夫婦ともに晩婚で、子どもが小さく、これから教育にお金がかかります

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅の買い替えを考えているものの、これから教育費がかかることを心配している43歳の専業主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
これから教育費もかかるが家を買えますか?

これから教育費もかかるが家を買えますか?


■相談者
はなさん
女性/専業主婦/43歳
神奈川県/持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
夫(会社員・53歳)、長男(6歳)、次男(4歳)
 
■相談内容
10年前に家を買いましたが事情により引っ越しを考えています。主人の勤務地を考慮すると、今の場所より遠く(地方)の地域に引っ越すのは難しいので、勤務地から同じぐらいの距離の場所、家の広さを探すとなると、大体4000万円前後はかかりそうです。
 
ですが、夫婦ともに晩婚であるため、まだ子どもが小さく、これから教育にお金がかかるので、購入に踏み切っても大丈夫か、とても不安です……。
 
私がどの程度の収入を得る必要があるのかも含め、教えていただけたらと思います。今の家のローンは完済しています。5年ほど前に、一度不動産会社に査定してもらったことがあり、当時は3000万円ぐらいで売りに出せそうとのことでした。

車は新車で購入して、まだ3年目なので、あと10年は買い替えしないつもりです。主人は60歳定年ですが、70歳まで今の会社で雇用延長できます(収入は半分近く減る予定です)。ただ持病があり、勤務時間が不規則な仕事のため、長くは続けられないのではと思っています。退職金については、詳細は不明ですが、300万~400万円あたりだろうと主人からは言われています。
 
私は外に働きに出ることも考えていますが、長男に発達障害があり、療育や福祉の利用、習い事のために、平日の週3~4日は時間を取られてしまっています。主人が土日休みはではないことや、実家が遠方のため、土日に育児をお願いすることもできない状況です。そして長男の就学先は、遠くの小学校の支援学級に決まりました。放課後デイサービスを利用する希望は出していますが、どの程度利用できるかもまだ不明です。次男の通う幼稚園と長男の小学校は、家から真逆の場所にあるため、次男のお迎えのことも考えると、本当に外に出て仕事ができるのかも不安です。
 
保険のうち、約4万円は息子それぞれの学資保険で、どちらも小学生のうちに支払いは終了します。次男の学資保険と主人の保険(70歳で支払い終了)は、年に一度の支払いで、今は冬のボーナスで支払っています。老後については、主人のご両親が払ってくれていた個人年金が2000万円あります。
 
食費にお金がかかりすぎているのは、昔から苦手だった料理が、主婦となった今でも苦手なままで、作る行為そのものがストレスです。家計についてのご指摘は別の部分でお願いしたいです……。よろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「はな」さんの家計収支データ

相談者「はな」さんの家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
必ず支払いがあるのは、次男の学資保険26万円(年払い)、夫の保険20万円(年払い)、車検12万円、車両保険6万6000円の合計64万6000円。他には、昨年はランドセルとペットの購入で12万円、一昨年は電子ピアノ、七五三、幼稚園の入園料で35万円かかりました。毎年何かしら大きな出費があるので、そういう時に使い、残ったら貯蓄に回しているという状況です。数年以内に、冷蔵庫と洗濯機の買い替えもあります。
 
(2)投資商品について
私が独身時代から続けている株式です。何年も損切りできずに放置しているものもあります。
 
(3)家計収支について
毎月の家計収支は調整して、プラスマイナスゼロになるようにしています。車両費は車の保険と車検の月割り。雑費は日用品、医療費、ペット、子どものおもちゃ、NHK受信料など。
 
(4)教育費について
長男の幼稚園1万1000円、次男の幼稚園1万円、長男の習い事1万1000円。振り込まれた幼稚園の補助金の分は引いています。次男が習い事を始めたいと言い出しているので、さらに6000円ほど増えるかもしれません。
 
(5)保険について
夫/
・生命保険(終身タイプ、70歳まで払込、死亡保障1196万円)=年間の保険料20万円
・医療保険(終身タイプ、70歳払い済み、がん特約、入院5000円付き)=年間の生命保険の中に含む

