あえて「集中しすぎない」人間の脳
この問題は、「注意力」を測定しています。注意力とは、わたしたちの額の奥にある前頭葉が担っている脳機能で、多くの情報から自分に必要な情報を選び、そしてそれを利用する力のことです。注意力が低下すると
・まわりが気になってしようがなくなって、今、必要なことができない
・作業を根気良くできなくなり、飽きっぽくなる
・やっていた作業から新しい作業へうまく切り替えることができず、引きずってしまう
・電話をしながらメモをとったり、助手席の人と話しながら運転したりするような同時に行う作業がうまくできない
という自覚がでてきます。
注意力低下は誰しも日常生活でおこり、日々の生産性を低下させてしまいます。
現代社会は、たくさんのあまーい誘惑が多いですよね。テレビ、ネットから溢れているさまざまな魅力的な情報。そして、SNSのタイムラインに流れてくるきらびやかな写真。
やるべきことに集中しなければならないのに、周りのことが気になってしまうのは、自分の心が弱いわけではなく、脳の初期設定がそうなっているので、仕方がないことなのです。
わたしたちの脳は、目の前のことだけに集中せず、注意力を分散し、周りの危険を察知できるように進化してきました。例えば、食事に集中しすぎて食べていると、周りにいる野生動物に狙われていることに気づかず、逆に自分が食べられてしまう……など。
集中しすぎると実は生き残ることに不利なのです。そのため、わたしたちの脳は集中することが不得手なのです。
元気脳へのレシピ「情報断捨離を」
現代社会では、集中しすぎても野生動物に狙われることがなくなった代わりに、魅力的な情報があふれるようになりました。スマホやPCでいつでも簡単に、ほぼ無料で情報にアクセスできる現代社会は、自分であえて制限をかけないと注意力を奪われてしまいます。
そのため、今、インターネットにアクセスする時間を制限をする「情報断捨離」があえて必要になっています。スマホには利用時間を確認する機能がついています。iPhoneには「スクリーンタイム」、Android端末では設定の中に「Digital Wellbeingと保護者による使用制限」という項目で確認できます。
MMD研究所が発表したスマートフォンを所有する15歳~59歳の男女を対象に実施した「2019年版:スマートフォン利用者実態調査」の結果によれば、スマートフォン(スマホ)の利用時間を尋ねたところ、「2時間以上3時間未満」(21.8%)が最も多く、一日の中でかなりの時間を割いていることがわかります。
今回の問題でつまづいてしまったり、最近集中ができなくなった、作業のパフォーマンスが落ちたなどに気づいた場合は、今よりも一時間くらいスマホをいじる時間を減らしてみてはいかがでしょうか?