お金の悩みを解決!マネープランクリニック/20代のお金の悩み相談

28歳会社員、貯金80万円。低所得夫婦のため、将来のお金に対する漠然とした不安があります

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、結婚して4カ月という28歳の会社員女性の方。将来のお金に対する漠然とした不安があり、とくに貯蓄とは別に生活防衛費を貯めるべきか悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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結婚して4カ月、生活防衛費は必要でしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は結婚して4カ月という28歳の会社員女性の方。将来のお金に対する漠然とした不安があり、とくに貯蓄とは別に生活防衛費を貯めるべきか悩んでいるとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
生活防衛費を貯めたいのですが……

生活防衛費を貯めたいのですが……


■相談者
小野ちゃんさん(仮名)
女性/会社員/28歳
埼玉県/賃貸住宅
 
■家族構成
夫(会社員/26歳)
 
■相談内容
旦那と結婚し4カ月になります。ある程度家計も安定してきましたが低所得夫婦のため、将来に対するお金の漠然とした不安が大きいです。お互いのボーナスも少ないので、ボーナス補填をする家計はやめようと思い毎月黒字になるように予算だてを行っています。月に19万円ほど貯金をし、来年度末までに生活防衛費として300万円貯めよう!と目標を立て頑張っていますが、貯金の前に生活防衛費を貯めるべきなのかな?と思い始めました。

我が家の最低限の月の支出は24万円(家賃・奨学金・ネット・生活費)ほどで結構高いので、まず生活水準を下げつつ半年分ほど貯められばいいと思っていますが、生活防衛費はどのくらい貯めればいいのでしょうか? 将来的に子どもも欲しいなと思っているので、生活防衛費とは別に普通の貯金もしようと思っております……家計の基盤を作りたい!と思っているのでアドバイスいただきたいです! よろしくお願い致します。
 
■家計収支データ
相談者「小野ちゃん」さんの家計収支データ

相談者「小野ちゃん」さんの家計収支データ

 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
家計の補填ほか40万円、貯蓄40万円。
 
(2)奨学金返還について
完済時期2039年。残債314万円(利息分含む)。
 
(3)加入保険について
[夫]
・外貨建て保険=毎月の保険料7000円(円換算の場合)
・生命保険=毎月の保険料2300円
・個人年金保険(60歳から10年間×年金額40万円)=毎月の保険料8400円
 
(4)お子さんについて
1人希望。
 
(5)生活防衛費について
「300万円」としたのは、必要な生活費の1年分とした額。目的は「臨時支出や、減収で生活費が不足したときに使うもので、教育費や住宅資金のように目的が明確なことへの貯蓄とは分けて考える」とのこと。
 
(6)住宅購入について
購入希望。夫が30歳以降に購入できればと考えている。頭金はなるべく多く用意したいとのこと。
 
(7)ご夫婦の勤務先について
夫婦とも定年65歳。定年延長もしくは再雇用制度は不明。退職金制度はなし。
 
■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 生活費1年分の生活防衛費は適正にして十分
アドバイス2 65歳以降は働かなくても老後資金には余裕がある
アドバイス3 今はしっかりと「貯め癖」をつけよう
 

アドバイス1 生活費1年分の生活防衛費は適正にして十分

結婚されて4カ月、これから将来に向けて貯めていこうということですが、マネープランの必要性に気付き実際に貯め始めているのですから、今後も確実に増えていくと思われます。まずは試算をしてみましょう。
 
現在、データでは月22万円、ボーナスから40万円貯蓄できていますから、年間304万円。住宅購入をご主人30歳のときとすると、それまでの4年間で1216万円。今ある貯蓄と合わせて約1300万円となります。
 
さて、ご相談にあります「生活防衛費」ですが、教育資金や住宅資金とは別に、何か不測の事態があったときの資金を準備していくことは、まさに生活防衛として重要。社会や景気が不透明の時代であれば、なおさらその必要性は増します。目標額を「生活費1年分」としたもの、適正にして十分だと思います。
 
希望される住宅購入ですが、資金計画で大事なことは、住宅ローンの返済可能額から購入可能額を割り出すということ。ここでは、とりあえず現在支払われている家賃を基準としてみます。
 
例えば、全期間固定、金利1.5%、借入期間35年(ご主人65歳時に完済)で3000万円借り入れると、毎月の返済は約9万2000円。3500万円なら返済額は月10万7000円ほど。さらにランニングコストとして、固定資産税とマンションであれば管理費、修繕積立金が毎月発生します。それら合計で月3万~4万円とすれば、3500万円を借り入れて、今の家賃とほぼ同額となります。
 
