「啓蟄」ときいたら仕掛ける家事
家事のきっかけにする暦の一つに「啓蟄」があります。二十四節気の3つ目、「冬ごもりをしていた虫たちが土の中から出てくる頃」(暮らしの歳時記より)で春の訪れをあらわします。現代の家事的には害虫対策をはじめる好機。さまざまな害虫の中から、“今”対策すると効果が倍増するゴキブリ、ダニ、蚊、衣類を食べる虫についてとりあげます。
温暖化の今は、啓蟄からの害虫対策では遅い
啓蟄は毎年3月6日頃~3月20日頃にあたります(初日だけをさすこともあります)。以前なら啓蟄に入ったら仕掛けをといいましたが、今はもう少し早めに仕掛けると効果的です。では、いつ? 休眠、さなぎ、卵の形で越冬した害虫は、表のように15℃を超えるころに活動を活発化させます。東京の外気温から考えるなら啓蟄からのスタートでよさそうに見えます。ところが、地球温暖化や家屋の進化により、屋内やベランダ、街の片隅などに早めに目覚める虫が増え、中には「冬越し」を始めた輩も。
つまるところ、庭やベランダ、外とつながる場所は啓蟄“前”に念入りに、家の中は“一年中”ケアした方がよさそうです。「年じゅうは無理」という声も聞こえそうですが、そこは戦略的に啓蟄前に今年の仕掛けをしておきましょう。
侵入させないしかけを
害虫が越冬して目覚めてすぐは特に暖かい場所を求めるため家の中は魅力的です。フラッと侵入できる換気扇、エアコンの室外ホース、出入り口、通気口、排水口など、外と中をつなぐ所は要注意。この時期にふさいでおきましょう。換気扇や通気口にフィルターをつけ、室外ホースには最近100円ショップでも売られている、先につける対策グッズを試してみましょう。本格的なシーズン中も効果が見込めます。
“ついで”に入ってくるケースにも注意! 通年で活動するゴキブリが宅配便の段ボールやビジネスバッグの隙間にくっついてくる、蚊が窓を開閉した時にふわっと入ってくる、衣類の虫が外干しした洗濯物にくっついてくるなどのケースです。物をはたいてから家に取り込んだり、換気の時にも網戸は必ず閉めて窓を開けっぱなしにしないことなどで対策しましょう。
住みつかない家を目指すしかけ
ゴキブリが好む冷蔵庫と家具の隙間。暖かくて隠れることができ、水や食べ物へのアクセスも抜群です。が、そうはさせません! わが家の愛用はタニサケのゴキブリキャップです。
住みつかない家を目指すためのポイントは、防虫剤を適所に置く、湿度を下げる、餌を与えない、水を残さないこと。
害虫が世代交代して住み続けることがないよう、防虫剤を定期的に交換することは基本ですが、啓蟄前ごろは交換に良いタイミングです。
衣類の虫も最近は越冬しやすいため、防虫剤は一年中セットします。防虫成分は空気より重いため置くのは上の方。全体に成分が広がるように、収納ボックスなら衣服の一番上やフタの裏、クローゼットならバー付近にセットします。なお除湿グッズは下に置くのが効果的です。
ゴキブリや蚊は、隠れやすいところが住処。家具のすき間や収納の奥、外なら物置やエアコンの室外機裏など、物を整理整頓して隠れ家をなくしましょう。春に目覚めた蚊が卵を産まないよう植木鉢の水を捨てたり、ゴキブリやダニ対策で食品容器の口をしっかり閉め直したり、隅っこの掃除をするのも効果大です。 ダニは、湿度が低い冬の間に去年より増えないための対策を。人の垢などの餌が豊富な布団、ソファ、畳、クッションやぬいぐるみはしっかり掃除機がけや天日干し(乾燥)をして死骸や卵などを減らし、シーツやカバーは洗濯します。
こうした「侵入させない」「住みつかせない」という基本的な対策ができたら、虫が元気に活動するオンシーズンには時々これらができているかをチェックしながら、快適を目指してくださいね。