トイレの臭いは一時的に緩和したとしても、根源である汚れをきちんと除去しない限り、根本的には解決しません。トイレの臭いの原因となる汚れの種類と対処法を解説します。
種類豊富なトイレ掃除グッズ……臭いを撃退するには結局「何がどこに」効く?
臭いを緩和する、消臭剤・芳香剤
トイレのドアを開けた瞬間の嫌な臭いを避けるためには、日ごろから掃除や換気をちゃんとしたいところですが、さわやかな香りが広がる芳香剤などに頼りたくなるもの。そんなお助けアイテムとして市販のトイレ用薬剤が役立ちます。これらは2つのタイプに分けられ、どちらにも長所と短所があるため自分の生活スタイルや汚れ具合に合ったものを好みで使い分けましょう。
■消臭剤
臭いの元となる尿などに働きかけ、中和(消臭)する性能をもつ薬剤。エタノールなど臭い成分を消すものや、酸性の薬剤などで尿の臭いを中和して臭わなくするものがあります。
スプレータイプに代表され、瞬時に消臭できるのが良いところ。ただし臭いの元となっている汚れが落ちたわけではないため、それとは別に掃除は必須です。
■芳香剤
香り成分で臭いを包み込んで(=マスキング)、尿などの臭いを紛らわしてくれます。臭いが少ない状態のトイレなら好みの香りが漂ってよいのですが、トイレ臭がしっかりある場合は、芳香剤と同時に漂うことになって厳しい空気になってしまいかねません。こちらも掃除した上で使いましょう。
そしてこれらはどれも一時的に緩和する対策であり、臭いの元は健在、むしろ増え続けていることを忘れてはいけません。瞬間的な快適さを手に入れるにはとてもよいアイテムですが、きちんと原因になる汚れを取ることも必要です。
尿・水垢・カビ! 臭いの原因となるトイレの汚れの種類
臭いの原因は、いわずと知れた「尿」がほとんど。そこに「水垢」や「カビ」が加わって落ちにくくなっていきます。汚れ方は家族の人数や在宅時間に左右され、女性・男性、大人・子ども・年配者などといった顔ぶれによっても違います。臭いが発生しやすい場所は、便器の内外と床のほか、壁にも細かい飛び散りが。小さな子どもだと便座と便器の隙間から尿が外に飛び出たり、流れ落ちたりもするため、便器と床の境目が知らず知らずのうちに茶色く変色して臭い成分がたまったりして悩ましいことに。
トイレの臭いが気になる多くの人は、お掃除をしていないわけではないのですが、このように見落としがちな場所というのがあります。そんな臭いの根源をきちんとおさえてやっつけていけば大丈夫です。
トイレ掃除用の洗剤、防汚剤
トイレ掃除用の洗剤には代表的なものに3種類ありそれぞれ向いているケアが違うため、まずはそのポイントを押さえておきましょう。- 中性洗剤
日ごろのお手入れ用。便座や温水洗浄機まわりなど樹脂製の部分には中性洗剤を使います。強い洗剤は素材を傷めて変質や故障の元になるためご注意を。 - 酸性洗剤
水道成分が残って固まる「水垢」や尿がたまって黄ばむ「尿汚れ」はアルカリ性のため、「酸性の洗剤」で溶かしながら落とします。※「まぜるな危険」と書かれています。 - 塩素系洗剤
「黒カビ」が水垢と一緒になって固まっているようなときは、漂白剤で落とし除菌します。※「まぜるな危険」と書かれています。
また、トイレ用「防汚剤」の力をかりて、臭いの元がつきにくい便器にするという手も。便器をはじめとしてトイレが汚れの付着しにくい状態になれば、臭いの発生までの時間が伸びてラクになります。トイレ用防汚剤には以下のようなものがあります。
- タンクに置くタイプの洗浄剤:
流すときに便器内を洗浄して汚れが溜まりにくくする - トイレ用撥水コーティング剤:
便器の内側にスプレーしておくことで汚れを付着しにくくする - スタンプ状の薬剤:
便器の内側に薬剤をスタンプのようにつけて洗浄、汚れを付着しにくくする
クエン酸やエタノールで手作り消臭剤や芳香剤も!
手軽に入手できる薬剤やアロマを使って手作りするのも楽しいものです。使うものは基本的に以下のように考えます。- トイレの臭い ⇒ クエン酸
- 黒ずみのカビや臭い除去 ⇒ エタノール
- 軽い汚れ落とし ⇒ 重曹(重曹は弱アルカリ性なので尿の臭いに対する効果は薄い。粉末なら研磨剤効果はあり)
- 香りづけ ⇒ アロマオイル(精油)
愛用の市販スプレー(左)、手作りのアロマ&消臭スプレー(右)
- クエン酸+水=200ml
- 精油 25滴(ペパーミント10滴、ローズウッド(ラベンダー)5滴、ベルガモット(ライム)10滴)
クエン酸で尿の汚れや臭いに対処し、同時に爽やかな香りとリラックス効果の高い香りをブレンドしたアロマを楽しめます。
トイレも、話題の“やらなくていい家事”で臭い対策
巷で話題の”やらなくていい家事”の中には、「マットをやめてみる」「手拭きタオルをやめて、使い捨てにする」などトイレ関連もあります。トイレの臭い対策の観点でも、取り入れられるものはあるでしょう。たとえば、芳香成分をやめて消臭剤のみにするか、いっそ香りはやめて臭いの根源の掃除に一層努めてみるというのも。ほんのりと好きな香りがするのはよいのですが、嫌な臭いと混ざってしまう方が不快なものです。物足りなければ、絵やお花など目で意識をそらすのも効果があるのではないでしょうか。
トイレの汚れ方は家族のライフスタイルにより違うため、やらなくていい家事を取り入れるかどうかは自分次第。とりあえずやめてみて、前の方がよければ戻せばいいくらいの気持ちで試してみたら、思いのほかよい選択に決まるかもしれません。