手持ち資金1300万円のうち、生活防衛費としての300万円を差し引くと1000万円。さらに、購入時の諸費用(各種手数料、税金、司法書士への報酬、引っ越し費用など)として100万~200万円を差し引くと、頭金は500万円程度となるでしょうか。そうなると30歳で購入とするなら、物件価格は4000万円程度がひとつの目安となりますが、貯蓄ペースが高いので1000万円すべてを住宅資金に充てられると考えれば、4300万円が上限となります。
 

アドバイス2 65歳以降は働かなくても老後資金には余裕がある

仮に、先の条件(上限の4300万円)で住宅を購入したとします。住宅コストは現在とほぼ変わりませんから、他の生活費が今と同じであれば、夫30歳、妻32歳以降の貯蓄ペースも年間300万円ほど。これを奥様が定年となるまでの33年間継続すると、新たに9900万円が貯められることになります。
 
ただし、そこからまとまった支出を捻出しなくてはなりません。まずは子育て費用。金額は、進路等によって大きく変わりますが、教育費を含む子育て費用として、ざっくりとですが一般には1人1500万~2000万円といったところ。
 
また、定年となる頃には住宅の修繕、設備機器の買い替え等が発生します。マンションか一戸建てか、新築か中古を購入したかでも、かかるコストが変わってきますが、少なくとも500万円程度は見ておく必要があるでしょうか。
 
あとはコストではないですが、奥様が産休・育休の期間は一般には減収となります。1年間貯蓄ができない程度の減収とすれば、試算した貯蓄額から300万円を差し引くことになります。
 
一方、加算分としては、まず2039年に奨学金の返還が終了しますので、それ以降に支出として計上している返還額も貯蓄に回るとします。奥様が定年となるまでの19年間で324万円。
 
また、お子さんが生まれれば、児童手当が支給されます。1人の場合、総額で約200万円。さらに今現在、内容がわかっている保険では、個人年金保険が総額400万円受け取れます。
 
したがって、それらを考慮すると、老後資金は少なくとも8000万円は用意できそうです。
 
ご相談者の強みは夫婦とも65歳が定年のため、公的年金の支給まで収入の空白が生じないということ。また、ともに厚生年金加入ですから、公的年金だけで普段の生活費はカバーできる可能性があります。仮に、旅行などを楽しむなどコストを多めに見積もっても、年間100万円不足なら、30年間で3000万円。予備費を別途1000万円確保しても、奥様95歳の時点でまだ4000万円が残る計算になります。つまり65歳以降、働かなくても、老後は資金的には困らないと言っていいと思います。
 

アドバイス3 今はしっかりと「貯め癖」をつけよう

こう試算すれば、住宅ローンの借入額をもっと増やしても、返済は十分可能となります。
 
しかしこの試算は、子育て費用を除いて、今と生活費が変わらず、なおかつ高い貯蓄ペースを妻65歳まで37年間維持したと想定してのことです。それが必ず達成できるという保証は、もちろんありません。今後昇給もあるでしょうが、それにともない生活費がアップする可能性もあります。
 
まだ、貯蓄を始めて4カ月。まずは、これを機会に「貯め癖」をしっかり身につけてほしいと思います。住宅購入の頃には、試算どおり貯められているかが判明するはず。借入額(返済可能額)はそれを踏まえて考えてもいいでしょう。迷うようでしたら、またご相談してください。
 
最後に、ご主人名義の保険について。おそらく、すべて結婚前に加入されたものだと思いますが、家計に余裕があるため支払いはさほど負担にはなっていません。ただし、必要かどうかと言えば、いずれも不要です。
 
個人年金保険は老後の備えが目的ですが、まだ20代ですから早いです。ただ、老後資金に使わなくても、中途解約して教育資金に回すこともできますので、継続していいでしょう。ただし、死亡保障はお子さんが生まれるまでは、とくに夫婦共働きで子どもがいない間はほぼ不要です。したがって、外貨建て保険は払済保険に。これ自体、貯蓄を目的に加入されたと思いますが、外貨リスクを考えれば、現金で貯めた方が確実です。
 
夫の生命保険はおそらく定期保険だと思われますが、まずは保障内容を確認してください。医療保障がついたものであれば、継続してもいいですが、単に死亡保障だけなら解約しても構いません。それと奥様に医療保障がないなら、入院5000円でいいので確保されるといいと思います。
 
もしお子さんが生まれたら、その時点で、ご夫婦それぞれに死亡保障が必要となります。ともに定期保険で1500万円ほど、保険期間は20年間。あるいはその保障額に近い、収入保障保険でも構いません。
 

相談者「小野ちゃん」さんから寄せられた感想

漠然としていた将来への不安が、少し和らぎました。旦那からは貯金だけで、生活防衛費いらないんじゃない?と言われていましたが、結果を共有したところ「じゃあ頑張るか!」と前向きになってくれました! 相談してよかったです! ありがとうございました!

 
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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武
 
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