相談者/
・共済(病気死亡400万円、入院5000円、通院特約付き)=毎月の保険料2000円
・医療保険(終身払い、入院5000円、手術5万円)=毎月の保険料1800円
・がん保険(終身払い、入院5000円、手術5万円、一時金100万円)=毎月の保険料2700円
 
子ども/
・長男学資保険(18歳満期、12歳まで払込、満期学資金300万円)=毎月の保険料2万円
・次男学資保険(22歳満期、11歳まで払込、満期学資金300万円)=年間の保険料26万円
 
(6)個人年金について
60歳から10年確定、年額200万円。
 
(7)子どもの進路について
長男、次男ともに、すべて公立が希望ですが、高校・大学は子どもの希望や状況によっては、私立になってしまっても仕方がないと考えています。
 
(8)住宅について
現在の自宅を売却し、買い替えし、1000万円程度の住宅ローンを新たに組むと考えていますが、なるべくローンは少なくしたいと思っています。
 
夫の通勤時間を増やすのは避けなければならないため、選べるエリアは多くはありません。今の家の住所が、幼稚園と小学校のちょうど真ん中にあります。希望のエリアに引っ越し、さらに子ども2人が近くの学校に入れたら、お迎えはラクになります。ですが、希望のエリアは、次男の卒園前に引っ越した場合は転園が必要になります(4月から年中です)。もしくは、長男が放課後デイサービスの利用が決まれば、次男のお迎えだけで済みます。利用できるかはまだ不明です。小学校から幼稚園の距離は8キロほど離れているので、週に何度も往復するのは、私の体力と精神力が持たない気がします。
 
(9)公的年金について
夫/65歳:160万7004円、70歳まで遅らせると:228万1946円
相談者/これまでの加入実績に応じた年金額:57万3243円
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 住宅を買い替えるなら、住居費の純増分を家計から捻出を
アドバイス2 現状の貯蓄のままでは教育費は不足
アドバイス3 月10万円の収入を得て、子どもに残すことも考える
 

アドバイス1 住宅を買い替えるなら、住居費の純増分を家計から捻出を

ご相談は、住宅の買い替えが可能かということですが、自覚されているように、子ども2人の教育費、将来的な生活費、夫婦2人の老後資金と、すべてが関係してきます。希望どおり現在の自宅を3000万円で売却でき、4000万円の物件に買い替えしたとして、今後どうなるのか考えてみましょう。
 
まず、住宅の買い替えについて。諸費用込みで4000万円とします。住宅ローンは1000万円。金利1.5%で返済期間をご主人が70歳になるまでの17年とします。毎月の返済額は5万5600円ほどになります。現在の住居費は固定資産税の月割り分ですから、買い替えしても新たに固定資産税はかかります。ローン返済の5万5600円は、純増ということになります。
 
今の家計では、毎月の貯蓄はゼロですから、生活費を削減して住宅ローンの返済に回す必要があります。食費が削れないなら、その他の支出を見直すしかありません。どれも削れない、となれば住宅ローンを組むことはできません。たとえば、雑費、小遣い、趣味娯楽費で11万円です。ここからどれほど削れるでしょうか? ローン返済分が捻出できなければ、やはり食費にも手をつけなければなりません。習い事を追加するなら、その分もどこかで削減しなければなりません。
 
現状のままでは、ローンを抱えることはできないことを、まずは理解してください。
 

アドバイス2 現状の貯蓄のままでは教育費は不足

本来であれば、これから子ども2人の教育費を全力で貯めることが優先です。終身保険の解約返戻金150万円を足した金融資産790万円と学資保険の600万円を加えると1390万円。高校・大学が私立だとすると、ひとり900万~1000万円はかかると思ってください。現状のままでは、教育費は不足します。
 
次男の学資保険は22歳満期のため、一番お金がかかる大学初年度の費用には充当できません。そのために、今から全力で教育費を貯める必要があるのです。しかし、住宅ローンの返済は、家計から捻出できたとしても、教育費を貯める余力がありません。ではどうするか。
 
