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二人以上世帯の平均貯蓄額は1880万円で3年連続の増加
2022年5月10日に総務省統計局が発表した2021年の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』によると、二人以上世帯の平均貯蓄残高は1880万円。前年の1791万円から89万円、5.0%増となりました。平均貯蓄額は、多額の貯蓄がある一部の層によって数値が引き上げられるため、実感値とは開きがあります。そのため、貯蓄ゼロの世帯を除いた貯蓄保有世帯を、貯蓄額の低いほうから順番に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄額はいくらかという「中央値」で見る必要があります。
今回の調査では、貯蓄保有世帯の貯蓄額の中央値は1104万円。前年の1061万円より43万円の増加。貯蓄ゼロの世帯も含めた中央値は1026万円で、同じく前年の1016万円より10万円の増加という結果になっています。
勤労者世帯の平均貯蓄額は1454万円で76万円の増加
勤労者世帯のみ(高齢者など無職世帯、自営業・自由業世帯を除く)では、どうでしょうか。平均貯蓄額は1454万円で、前年より76万円、5.5%の増加。貯蓄保有世帯の中央値は833万円で、前年から7万円の増加となりました。貯蓄ゼロの世帯を含めた中央値は784万円で、前年から2万円の増加という結果でした。
勤労者世帯の平均年収は749万円で、前年の740万円から9万円増加しています。
貯蓄の種類は通貨性預貯金が13年連続で増加している
貯蓄の種類を見ると、二人以上世帯全体も、勤労者世帯も、定期性預貯金が最も多くなっています。通貨性預貯金は13年連続での増加です。超低金利の影響が長く続き、あえて定期預金に預け替えることなく、普通預金などに預けたままという状況であることがわかります。貯蓄額が100万円に満たない世帯が10.5%も!
貯蓄残高の世帯分布を見てみましょう。 分布図を見てもわかるように、平均値と中央値には、かなり開きがあります。二人以上の全世帯では貯蓄額3000万円以上の世帯が19.5%で、平均を押し上げる結果となっており、平均値以下の世帯が約3分の2を占めています。 勤労者世帯のみの分布図でも、考え方は同じです。3000万円以上の世帯が13.5%と多く、平均値以下の世帯が、やはり約3分の2を占めています。ここで注目すべきなのは、貯蓄が100万円未満の世帯が、全世帯で10.5%(前年10.1%)、勤労者世帯で12.2%(前年11.4%)であるということです。いずれも、調査全体の1割以上の人が、貯蓄100万円未満というのは、かなり厳しい結果と言わざるをえません。
この調査は、全国から抽出した約5900世帯を対象にしたものですから、地域性や年齢、職種などさまざまな事情を考慮すると、また違った結果にもなるかもしれません。しかし全国での平均値や中央値を知ることで、今現在、自分が置かれている状況と比較し、無駄に悲観的になるのではなく、どうしたら貯蓄を増やせるのか、いくら貯蓄したほうがいいのかと考える基準になるのではないでしょうか。
貯蓄100万円未満の世帯の中には、年齢の若い世帯も含まれ、なかなか貯蓄できないという世帯もあるでしょう。しかし、ある一定の年齢になっても貯蓄が100万円に満たないという世帯は、収入が少なすぎるのか、支出が多すぎるのか、こうしたことを見直していく必要があるでしょう。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で減収になり、貯蓄を取り崩して生活を維持している世帯も少なくありません。今回の調査では、平均貯蓄額、中央値のいずれも前年より増加していますが、行動変容、自粛のために支出が抑えられた結果とも言えます。さらに各種給付金を使わず、そのまま貯蓄となっている世帯も少なくありません。
コロナ禍によって減収となった世帯にとっては、収入が戻らない限り貯蓄を増やすことは難しいうえ、物価上昇によって生活コストのアップという懸念材料もあります。一方、経済的に余裕のある世帯では、これまでの自粛の反動で、外食、旅行などを再開させれば、家計のコントロールが重要になってくるでしょう。
平均貯蓄額だけでは、現実の生活は見えてきません。この調査結果をひとつのきっかけとして、それぞれの世帯で、お金の流れ、支出のチェック、貯蓄行動を考えてほしいと思います。
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