亀山早苗の恋愛コラム

義実家との「近距離別居」はやめたほうがいい?週末ぐらいゆっくりしたい共働き主婦の悩み

義実家との「近距離別居」は、育児のサポートを中心に心強い一方で困惑も多いと聞く。「感謝はしているんです、でも……」と、ある40歳女性が近距離別居ならではの悩みを語ってくれた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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義両親との同居もつらいけど、近距離別居もつらいという女性たちの声をよく聞く。別居なら、さほど干渉してこないだろうと予想するが、どうやらそうでもない義実家も多いようだ。
 
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ありがたさと困惑が半々

「近距離別居、確かにありがたいところもたくさんあるんです。うちは子どもふたりを保育園に預けて共働きだったし、しかも保育園が別々という時期があって、それは本当に大変でした。そんなとき助けてくれたのは義母ですから、それは本当に感謝しています」

そう言うのはアリサさん(40歳)。28歳のとき5歳年上の男性と結婚、現在10歳と7歳の子がいる。

「ふたりとも小学生になって学童保育もいっていますが、ここ2年はコロナ禍で下の子の保育園が休園になったり、いろいろ大変でした。夫も私もリモートでできない仕事なので休めない。義母は嫌な顔ひとつしないで助けてくれました」

そこだけは感謝しているとアリサさんは語気を強める。一方で、言い分もまたいろいろあるようだ。

「最初はいろいろ面食らいました。口移しで食べ物を与えたり、甘い物ばかり食べさせたり。私はそんなに神経質ではないけど、それでもダメだと思うことばかりでした。しかたがないのでマニュアルを作って夫から義父母に渡してもらったんです。もちろん、その前に夫にもよく理解してもらいましたが」

衛生面のこと、栄養面のこと。義母はいい人なのだが、いい人だけに悪意なく野放図に子どもの要求に答えてしまうところがある。自身の子ではなく「孫」だからこそ緊張感も責任感も薄れることがあるのだ。それを責めるのではなく、「うちの子はこうやって育てるつもりなので」と夫にマニュアルを託した。

これは義母もわかってくれたようだった。子どもに与えるおやつはアリサさんがきちんと義母の家に補充していたので、それ以外のものは与えなくなった。
 

週末の過ごし方

「もうひとつ困惑していたのは、週末、いきなり家にやってくることでした」

アリサさんも夫も、週末は一応、仕事が休みだ。家族水入らずで過ごせるのは週末だけ。だからといってのんびりはできない。1週間分の買い出しや日々の夕食のアバウトな献立から下ごしらえ、子どもたちの宿題を見たり一緒に遊んだりするのも重要なことだ。とにかく週末だけは家族と過ごしたいアリサさんは、食事の下ごしらえも全員でやることを好んでいる。

「たとえばみんなで餃子を作ったり、みんなでピザを作ったり。その過程で学校であったことを聞いたり、パパのダジャレが何連発できるかを見守ったり。全力で遊びたいんです」

だが一時期、土曜の朝になると義母が突撃してきていた。どうやら義母は、厳格な義父と一緒にいるのが気詰まりだから週末は逃げたいらしい。とはいえリビングにどっかり座って我が物顔にお茶を飲んでいる義母に、アリサさんは穏やかに接することができなかった。だが平日は義母頼みだから、帰れとも言えない。

「最初は『かあさんの好きなようにさせてやってほしい』と言っていた夫ですが、母親が来ると夫自身ものんびりしていられない。子ども扱いされて怒ることもありました。あるとき、『かあさん、オレも親だからさ。子どもたちの前でかあさんに子ども扱いされると、自分の子どもに示しがつかないんだよ』と言い出したんです。義母はその言葉はちょっと刺さったみたいですね。次の日も来たんですが、今度は私が『あら、お義母さん。これから4人で出かけるんですー。お留守番します?』と。本当に出かけるところだったので、“4人で”を強調しました。義母は『私は邪魔なんだね』と帰っていきましたが、3連休があったときは義母だけ誘って5人で近所のレストランでランチをしました。そうやって距離の取り方を行動で提案していったんですよね」

やっと義母がその距離感をわかってくれたのは、ここ1年ほどだという。何を思ったのか、義母がスポーツジムに通い始めたのも変化のためには大きな影響があった。

「あまり友だちの話などしなかった義母が、ジムでできたお友だちのことをうれしそうに話すんです。土日もジムに行ってるみたい。そこで出会った友人に誘われて、源氏物語を読む会みたいなのにも通っているとか。義父との関係は相変わらずみたいですが、義父も年をとって少し丸くなってきたみたいで……」

義父母が体調を崩したとき、いち早く駆けつけるのはアリサさんだ。以前、義父が入院したときもさまざまな手続きはすべてアリサさんと夫がおこなった。基本的に今後ともめんどうを見る覚悟はできている。

ただ、元気なうちはお互いに頼るところは頼るし、親しくするときはするけれど、基本的に内政干渉はしない。これが近距離別居の極意だと思うとアリサさんは言った。義父母がもっと年をとれば関わり方も変わってくるだろう。同居より少し心身ともに離れた関係で、ゆるく見守りあえればいいんですけどねと彼女は微笑んだ。
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