生命保険

生命保険会社42社の業績ランキング【2021年度・最新】

新型コロナウイルス感染症が広がり始めてから2年、生命保険会社の業績にどのような影響があったのでしょうか? 今回は2021年度の決算から年換算保険料とソルベンシー・マージン比率、保険会社の支払いに着目してみました。

松浦 建二

執筆者:松浦 建二

医療保険ガイド

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新型コロナウイルス感染症が広がり始めてから2年、生命保険会社の業績にどのような影響があったのでしょうか?

今回は2021年度の決算から年換算保険料とソルベンシー・マージン比率、保険会社の支払いに着目してみました。
 

2年連続で新契約の年換算保険料がプラスなのは13社しかない

年換算保険料とは、1回あたりの保険料に支払方法に応じた係数を乗じて、1年あたりの保険料に換算した金額のことです。わかりやすく大ざっぱにいえば、保険会社が加入者から受け取る保険料総額のことです。
 
2021年度の新契約の年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)が多い順に並べてみました。保険会社によって年換算保険料の単位が「億円」と「百万円」に分かれています。
年換算保険料,新契約

年換算保険料(新契約)


新契約の年換算保険料が最も多いのは日本生命の2739億円で、2020年度から一気に640億円増やし、2019年度も235億円上回っています。ただ、表にありませんが2018年度は3112億円なので、まだまだ喜べる数字ではないのかもしれません。2番目以降は2020年度から順番が変動していて、2番目に第一フロンティア生命(1179億3800万円)、3番目にソニー生命(1054億9200円)となっています。
 
かんぽ生命は2019年度の1472億円から2020年度に306億円へ激減しましたが、2021年度は461億円で少し持ち直しています。メディケア生命とはなさく生命が2年連続で大きく増やしている一方で、オリックス生命とチューリッヒ生命が大きく減らしています。13社が2年連続で新契約の年換算保険料を増やしていますが、2018年から3年連続増加となると4社しかありません。新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、主力商品の競争激化や運用環境の変化、税制変更等が影響していると考えられます。
 
生命保険の保険料は、貯蓄性のある保険商品や法人向けの保険商品で比較的高額になり、保障性の強い個人向けの保険商品は保険料が低額になりやすいです。年換算保険料にもその傾向があり、各保険会社がどのような保険商品を主力にしているかで大きく変わってきます。新契約の販売動向を比較する場合は、新契約件数も併せて確認するとよいでしょう。
 

保有契約の年換算保険料は17社が2019年度比でマイナス

次に、保有契約の年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)を多い順に並べてみました。
年換算保険料,保有契約

年換算保険料(保有契約)


保有契約の年換算保険料が最も多かったのも日本生命(3兆7700億円)で、2番目がかんぽ生命(2兆8862億円)、3番目が住友生命(2兆2693億円)となっています。8社が1兆円を超えていますが、そのうち2020年度比で増えたのは3社のみ、2019年度比でも3社のみです。
 
この2年間で大きく増やしたのは、はなさく生命、メディケア生命、ライフネット生命、アクサダイレクト生命等、ネット系や新しい保険会社が多く、大きく減らしたのはイオン・アリアンツ生命、かんぽ生命等となっています。
 
保有契約の年換算保険料が2020年度に比べてプラスなのは24社、マイナスなのは17社で、2019年度と比べてもプラスが24社、マイナスが17社となっています。まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている保険会社が多いのではないでしょうか。
 

28社が2019年度比でソルベンシー・マージン比率を下げている

次にソルベンシー・マージン比率を、比率が高い順に並べてみました。ソルベンシー・マージン比率は、生命保険会社の健全性を確認する指標の一つで、保険金等の支払余力がどのくらいあるかを表しています。単位はパーセントで表記しています。
生命保険会社,ソルベンシー・マージン比率

各保険会社のソルベンシー・マージン比率


2021年度のソルベンシー・マージン比率が最も高いのは、2021年度に販売開始したなないろ生命の14552.5%、2番目が2019年に販売開始したはなさく生命の6993%となっています。最も低くても第一フロンティア生命の516.8%と、どこも健全性の目安とされる200%を大幅に上回っているので、ソルベンシー・マージン比率からみた健全性は問題ありません。

ソルベンシー・マージン比率の計算式は複雑なので覚える必要はないですが、簡単にいえば高く安定している方がよいです。加入している保険会社については、安心のために2018年度以前の比率も確認しておきたいところです。
 

新型コロナウイルス感染症に関する支払いは激増している!

生命保険会社では、新型コロナウイルス感染症の陽性者に対し、自宅等で療養した場合(みなし入院)でも入院給付金を支払う特別対応を続けています。新型コロナウイルス感染症の感染者数増加によって支払金が増えていないか、住友生命・日本生命・明治安田生命の決算資料から、入院給付金と死亡保険金の件数・金額を確認してみました。
 
新型コロナウイルス感染症,支払

新型コロナウイルス感染症に関する支払


入院給付金は医療保険や終身保険等の特約に保障があり、死亡保険金は終身保険・定期保険・収入保障保険等に保障があります。

新型コロナウイルス感染症に関する入院給付金の支払いは、3社いずれも2021年度に急増しています。支払件数は住友生命が9032件→8万1262件へと約9倍、日本生命は1万5580件→15万1610件へと約10倍、明治安田生命は8055件→6万9694件へと9倍弱と大きく増え、支払額も同じような割合で大きく増えています。

直近の2022年4月以降ではさらに増え続けており、住友生命では2022年4~6月のわずか3カ月で12万8663件、157億2000円となっており、2021年度の年間の件数・金額ともに超えています。死亡保険金は入院給付金ほど件数の増加はみられませんが、3社いずれも2020年度に比べて増えています。

ここまで陽性者数が増えるとは保険会社も予想していなかったはずです。今後も陽性者が増え続ければ、保険会社の支払額はさらに増え続けます。どこかのタイミングで新型コロナウイルス感染症に対する考え方が変わり、みなし入院にも支払うことを止める日が来るのではないでしょうか。

生命保険会社の決算資料をみると、各社の特徴や経営状況がよくわかります。生命保険会社は42社もあるので、他社と比較したり過去と比較したりするのもよいです。特に加入している生命保険会社は何十年もお付き合いすることになるので、安心できる経営状況か念入りに調べてみるとよいでしょう。

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