子どもは中学から私立希望。資金的に大丈夫でしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、派遣社員として働く50歳の主婦の方。7歳のお子さんには中学から私立を希望、老後は海沿いに移り住みたいが、ともに資金的に不安に感じているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
子どもの進学と自分の老後が両方不安です

子どもの進学と自分の老後が両方不安です



■相談者
もつごさん(仮名)
女性/派遣社員/50歳
関西/持ち家・マンション
 
■家族構成
夫(会社員/44歳)、子ども(7歳)
 
■相談内容
教育費と老後資金に不安があり、ご相談させてください。
 
夫は正社員で安定しておりますが、私は派遣社員で今後契約更新できるか未定です。パートでも構わないので、体が動く限り65歳過ぎても働きたいと思っています。子どもを中学校から私立へ通わせることができるでしょうか。
 
ローンは完済しておりますが、管理費と固定資産税分を毎月4万3000円給与天引きしています。
小遣いは夫婦で6万円ですが、お互いあまり使わずに貯めています。毎月の貯蓄金額は多く見えますが、被服費や日用品、外食費などカード支払い分を毎月ボーナス分より補填しているので、本末転倒な気がしています。
 
子どもが独立し、マンションを賃貸に出すことができれば、5万円程度のアパートを借りて海沿いの町に住みたい気持ちがありますが、無謀でしょうか。ご相談者多数とのことですが、ご回答いただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「もつご」さんの家計収支データ

相談者「もつご」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスからの使い途
旅行20万円、家電・衣類などの買物20万円、火災保険料の年払い分8万円、生活費(カード払い)の補てん20万円、記念日の食事代8万円、残りは貯蓄(この年は69万円ほど。普通預金に貯まっている)
 
(2)加入保険について
夫/定期保険(死亡保障2000万円)=毎月の保険料3600円
 
(3)貸し出す予定の住宅について
月12万円程度の家賃を想定。住宅は築35年、54平米。
 
(4)教育費について
中学受験のために小学校3年から進学塾に通う予定。受験までの塾代は400万円ほどを想定。
 
(5)定年と退職金について
夫の定年60歳。再雇用で65歳まで働く予定。退職金は2000万円程度。
 
(6)妻の働き方
契約社員としての契約は3カ月更新。少なくとも今年は勤務可。厚生年金には加入。ちなみに最新のねんきん定期便では年額81万円(加入期間276カ月。未払い期間過去にあり)となっていたとのこと。相談者いわく「もっと多いと思っていた。考えが甘かったです」とのこと。
 
(7)妻の働き方・続き
相談者コメント「厚生年金に加入できる仕事を可能な限り長く続けたいですが、来年以降そのような仕事が見つからない(現在の契約社員の契約更新がない)場合、パートに切り替えなければいけないかもしれません。いずれにしても、子どもが大学を卒業するまでは働き続けたいです」
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 夫婦とも65歳まで働くことでライフプランは実現可能
アドバイス2 健康に留意して、貯蓄ペースを維持していく
アドバイス3 資金的に不安があれば働き方や家計の見直しで対応
 

アドバイス1 夫婦とも65歳まで働くことでライフプランは実現可能

教育資金の準備から考えてみます。

今後にかかる教育費は、まず、中学、高校と私立とすれば平均800万円前後(学校外教育費を含む)。大学は私立文系と理系でかかる費用に差はありますが、私立理系として550万円ほど。また、塾の費用として400万円を想定されていて、さらにその他諸費用を考慮して、多少多めの見積もりですが2000万円とします。
 
一方、貯蓄(一部投資も含む)は現在、毎月21万4500円にボーナスから年間70万円貯められているので、年間で327万4000円。10年間継続して、3274万円。これに、今ある金融商品1374万円を加算すれば、ざっと4650万円(投資商品は元本で計算)となります。
 
したがって、4650万円から、かかる時期を多少前倒ししますが、先の2000万円を差し引いて2650万円、この額がもつごさんが60歳のときの金融資産となります。また、現在、毎月計上している教育費2万円は、中学以降、生活費には加えず計算すべき(あとからまとめて差し引いているため)ですが、児童手当の支給も15歳まで、さらにお子さんに成長に合わせて、生活費も自然とアップしますから、それらで相殺されるとしました。
 
ともあれ、現状の貯蓄ペースが維持されれば、試算上、中学から私立でも、教育資金は十分用意が可能ということになります。
 

アドバイス2 健康に留意して、貯蓄ペースを維持していく

次に老後資金ですが、試算は先の続きなので、もつごさん60歳以降となります。また、ご希望としてお子さんが独立したら、自宅を賃貸にして、海沿いの町に移り住みたいとのこと。この「独立」がいつかは当然未定ですが、便宜上、16年後の大学卒業する年とします。
 
