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2021年冬のボーナスは平均で71万5553円。対前年同期比で1.9%の減少
2021年冬のボーナスの見込み額について、業種別で、かつ時系列でデータがわかる調査データに基づいて、全体の傾向、各産業別の増減を見ていくことにします。 一般財団法人 労務行政研究所が、東証1部上場企業のうち208社から回答を得た集計結果によれば、2021年冬のボーナスの妥結額は、全産業平均で71万5553円。対前年同期比で▲1.9%。19年以降、3年連続の減少となっています。リーマンショック後の2009年冬のボーナスは、前年から実に13.1%ものダウンを示し、その後、一進一退を繰り返しながら、2014年以降、平均額は70万円台を回復しました。そして、2018年、ようやくリーマンショック前の平均額を上回り、75万3389円と、ここ最近の最高額となりました。
2019年の冬のボーナスは対前年同期比で▲0.1%の微減、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化し、2020年冬のボーナスは▲3.2%と大幅ダウンとなりました、今年2021年冬のボーナスも▲1.9%で3年連続、2019年からは▲6.9%という状況になっています。
今回調査(2021年9月13日時点)は、年間協定で決定している年末賞与・一時金の妥結額であることから、実際の支給額が妥結額より減額となる企業もでてくるかもしれません。
産業別トップは「自動車」の84万円超。次いで「電気機器」の83万6000円
産業別で見ていきましょう。製造業の平均は72万3760円、対前年同期比で3.1%減。
非製造業の平均は68万3114円、対前年同期比で3.5%増。
2021年の冬のボーナスは、全産業でマイナス、製造業全体がマイナス、非製造業全体がプラスと傾向が分かれる結果となっています。
個別の産業で見ると、昨年から増加となったのは、製造業では、「非鉄・金属」のみ。非製造業では、全業種がプラスとなりました。
平均額トップは輸送用機器のうち「自動車」で、84万4622円、対前年同期比5.7%のマイナスとなっています。次いで、「電気機器」が83万6795円で、対前年同期比1.3%のプラス。
非製造業は全産業でプラスになりましたが、製造業と平均額では約4万円の開きがあります。非製造業の平均額トップは「陸運」の83万6473円で、昨年から0.8%のプラス。次いで、「情報・通信」が83万4500円で昨年から1.2%のプラス。
2019年比では、10%を超えるプラスの産業、10%以上マイナスの産業と明暗が分かれた
新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年冬のボーナスと比較してみると、全産業では6.9%ものマイナスとなっており、特に製造業では9.1%と大幅な減少となっています。コロナの影響は製造業に大きく出てきています。それでも「繊維」はコロナ前から10.3%の増加、「精密機器」は11.2%の増加となっており、すべての業種でコロナの影響を受けているわけではありません。一方、「機械」はコロナ前から19.8%もの減少、そのほか「化学」▲12.6%、「ガラス・土石」▲15.2%、「鉄鋼」▲15.8%、「自動車」▲10.9%と10%を超えるマイナスとなっている業種が多く、コロナ禍で生産ラインがストップするなど、業績に大きな影響がでたことによると考えられます。
在宅勤務、オンライン会議、リモートワーク、ネット通販利用などによって需要が高まった業種もあり、製造業、非製造業問わず明暗が分かれる状況となっています。
平均支給月数は2.34カ月で前年から微減
ボーナスは企業業績に左右されるもので、月収の何カ月分かが、その指標の一つになります。今回の調査では、全産業で2.34カ月(2020年末実績2.40カ月)、製造業で2.39カ月(同2.48カ月)、非製造業で2.10カ月(同2.02カ月)と、支給月数も平均額同様、製造業がマイナス、非製造業がプラスという結果になっています。変動するボーナスを過信しない、家計管理の徹底を
今回の記事は、東証1部上場企業の平均額を紹介しましたが、実際の家計では、「それで、自分の会社は、自分の場合は、いったいいくらなのか」がすべてであり、他の会社や産業、他人と比較しても仕方ないことです。すでに、ボーナスの見込み額を把握している人も多いでしょう。大事なのは、そのボーナスをどのように使うのかということ。何にいくら使うのか、貯蓄にはいくら回すのかなど、事前に計画を立てておくことです。特に、コロナ禍においては、これまでとはボーナスの使い方が異なってしまった家庭も少なくないでしょう。たとえば、下記にあげる5つのポイントを参考に、今度のボーナスの使い道を考えておきましょう。
(1)毎月の生活費の赤字補てんに回すのは今回限りとする
→今回のボーナスで赤字は解消し、毎月の収支を見直すきっかけとする。ボーナスは家計の調整弁ではあるが、毎回、毎月の赤字の補てんでは、貯蓄を増やすことはできない。コロナ禍によって毎月の収入が減少した場合は、再度、家計支出の見直しを図り、ボーナスに依存した家計からの転換は必要。
(2)ボーナス払いのクレジットカードの引き落としは最低限にとどめる
→大きな買い物はボーナス払いにしがち。不要不急の買い物は、できるだけ半年、年間で計画を立て、予算内に収まるようにし、ボーナス払いの衝動買いは避けること。クレジットカードのリボ払いもNG。リボ払いは借金が積み重なり、多重債務に陥る可能性がある。
(3)住宅ローンの繰り上げ返済に回す
→借入金利が低ければ、繰り上げ返済が最優先ではない。子どもの教育費など、ほかに優先すべきことがないかチェックする。借入金利が現状より高ければ、金利交渉、借り換えが優先。また、ボーナス払い併用をしていて、ボーナスの減少によって支払いに影響が出る場合は、返済プランの見直しを借入先の金融機関に早めに相談すること。
(4)ボーナスが残ったら貯蓄するのはダメ
→毎月の貯蓄と同様に、ボーナスの貯蓄も先取り。ボーナスで使う予算を決めて、それ以上使わないように、ボーナスが出たら、先に貯蓄をする。いったん、給与振込口座から別の口座に移し替えるのも有効。
(5)ボーナスが出てから使い道を決めるのはダメ
→貯蓄分、使う分を決めたら、必要以上に普通預金に入れっぱなしにしないことが大事。ボーナスが支給されてから使い道を考えると、気が大きくなって余計な出費をしがち。
くれぐれも、せっかくのボーナスが気が付いたらなくなっていた、ということがないよう有意義な使い方を心がけてください。
【参考】https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000080927.pdf
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