給料の何割・何%を貯金する?
収入のある程度は貯蓄をしないといけない……とわかっていても、貯蓄の目安はどれくらいなのでしょうか? 給料の何%を貯蓄にまわせばよいかが指針になりそうですが、世帯構成や生活様式によって貯蓄のしやすさが変わってくるので、ひとつの答えはありません。給料に対する理想の貯金の割合とは? 何%貯蓄すべきかの目安はライフスタイル別に違う
貯蓄率の全体平均は31.8%
勤労者世帯の収入と貯蓄の状況(世帯主の年齢別)。貯蓄率は1カ月の可処分所得に対する1カ月の預貯金増額分の割合。世帯主の年齢によって、貯蓄の割合が変化していることがわかる※家計調査(2021年 家計収支編 総務省)より筆者編集。預貯金には有価証券や保険は含まれない
2022年2月に発表された総務省の家計調査(2021年)によると、勤労者世帯実収入平均は月52万2572円。そこから、社会保険料や税金などをひいた可処分所得(実質上の手取り額)は42万6022円となっています。
預貯金(増額分)の平均は13万5531円で、貯蓄率(預貯金÷可処分所得×100)は31.8%。したがって、手取り収入の3割近くを貯蓄している姿がうかがえます。とはいっても、貯めやすい年齢、貯めにくい世代があります。
シングル20代が貯め時、貯蓄率44.3%!
世帯主の年齢別に貯蓄率をみてみると、貯蓄率が一番高いのが29歳以下の44.3%です。世帯人数も1.33人となっていますから、シングルが多い世代。この年代が、一番のお金の貯め時ですね。次に貯蓄率が高いのが、30代。貯蓄率33.2%と高くなっています。世帯人数も2.68人となっており、結婚して子どもが1人いるかどうかというタイミング。夫婦2人だけか子どもがいてもまだ小さいこの時期は、貯め時といえます。
40~50代は収入60万円、可処分所得50万円弱程度と高額となっていますが、教育費などがかさみやすいこの時期、貯蓄率は30%程度と貯蓄ペースが少しダウンしています。
60代になると、貯蓄率もさらに少し下がって25.6%。再就職などの影響で可処分所得が減っているなかで、貯蓄率は25%程度と、頑張って貯蓄している姿がうかがえます。
現役世代は貯蓄率30%
世帯をもった現役世代での貯蓄率の平均は、60歳までは30%程度。このデータはあくまでも平均ですが、現役世代は手取り額の30%程度の貯蓄を目標にしたいものです。とはいっても、ライフステージによって目標とする貯蓄率は変わってきます。では、収入に対してどれくらいの割合で貯蓄をすればよいのか、世帯別の目標をみてみましょう。
シングルの貯蓄割合:親と同居は手取り収入のの4割強、1人暮らしは2割が目安
ライフステージ別で目標とする貯蓄率を考える時、一番の貯め時はなんといってもシングル世代。世帯というより個人の消費ですから、支出がかなりおさえられます。その中でも、親と同居なら文句なしの貯め時です。支出の中で一番高額なものが住居にかかるお金。それがほとんどいらないのですから、ここはしっかりと貯めましょう。毎月の手取り収入の4割強は貯蓄にまわしたいところです。
1人暮らしの人は思うようにお金が貯まらないかも。1人で住居を借りると、住居費が家計の負担になります。寮やシェアハウスなどで工夫ができればいいのですが、一般の賃貸住宅に住む場合、家計状況は厳しくなります。できれば、手取り収入の2割を貯蓄の目標としましょう。
都心で住居を借りていれば、1割の貯蓄も厳しいかもしれません。が、ここは少しでも貯めて次へのステップとしたいですね。
夫婦2人の貯蓄割合:手取り収入の3~4割が目安
結婚をして夫婦2人の世帯は、シングルの時と同様に貯め時だと心得てください。共働きの世帯はもちろん、専業主婦世帯も今後の出費は増える一方ということを考えておくといいでしょう。共働きなら4割、専業主婦世帯なら3割を目標にしたいところです。
子育て期(高校生まで)の貯蓄割合:手取り収入の2割を目標に
子育て期に入ると、貯蓄は思うように進みません。子どもにかかるお金は子どもの成長とともにどんどん増えていきます。また子どもの数が増えると、さらに子育て費、教育費が重荷になってきます。子どもが小学生くらいまでなら3割、中学生、高校生なら2割を目標にしたいですね。
子どもが大学生:黒字化を目標に
教育費のピークは子どもが大学生の時。この時期は家計を黒字にするだけでも精いっぱいかもしれません。貯蓄よりも家計の黒字を目標に。そのためには、大学入学まではある程度は貯蓄できる家計でないといけない、ということになります。また、どの世代でもいえることですが、ボーナスなどの臨時収入は、これらの割合に関係なくできるだけ貯蓄にまわすようにしましょう。
これらの目標はあくまでも目安です。また、このデータも平均です。これらのデータは、ごく少数の高収入世帯に平均がひきあげられる傾向にあります。ですから、あくまでも割合の変化としてみていただければと思います。
老後の生活のためにも、ある程度の貯蓄は必要になります。とはいっても、お金を貯めることが目的でなく、将来のお金の不安を減らすための貯蓄です。将来、どれくらいのお金が必要になるかを予測しながら、計画的に貯めていくようにしたいものです。
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