非常にお得に端末を購入できる一方、一定の条件やデメリットがあるのも事実です。そもそも政府が端末の大幅値引きを規制している中、なぜ大幅値引きを実現できているのか。その仕組みと、購入する上での注意点を解説します。
iPhoneが「1円」で購入できるカラクリ
国内ではかつて、番号ポータビリティ(MNP)で他社から乗り換えると、最新のスマートフォンが実質無料で手に入るなど、スマートフォンを激安で購入できることが一般的でした。ですが2019年の電気通信事業法改正で通信料金とスマートフォンの代金を明確に分離することが義務化され、通信契約とセットで端末を購入した時の値引き額も、一部例外を除いて2万円(税抜)までに制限されるなど、値引き販売に非常に厳しい規制がなされることとなりました。 それゆえ現在、性能の高いスマートフォンを購入しようとすると数万円、機種によっては10万円を超える高額な支払いが求められることが一般的となっています。スマートフォンの買い替えが非常にしづらくなったと感じている人も多いことでしょう。ですがここ最近、携帯電話会社のショップ、いわゆる「キャリアショップ」に行くと、その常識を覆してスマートフォンを激安で販売するケースがいくつか見られるようになりました。
実際いくつかの店舗を見ると、MNPで指定のプランに乗り換えた人を対象に、一部のスマートフォンを1円、10円、あるいは数百円といった非常に安い値段で販売している事例を確認できます。最近では元々の価格が2万円前後のスマートフォンも存在しており、それらは法改正後の値引きを適用することで1円での販売が可能ではあるのですが、注目すべきはより高額なスマートフォンでさえ、激安販売の対象になっていることです。
「iPhone SE」「iPhone 12 mini」が激安価格になっているワケ
特にそのターゲットとなっているのがiPhoneのやや古めの機種で、少し前なら「iPhone SE」の第2世代モデル、最近であれば「iPhone 12 mini」などが激安販売されるケースが多いようです。これら端末の値段はいずれも2万円を超えており、第2世代iPhone SEであれば最も安い64GBでもApple Storeでは4万9800円で販売されています。 それゆえ法改正後の割引上限を適用しても1円で販売することは不可能に見えるのですが、そこにはいくつかのカラクリが存在します。【カラクリ1】端末価格そのものを大幅値引き
1つは、スマートフォンの販売価格自体を大幅値引きしていることです。先の第2世代iPhone SEを例に説明しますと、まず元々4万9800円で販売していたものを、ショップ独自の値引きによって2万7799円値引きし、誰でも2万2001円で購入できるようにします。それに加えて法改正後の割引上限である税込み2万2000円を適用することで、MNPで乗り換えた人に対して堂々と1円で端末を販売できる訳です。
それゆえ大幅に値引きされているスマートフォンは、実は回線契約なしで購入しても、1円とはいかないものの非常に安い値段で購入できることは覚えておくべきでしょう。
総務省は2021年、携帯各社に対してキャリアショップでスマートフォンだけを購入することを拒否しないよう指導していることから、実は回線の乗り換えをせずに対象の端末だけを購入しても、通常よりかなり安い値段で購入できるのです。
【カラクリ2】端末購入プログラムの活用で「月1円」に
そしてもう1つ、最近見られるようになったのが、端末購入プログラムの活用で端末代の支払いが「月1円」となるケースです。端末購入プログラムとは、スマートフォンを48カ月など長期間の分割払いで購入し、その途中(25カ月目など)に端末を返却すると残債の支払いが不要になるというもの。NTTドコモの「いつでもカエドキプログラム」やKDDI(au)の「スマホとくするプログラム」、ソフトバンクの「トクするサポート+」、楽天モバイルの「楽天モバイルiPhoneアップグレードプログラム」がそれに当たります。 月1円のケースでは、先の端末自体の値引きとこの端末購入プログラムを組み合わせ、25カ月目に端末を返却してもらい残債免除をしてもらうことを前提に、月当たりの支払額が大幅に抑えられている訳です。それゆえ端末を返却せずに使い続けると残債分の料金支払いが求められ、高くついてしまう可能性があることには注意が必要です。
複雑だが仕組みを理解した上で利用すべき
一連の値引きを適用すれば非常にお得に端末を購入できることに間違いありませんし、現在はかつてのように通信回線の“縛り”を受けることもなく、SIMロックも原則禁止されていることから、うまく活用すれば大きなメリットとなるのは確かです。ただし大幅な値引きを受けるには高額な使い放題プランの契約が必要であったり、端末購入プログラムで端末代に係る“縛り”を受けたりするなど、一定の条件やデメリットがあることは覚えておくべきでしょう。購入する側にも知識が求められる買い方であることは忘れないでほしいところです。
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