Q:63歳で退職して『44年特例の年金』をもらうのと、65歳まで働いて年金をもらうのとでは、どちらがお得?
「質問があります。63歳で退職して『44年特例の年金』をもらうのと、65歳まで働いて年金をもらうのとでは、どちらがお得でしょうか?」(匿名希望)44年特例の年金をもらったほうがお得?
A:「65歳まで働き続けた場合の年収」「『44年特例』の年金額」「ハローワークからの失業給付(基本手当)」を比較して決めたほうがいいでしょう
相談者は、63歳で会社を退職して「44年特例の年金」を受給するか、働き続けて65歳から年金をもらうか、どちらがお得か聞きたいとのこと。65歳まで働き続けた場合の年収と「44年特例の年金」、ハローワークからの失業給付(基本手当)の金額を比較して決断されるといいでしょう。そもそも「44年特例の年金」とは、60代前半でもらえる「特別支給の老齢厚生年金」の一種です。ひとことで言うと、「44年特例の年金」とは、長期で厚生年金に加入して働いていた人への優遇制度です。528カ月(44年)以上、厚生年金に加入して働いた人が、60代前半で退職した場合、65歳以降からもらえる「老齢基礎年金・老齢厚生年金の合計額」とほぼ同額の「特別支給の老齢厚生年金」が受給できるのです。
例えば、2022年6月時点で63歳の男性のもらえる「特別支給の老齢厚生年金」は、65歳以降にもらえる老齢厚生年金額と同額です。ところが、「44年特例の年金」がもらえる人は、国民年金部分もプラスしてもらえるということになります。
相談者が528カ月(44年)以上、厚生年金に加入して働き60代前半で退職したのであれば、63歳から65歳までの間に「老齢厚生年金と老齢基礎年金」の相当額に加えて、要件を満たしている場合は加給年金も受けられます。65歳以降とほぼ同額の年金額を60代前半でもらえることになります。
また60代前半で退職した場合は、ハローワークで手続きすると、失業給付(基本手当)がもらえます。給付金は、離職した日の直前の6カ月の賃金の合計を、180で割って算出した金額のおよそ45~80%となります。給付される日数は90~150日程度です。注意点としては失業給付(基本手当)の手続きをハローワークでした場合は、「44年特例の年金」は支給停止となってしまいます。
以上のことを踏まえた上で、働き続けるか退職するかを決められてはいかがでしょうか。
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