「あの日、ペットにどうしてあげたらよかったか」。災害経験者が語る後悔と悩みをヒントに

東日本大震災から11年。All Aboutではアンケートを実施。ペットと被災された方が「あの時、本当はどうしたら良かったのか」との想いを抱えていることがわかりました。災害時に抱かれた悩みが、次の災害の備えとなるよう対策の一例を紹介します。

川崎 恵

執筆者:川崎 恵

犬ガイド

災害経験者の悩み「あの日、本当はどうしたら良かったのか……」

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未曾有の災害であった東日本大震災から今年で11年。近年では地震だけでなく毎年のように全国各地で自然災害が起こります。目を疑うような被害状況に触れるたび、言葉を失い、大きな衝撃を受けることも増えました。

しかし、いまこの瞬間、災害が起こったら、皆さんは安全に身を守れますか? ペットと暮らす方は、ペットと共に災害を乗り越える準備ができていますか?

今回、All Aboutではペットと災害を経験された方にアンケートを実施。想像でははかりしれないリアルな声が多く寄せられました(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

・災害に遭遇した時のペットの様子
・ペットとの被災生活で感じる不安
・避難所で起こるトラブル
・二度としたくない災害時の後悔
・経験から学んだ災害への備え


また、ペットと被災した経験者たちが今なお「あの時、本当はどうしたらよかったのか……」との思いを抱いていることがアンケートを通してわかりました。

災害当時の状況、ペットの種類、年齢等で対応は違いますが、災害に直面した時の不安や後悔が「次の災害への備え」となりますように、防災対策の一例をご紹介します。
 

備蓄する非常食(フード)は何が適していたのだろう?

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備蓄用はドライフードだけで大丈夫?

被災したペットたちは、私たち人間同様に大きな不安を抱えます。そして、不安やストレスはペットたちの体調に大きな影響を与えることが多いです。災害という非日常の中で命を支えるフードは何を選び、どのくらい備蓄したらよかったのか……アンケートにも多くの方の悩みが記されていました。

《フード選びで大切なこと》
避難生活では食欲不振になったり、体調を崩しがちになるので食べ慣れたフードを用意してあげてください。普段はドライフードを食べている子も、ウェットフードは食欲が増したり、水分補給になったりもするので少量用意しておくといいでしょう。

また、動物病院が被災すると療法食を購入することが難しくなります。平常時から少し余分にストックしておきましょう。被災時に絶対に持ち出さなくてはならない薬や療法食は、ペットの持ち出し袋だけでなく人間用の持ち出し袋にも入れておくと安心です。

アンケートの中には、普段フードを大袋で購入していてストックはあるものの、いざというときに備えて「持ち運びやすく小分けにしておけばよかった……」という体験談もありました。

《備蓄する量》
備蓄する量は最低でも1週間。ただ大きな災害となれば物資が支給されるまでに時間を要します。ペットの食事を人間の非常食で代用することは消化器系に影響を与える可能性があるので、専用のフードを備蓄することが大切です。筆者は、備蓄として常に1カ月分を用意しています。
 

非常食や水以外に何を用意しておくべきだった?

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災害時の持ち出し袋は優先順位をつけることが大切

災害が発生することを想定して持ち出し袋に用意するとき、中身は優先順位をつけて用意することをお勧めします。優先順位をつけずに用意すると“あれもこれも”となり、結局は持ち出せない程の大荷物になってしまうからです。

《持ち出すべき優先順位》
1位:薬・療法食・リード
2位:フード・水・フードボール2つ・オヤツ・ケージ(キャリーバック)
3位:トイレ用品
4位:愛犬の写真・動物病院の連絡先・ワクチン証明・リード予備・暑さ寒さ対策・新聞紙

筆者は、愛犬とはぐれた時を想定し、愛犬だけでなく家族も一緒に写っている写真をコピー用紙に印刷して持ち出し袋に入れています。避難所や動物病院の掲示板に貼る為に複数枚用意しています。また、災害時に飼い主とはぐれたペットは、痩せて汚れている可能性が十分にあります。たとえ、痩せて顔つきが変わっても、自分のペットと分かる特徴を写真におさめておくといいでしょう。
 

ペットのストレス対策はどうしたらいい?

