コロナ禍で増える「個人間融資」の闇
コロナ禍で収入が減るなどした結果、食費や交通費、電気代などに事欠いて、とにかくお金を借りたいという投稿が集まっているのです。「本日電気が止まるので4000円希望」など、切羽詰まっている状態です。この返済方法に使われているのが「PayPay」というわけです。
コロナ禍が長引き、収入が減ったり、生活が困窮する人が増えています。その結果、SNSなどで知り合った相手にお金を貸し借りする「個人間融資」が増加、トラブルに巻き込まれる例も増えています。なぜSNSで個人間融資が行われており、どのようなトラブルが起きているのでしょうか。
送金を期待してPayPay IDを公開も
「ガソリンがなくなってしまい、手持ちがないので借りたいです。PayPayできる人連絡ください。数千円借りたいです #お金貸してください」「もう311円しかありません。母子家庭ですが、ご飯が食べられていません。助けてください。#PayPay #お金に困ってます」
「#お金貸してください」「#お金に困ってます」などのハッシュタグでTwitterやInstagramなどを検索すると、このような投稿が多数見つかります。逆に「お金を貸します」という投稿も多数あります。
「#PayPay乞食」「#PayPayください」などのハッシュタグをつけて、送金を期待してPayPay IDを公開している人も多くいます。PayPayがよく使われているわけは、送金機能を使えば手数料も無料のため、都合がいいのでしょう。
借り入れが限度額に達していたり、ブラックリスト入りしているような人が、このようなSNSでの個人間融資に手を出す傾向にあるようです。しかし、多くはトラブルに巻き込まれることになります。
お金を騙し取られたり性行為を求められることも
「生活費が底をついて、食費もなくなった。Twitterで検索して貸してくれる人にすがりついてしまった」とある30代男性は言います。「3万円だけ借りられた。一週間後に返済を求められたが、返済額は4万5000円になった」そうです。法定金利を大幅に上回っていますが、「金利の計算などしている余裕はなかった」と男性は肩を落とします。実はこのようなSNSでのやり取りは、個人を装った闇金融業者が、違法な貸付を行っている可能性があるのです。
男性は本人確認のために免許証を提出させられており、悪用されることを恐れているそうです。返済しない場合、SNSでそのような写真がばらまかれてさらされることになります。「#借りパク」などで検索すると、「返済があれば消します」と、一部のみ隠した身分証明書や本名がさらされている状態です。
なお個人であっても、繰り返し貸付をすることは、貸金業に該当します。不特定多数が閲覧可能なTwitterなどのSNSで「お金を貸します」などと書き込んで契約の締結を勧めることは、貸金業法の規定に抵触する可能性があり、いずれも罰則の対象となります。
保証金や利子の前払いという名目で、少額を振り込ませる例もあります。振り込んでも貸してもらえず、逆にお金を騙し取られて終わることもあるのです。
女性の場合、担保として裸の写真と友人のLINEアカウントを送らされる例もあります。支払いが滞ったら写真をばらまくと脅されたり、アダルトサイトなどに投稿されたりしてしまうというわけです。「ひととき融資」といって、性行為を求められることもあります。
Instagramにも増えた個人間融資投稿
最近の若者は、SNSで知りたいことを調べる傾向にあります。電話などに比べて、SNSは連絡の敷居が低くなります。軽く連絡してみた結果、相手が親切でその気になることも多いようです。しかし、そのようなアカウントは最初だけとても親切ですが、手を出すと前述のようなトラブルに巻き込まれてしまうことは忘れてはならないでしょう。金融庁は2019年にTwitter(@fsa_p2pl)で、2021年8月にはInstagram(@fsa_p2pl)でも「金融庁個人間融資対策」公式アカウントを開設し、闇金に該当する投稿などに対して注意喚起を行っています。
「金融庁個人間融資対策」のTwitter公式アカウント(@fsa_p2pl)
困ったときは、公的機関の給付金制度や支援制度も頼るといいでしょう。またトラブルに巻き込まれてしまった場合は、相談機関に連絡するようにしてください。
「日本貸金業協会/0570-051-051」「消費者ホットライン/188」「警察相談専用電話/#9110」「金融庁 金融サービス利用者相談室/0570-016811(IP電話からは03-5251-6811)」
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