男性は容易にスカートを選べない

ここ数年、話題になることも多いジェンダーレス制服。All About 編集部が実施した「制服について」のアンケート(調査期間:2022年4月14~15日)によれば、ジェンダーレス制服に「共感できる」と回答した人は83%、「共感できない」と回答した人は10%(その他7%)だった。
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アンケートを見ると、そもそも、この「ジェンダーレス制服」という名称に違和感をもつ人がいて共感した。

「“ジェンダーレス”という名目に違和感があります。選択式制服、というシンプルな名称をもっと全面に押し出し、ジェンダーに関係なく、着たいものを着る、気候にあわせて変えてもいいね!と、『選べるんだ、選んでいいんだ』ということを普及したほうがいいと思う。ジェンダーというと、そこにばかり意識が向いてしまい、逆に選択肢を狭めそう」(20代女性)

言い得て妙である。その証拠に、制服カタログには、「男性用ズボン」「女性用スカート」「女性用ズボン」の3通りしかなく、男性がスカートをはいている写真もないのがほとんど。女性でズボンをはきたい人は、必ずしもジェンダーレスを意識しているわけではなく、むしろ好みや気温の問題が大きいのではないだろうか。

「女性がズボンを選んでも、そこにトランスジェンダーを感じる人はほとんどいないでしょう。でも男性がスカートを選べば、多くの人はトランスジェンダーだとわかってしまう。だから10代の男の子は簡単にスカートを選べませんよ」(20代女性)

実際、トランスジェンダーの方から、そういう意見もいただいた。

「ここまでして『制服』という制度にこだわるべきなのか、というのが正直な感想。私服にすればジェンダーの問題も一気に解決できるのに」(40代男性)

そんな視点で答えてくれた人もいる。
 

本当に「私服」だとトラブルが起きるのか?

制服が必要なのかどうか、制服嫌いだった筆者には首をかしげるところが大きい。10代の若者に、もっと選択肢を広げるほうが重要ではないのだろうか。

「たとえば、一応の標準服をもうける。買った人が卒業後に寄付すれば、あとの世代はわざわざ買わなくてもすみます。新品を買いたい人は買えばいい。そして標準服に準ずるようなドレスコードを作った上で私服OKにすればいい。化繊のブラウスなどがダメな人も綿のブラウスなら着られるでしょうし」(40代女性)

「ワイドパンツとかスリムパンツとかを選択肢に入れればいいと思うんですよね。男女ともに選びやすいように。ただ、そうやって考えていくと、むしろ制服を撤廃したほうが早いかもしれません」(30代男性)

スカートかパンツかだけの問題ではない。

「女性のパンツはむしろお尻や足を強調してしまうことになりがちなので、上着の丈をもっと長くできるとか、シャツを出してもいいことにするとか、キュロットのようなパンツにするとか、もっと改善の余地がある」(30代女性)

こう指摘してくれた人もいる。

大事なのは、「着る当事者」がどう考えているかだ。アンケートにはこんな書き込みがあった。

「うちの子の同級生に、中学生当時に不登校だった子がいました。彼女はただ制服を着たくなかっただけ。なのに『問題児』扱いされてカウンセリングを受けさせられたりしていました。制服を着なくてもいいとなれば、その子は普通に登校できたはず。大勢に与しろというのは無謀だと思った。全体主義ありきではなく、個人に合わせた学校のありようを、そろそろ考えてもいい時期ではないでしょうか」(50代女性)

たかが制服ではないのだ。その子にとって、制服のプレッシャーが多大であれば取り除くのが大人のできることではないのだろうか。
 
ちなみに筆者の通った高校は標準服があったが、9割以上は私服で通学していた。時代の流れもあるが、他者が高級なブランド服を着ていようがよれよれのTシャツでいようが、誰も何も言わなかった。親が裕福であることがわかってしまうのは事実だろうけれど、高校生にもなれば、それがいじめに結びつくかどうかは別問題なのではないか。

大事なのは、私服だったらいじめが起こる、マウントをとられると決めつけるのではなく、早くから、「他人は他人、自分は自分」という教育をおこなうことなのかもしれない。

「制服があると団結感がわく」

そういう意見もあった。制服がなければ団結感はわかないのか、そもそも同じ学校に所属しているというだけで、生徒に団結感が必要なのか。そこにもまた新たな疑問がわきおこる。

制服問題は根が深そうである。


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