やはり、ご相談者が働いて収入を得るほか、道はありません。
 
毎月5万円ほどの収入を得て、まるまる貯蓄ができたとして、年間で60万円です。ご主人が60歳になるまでの7年間で420万円になります。先の1390万円に上乗せして1810万円です。これでぎりぎり、子どもの教育費のめどはたちます。
 
進学先がすべて国公立、大学だけ私立、というように、教育費を抑えることができれば300万~400万円は貯蓄として残すことはできるでしょう。
 

アドバイス3 月10万円の収入を得て、子どもに残すことも考える

教育費のめどがたったとしても、ご主人が60歳になると収入が半減するため安心はできません。15万5000円の収入では生活費をまかなうことができません。
 
ご主人が60歳の時、ご相談者はまだ50歳です。生活費の不足分をまかなえるだけの収入は必要になるでしょう。そう考えると、今から月10万円の収入を得られる働き方を検討してほしいと思います。厚生年金加入ができる勤務先、働き方がベストですが、今すぐではなくても次男が小学校に上がったら、勤務時間を増やすなど考えてみてください。収入増の分は、そのまま貯蓄として残せるわけです。
 
60歳から個人年金200万円を10年受け取れるからといって、老後資金に余裕があるわけではありません。確かに、60歳時点で貯蓄が仮に400万~500万円残っており、退職金が300万~400万円、個人年金が合計2000万円あれば、老後はなんとかなると思うかもしれません。
 
しかし、気がかりなのは長男が自立できるのかどうかということです。詳細なことはわかりませんが、万一の時には、お金を残すように考えておく必要があるのではありませんか?
 
60歳時点で住宅ローンの残りはおそらく600万円程度ですから、その時の金融資産次第で一括で返済し、生活コストを抑えつつ、夫婦2馬力で収入を得ていくことが重要です。ご主人の体調次第ですが、65歳以降も公的年金を受給しながら働くことも必要かもしれません。
 
厳しいことを述べてきましたが、子どものためにもお金の使い方の優先順位は間違えないようにしてください。ボーナスも残ったら貯蓄ではなく、せめて20万~30万円は貯蓄するようにしてください。
 
また、保険については、子ども2人が成人するまでの保障が、現在加入の生命保険では不足します。貯蓄性のある保険のため、保険料も割高です。必要な保障を割安な保険で確保することが大事です。現在の終身保険は払い済みとし、ここまでの保険料分の保障は残します。その上で、新規に保険金額1500万円。保険期間15年の掛け捨ての保険に加入します。毎月の保険料は1万円弱。現在の年払いの保険料から8万円は削減できます。ただし、医療保障もなくなってしまいますので、共済などでカバーするようにしてください。ご相談者の保険も、共済のみにするなど整理が必要でしょう。
 
月10万円の収入が得られるなら、1000万円のローンを組んでもなんとかなります。月5万円の収入なら、住宅の買い替えは売却代金3000万円の範囲に抑えることです。もしも住宅を買い替えないとしても、収入が増えなければ、教育費が不足することは理解してください。
 
つらいことかもしれませんが、すべての希望を満たすなら、腹をくくるしかありません。ご家族の事情、家の事情はわかるものの、厳しいことを述べてしまいましたが、はなさんが考えるライフプラン実現のためにもご夫婦で家事・子育てを協力して、家計改善に取り組んでください。
 

相談者「はな」さんから寄せられた感想

このたびは、深野先生にアドバイスをいただけ、大変うれしく思っております。財布の紐の緩い家計であることはわかってはいましたが、なんとかなるだろうという浅はかな考えが消えず、出費を減らせずにおりました。深野先生から厳しいご指摘をいただけたことで、気持ちが引き締まりました。引っ越しはどうしても実現させたいので、子どもの教育費や将来に残してあげるお金を第一に考えながら、頑張ってまいります。ありがとうございました。
 

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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