を10万円で暮らすためのコツ(3)お得なサービスを積極的に利用
定年後、なにか趣味を持つことは大事です。しかし、食べ歩きや旅行などのように、お金のかかる趣味ばかりだと、とても年金の10万円だけではやっていけません。お金をかけない、かからない工夫や発想をしましょう。たとえば、図書館で本を借りてくれば、無料でさまざまな本が読めます。自治体ごとのスポーツクラブに参加すれば、格安な参加費でいろんなスポーツを楽しめるでしょう。また、映画が好きなら、映画が一定料金で見放題になるサービスを利用すると数多くの作品が楽しめます。探せば、お得に利用できるサービスは多くあります。自分に合ったものを探してみましょう。
まとめ
10万円以内で暮らすには、お金をかけずに日々を楽しむ工夫が大切です。世の中には、無料だったり、お得に利用できるサービスも多いもの。自分に合うやり方で、節約に取り組みましょう。【関連記事をチェック!】
老後をイキイキと暮らすための、50歳からの趣味の見つけ方
65歳以上の5人に1人が一人暮らし…50代で考えておきたい「定年後の人付き合い」
50歳からの人生は、思った以上に長い!充実させるために準備しておきたいこと