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災害時、ペットも大きな不安を抱えている

災害時、慣れない環境に置かれたペットは大きなストレスを感じることが多いです。アンケートの中でも「ペットがストレスから下痢をした。嘔吐が続いた。どうストレスを解消してあげたらいいか分からなかった」との声がありました。

ペットがストレスを感じている時は、何よりも飼い主さんが落ち着くことが大切です。飼い主さんの不安や緊張がペットに伝わるので、飼い主さん自身が深呼吸をするなどして少し気持ちを緩めましょう。そして、ゆっくりと優しい口調で話しかけてあげてください。またゆっくりとした動作を意識しましょう。以下もお勧めです。

《ペットのストレスケア》
・飼い主さんの匂いがついた毛布でケージを覆ってあげる
・大好きなおもちゃやおやつを適量あげる
・散歩する
・気分転換にたくさん遊んであげる
・不安を緩和するサプリメントを用意する

抱っこする場合は、必ずリードをつけましょう。ペットたちも恐怖や緊張からパニックになっている可能性が高いものです。普段はおとなしい子でも、脱走することがありますので十分に気をつけてあげてください。

災害時は、ストレスから免疫力が低下して体調を崩しやすくなります。普段から健康チェックをし、ペットの異変を早期で発見できるようにしましょう。
 

避難所に入れない時はどうしたらよかったのだろう?

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ペットと災害に遭遇した時は同行避難が原則

環境省や各自治体では災害時にペットと一緒に避難する際、同行避難を原則としています。ただ、同行避難とは「ペットと同じ部屋で一緒に過ごす」こととは限りません。ペットの受け入れ対応は、各避難所に任されているため、受け入れ可、受け入れ不可、受け入れるが部屋は別など様々です。

アンケートの中にも、避難所での受け入れ態勢に不安を感じたとの声が多くありました。お住まいの自治体に避難場所やペットの受け入れ態勢を事前確認することをお勧めします。また、緊急時にペットを預かってくれる方を探しておくのもいいでしょう。
 

停電からペットを守るにはどうしたらよかった?

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停電トラブルからペットを守る準備は必須

地震、台風など大きな災害では停電が起こることがあり、今回のアンケートでも停電トラブルに困惑したとの声が多くありました。近年では復旧まで数週間から数カ月間を要した事例もあり、寒さや暑さに弱いペット、高齢のペット、闘病中のペットたちは大きな影響を受けます。

停電は時に生死に関わるので、「災害時は停電が起こる」と見越して、暑さ寒さ対策をすることが必須となります。一例をご紹介します。

《暑さ対策》
・うちわ / 扇子
・冷却タオル
・クールマット
・クールベスト
・犬用ゼリー
・経口補水飲料

《寒さ対策》
・カイロ
・洋服
・毛布
・新聞紙
・お湯を使える場合はペットボトルにお湯を入れて湯たんぽを作る

今回、ハリネズミを飼育している方から「ペットだけでも暖を取らせてあげたかった」と体験談が寄せられました。ハリネズミだけでなく、うさぎやリスなどの小動物、鳥などは、カゴの底を発泡スチロールの箱に入れてあげたり、ゴミ袋や荷物などを梱包するプチプチ(気泡緩衝材)や新聞紙でケージを包んであげると保温性が上がるのでお勧めです。
 

災害をペットと共に乗り越えていくために……

突然の災害に遭遇したとき、どれだけ準備をしていても、それが全て役立つとは限りません。ただ、いつ起こるか分からない災害だからこそ、ペットの命を守る準備は飼い主として怠らずに行っていきたいものですね。未曾有の災害に備え私たちができることは、体験者の声を真摯に受け止め、可能な限りの想像力を使って準備すること。災害を経験された方が寄せてくださったリアルな声を無駄にしない防災準備を筆者も一人の飼い主として行っていきたいと思います。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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