2021年は商品先物、海外REITが好調
2021年末の日経平均株価の上昇率は4.9%と低位に甘んじたものの、アメリカのNYダウは18.7%(NASDAQは21.3%)、ドイツのDAX15.7%などは2桁以上の上昇と、欧米の主要市場は好調でした。上昇率の差を反映して個人投資家の投資資金は、2年連続してアメリカを中心とした海外株式を投資対象とする投資信託に多額の資金が流れました。主要国の株価指数は2桁の上昇になりましたが、2021年は原油などの商品先物の価格が大幅に上昇しました。金価格はパッとしませんでしたが、WTI原油先物は55%、天然ガス先物は46.9%の上昇と資源・エネルギー価格の急騰が目立ちました。また、REIT(不動産投資信託)もアメリカが38.8%、カナダが30.2%、イギリスが24%などと大幅に上昇しました。
2020年は新型コロナの影響で商品先物、海外REITの上昇は芳しくなく、商品先物においてはワーストランクの上位に位置していたため、1年違いで天と地を経験する状況になっています。運用成績がマイナスではないものの、上昇率に大きな違いがでたのが中国株式でした。
2021年の栄えある1位はNASADAQ100 3倍ブル
それでは2021年の年間上昇率で上位の顔ぶれを見ていくことにしましょう。栄えある1位は大和アセットマネジメントが運用する「NASDAQ100 3倍ブル」で、上昇率は87.93%でした。同投信は、日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の3倍程度の値動きになることを目指して運用されています。レバレッジが活用されているため、中長期よりも短期運用向きの投資信託です。
2位はT&Dアセットマネジメントが運用する「T&Dダブルブル・ベアシリーズ7(ナウダック100・ダブルブル7)」で、上昇率は87.12%でした。1位の「NASDAQ100 3倍ブル」と同じくレバレッジを活用した投資信託。アメリカの株価指数であるNASDAQ100指数における円ベースでの日々の騰落率のおおむね2倍程度の投資成果を目指して運用されます。同投信は「T&Dダブルブル・ベアシリーズ7」の9本のスイッチング可能なファンドから構成されているうちの1本です。
3位は三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Neo バーチャルリアリティ」で、上昇率は85.44%でした。同投信は、主としてアメリカの金融商品取引所に上場している日本を含む世界各国のバーチャルリアリティ関連企業の株式等を投資対象としています。組入上位には半導体・半導体製造装置のアメリカのエヌビディア、アドバンスド・マイクロ・デバイシズなどが並びます。
残念ながら海外REITを投資対象とする投資信託は、ベスト10には入りませんでした。しかしながら、トップ20位までには、岡三アセットマネジメントの「ワールド・リート・セレクション(米国)」が上昇率62.83%、フィデリティ投信の「フィデリティ・USリート・ファンド(資産成長型)D為替ヘッジなし」が上昇率59.20%、大和アセットマネジメントの「ダイワ米国リート・ファンドII(年1回決算型)」が上昇率58.65%でランクインしています。
図版はETFを除いているほか、純資産額10億円以上、DC(確定拠出年金)、SMA(ラップ口座)も除いていますが、ETF(上場投資信託)を含めると「NEXT FUNDS NOMURA原油インデック上場投信」が上昇率90.28%でトップになります。
2021年も2020年同様、運用成績上位の投資信託の顔ぶれは大きく変わりました。2022年もその傾向は続くでしょうから、1年間という短期の運用成績だけをうのみにして投資信託を選ぶことは控えるべきでしょう。
2022年はアメリカの政策金利引き上げが予定されていることから、好成績ファンドの顔ぶれはガラッと変わると思われます。来年のランキングは、神のみぞ知るのでしょうか?
【関連記事をチェック!】
2020年の投資信託の上昇率ベスト10!海外株式型の投資信託が好成績?
ESGファンドは純資産額が1年で4倍増の人気に! フランス初の独立系運用会社のESGファンドを紹介