子育て事情

一見ラクなようで実際は…勢力拡大「セルフレジ」で増えるトラブル、どう割り切る?

コロナ禍も3年目に入り更に半年。人員コスト削減に加え他人との接触を避ける企図も兼ねるセルフレジとの遭遇頻度は増える一方、トラブルも少なくありません。私たちはどのようにセルフレジと対峙していくべきなのでしょうか。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

セルフレジに対するネガティブな感情

コロナ禍も3年目に入り、さらに半年。人員コスト削減に加え他人との接触を避ける企図も兼ねる「セルフレジ」との遭遇頻度はもはや増えこそすれ、減ることはありません。
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とはいえまだまだ慣れない道具、トラブルも少なくなくセルフレジに対するネガティブ感情もまた増えこそすれ、減ることはまだない様子です。このある意味過渡期にある今、私たちはどのようにセルフレジと対峙していくべきなのでしょうか。
 

本来“それなりの緊張感”を伴う「お会計」

唐突ですが……ちょっと思い出してみましょう。生まれて初めて「お買い物」を自分一人で行った日のことを。昭和生まれの筆者は近所の駄菓子屋でそれを体験しました。親から預かった硬貨と、望んだ駄菓子とを自らの手で交換した、あの不思議な高揚感。半世紀……50年(!)近い時間が経過してもなお覚えているくらいなので、インパクトはよほどです。あるいはそんな些事はともかく、生まれて初めてカードで大きな買い物をした時のことなら覚えているという人もいるでしょう。

手持ちのお金は、カード残高は足りるのか、金額は、割引率は、お釣りは間違われたりしないか?

他人と対面し、なまのお金を介しての「買い物」「お会計」に際しては、本来誰しもそれなりの緊張感が伴うものだったはずです。私たちが毎度そう意識しているかどうかは別にして、そこでは売買契約というしかつめらしい法律行為がいちいち締結されています。お金を払ったんだから、これ私のものですよ、ドロボウしていませんよ!と他人に対して堂々と言えるための大切なプロセス、「お会計」。
 

セルフレジは「脳負荷を強いる」システム

その双方向的な営みを、一方である「買い手」側の間違いのない作業と高い道徳心、良心に委ねられているのが「セルフレジ」なるものです。

雨後のタケノコの如くここ数年で、アパレル、スーパー、コンビニ等々に現れ出たこのセルフレジ。一般的にどのように捉えられているのかわかりませんが、筆者自身がまず感じたのは「これはなかなかの脳負荷を強いるシステムだ」というものでした。

つまるところ、本来はお店の人に半分委ねていた類の判断やら緊張を、セルフレジでは文字通りマイセルフが全て背負って行わなければなりません。いっぱい買っちゃったけど点数は合ってるだろうか、このお惣菜はちゃんと割引されているか、めっちゃ高いけどこの合計金額は変ではないか、おっとポイントはちゃんとついてるか、云々。

結構な負担が、買い手の側にかかります。なんならもともと買ったものの袋詰め自体、自分で考え考え行うのは毎度難儀なのに、これは負荷倍増かそれ以上です。
 

セルフレジか、有人レジかで迷ったら

そのため実のところよほどでない限り、筆者はセルフレジを使いません。とはいえ業種や店舗によってすでに有人レジは1つ2つしかなく、残り8つが皆セルフレジになっているなど、ほぼ望むと望まざるとにかかわらずセルフレジを使用せざるを得ないこともあります。

そういう場合にはもたつきながらも文字通りセルフで会計を済ませなければなりません。できないわけではないので諦めつつの作業です。そうしてまあ全体的には、全部がこういう方向では進んでいくのだろうという諦めもまた生じてはいるのです。

いずれ慣れてゆかねばならないセルフレジに対し、個人的には以下のような割り切りで使用しています。

・買い物の点数が少なく、かつ素早くキャッシュレス決済できる準備がある場合にはセルフレジ
コンビニで飲料をポケットの電子マネーで買う、などのシチュエーションでは迷わずセルフレジを使います。レジ袋はもらいません。

・買い物の点数がとても多いときには迷わず有人レジ
熟練のチェッカーさんのスピードと正確性に軍配があがります。レジ袋が欲しいときにも枚数の目安を教えてもらいやすい。

これほどははっきりしていない、中途半端な買い物のときにはレジの流れに任せてはいますが、あとは疲労感やイライラが生じているなど、メンタルの塩梅が良くないときにはセルフレジは避けたほうが無難なように思います。トラブルが発生したときのダメージが計り知れないからです。まず有人レジでは発生し得ない頻度でセルフレジではトラブルが発生します。
 

セルフレジで気づく、有人レジの価値

そんないま、新たに見直したいのが有人レジの価値というものです。

レシートに責任者名が打たれる有人レジでは基本的にあまりミスが発生せず、発生するのはかなりなレアケースだからです。そんな有人レジとセルフレジを選択できる、買い物の列に並ぶとき。縮められるかもしれないほんの「数分」を得たい、そのベネフィットとはどの程度のものなのか、もっと思案すべきなのでしょう。

ちなみに、セルフレジのほうが買い手への負荷が高いにもかかわらず、敢えてチャレンジされるご年配の方やまだ慣れていない方、お子さん連れの方などの作業の鈍さにイライラされる向きがありますが、どちらかというとそのイライラの元は自分自身の都合によるものだと認識しておきたいものです。

いくら「私ならささっと素早く買い物できるのに!」と思っていても、運悪く小銭が詰まったらアウト。誰かをイライラさせる側に回りかねず、いろいろとお互い様です。

前述したように、一見ラクなようでセルフレジは高負荷なものです。まず、そう思っていれば割り切れる不具合も多いのではないでしょうか。

一部のコンビニで取り入れられているような、チェックと決済を別にした進化系のセルフレジも増えています。きっとこの先50年後の「お買い物」は想像もできないようなシステムに取って代わられていることでしょう。

願わくばそんな時代に行われる子どもの「初めてのお買い物」にも、あのえも言われぬ心の高揚が伴わんことを!


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