もつごさん60歳のとき、生活費は教育費以外、今と変わらないとし、仕事をパートに切り替え、月8万円程度の収入とすれば、毎月の収支はプラス11万円。ボーナスからの貯蓄分70万円を加えて、年間で約200万円。もつごさんがパートを、ご主人が定年となる60歳まで続けるとすれば、この6年間で1200万円、貯蓄が上積みできることになります。
 
したがって、もつごさん66歳、ご主人60歳のとき、手持ちの金融資産は退職金2000万円も加えて、5850万円というわけです。
 
ここから、海沿いの町に引っ越しをします。ご主人定年後は再雇用で、やはり65歳まで働くとしましょう。収入は未定ですが、仮に年収手取り額で300万円(およそ4割減)、現在の持ち家を想定されている家賃12万円で貸すとすると、維持コストが月4万5000円なので、実収入7万5000円。もつごさんの公的年金ですが、データとしていただいた金額「年間81万円」は、おそらく今まで支払った保険料から割り出した金額だと思われますが、そこは不確定なので、とりあえずその額として加算すれば、年間の世帯収入はざっと470万円、月額にして39万円です。
 
対して生活費は、新たに発生する家賃を考慮しないと、お子さんがいない分、さらに年齢が高くなるにつれ、基本生活費も下がりますので、18万円程度に抑えられるのでは。これにボーナスからの支出分ですが、これも今よりは減るでしょう。これを年間50万円程度、月割りで4万円とすれば、計22万円が生活費ですから、結果、17万円の黒字です。
 
ただし、新たなコストとして想定されるのがクルマでしょうか。地方となれば必要になる可能性があります。その分の維持コスト(ガソリン、駐車場代、保険、税金、車検費用等)として月2万円を計上しても15万円の黒字。もし家賃が、もつごさんが言われる5万円なら、ご主人が再雇用で働く5年間は、毎月10万円貯蓄ができます。引っ越し費用やクルマの購入費用、その他、新生活費用をこの貯蓄から捻出したとして、それでも300万円程度はさらに貯蓄が増えそうです。
 
その後、ご夫婦とも年金生活になります。公的年金が手取り額で20万円とし、家賃収入の7万5000円が継続されるとするなら、毎月1万5000円の赤字。先の手持ち資金を考えると、途中家賃収入が途絶えても、計算上はほぼ問題はありません。老後で資金的に困ることは、一般的にはまずないと言えます。
 

アドバイス3 資金的に不安があれば働き方や家計の見直しで対応

不安要素があるとすれば、試算どおりに収入が維持できない場合です。では、もつごさんが、契約社員として想定どおりに働けないとすると、どうでしょうか。
 
今年、契約社員の契約更新ができず、ずっと月収8万円のパートで働くとします。そうなると、先の試算に対して、60歳までの10年間で1440万円の減収ですから、もつごさん66歳、ご主人60歳のときの手持ち資金は4400万円。これは月29万円の生活費に対して、世帯収入が公的年金20万円(手取り額)だけでも、40年間維持できる金額です。したがって、資金的にはこのケースでもほぼ問題はありません。
 
また、そもそも手持ち資金が多く貯蓄ペースが高いため、今後の選択肢が多いことが、世帯の強みとなっています。引っ越し先の家賃は、試算上、もっと高くても大丈夫ですし、場合によっては住宅そのものの購入も可能。また、給与、ボーナスの減収や、実際の家賃収入が想定より低いことも考えられます。その場合、もつごさんが言われるように、65歳以降も働くことでカバーはできるはず。あるいは、現在の生活費を抑えることで、さらに貯蓄ペースを押し上げることも、さして難しくはないでしょう。
 
それと、「貯蓄金額は多く見えますが、ボーナス分より補填しているので、本末転倒な気がしています」とありますが、結果的に貯蓄ができていないなら問題ですが、年間300万円超の貯蓄額なのですから、何ら心配は要りません。単にカード利用による後払いが生じて、資金の流れが逆になるだけです。
 
今後はご家族の健康に留意され、収入にあった貯蓄ペースを保っていけば、希望されるライフプランは十分に実現可能と考えます。
 

相談者「もつご」さんから寄せられた感想

新卒で得た正社員の職をわずか数年で辞めてしまい、長いこと派遣社員として働いてきたことを後悔することしきりでしたが、このまま夫婦二人で働き続ければ教育資金と老後資金を十分用意できるとのアドバイスをいただき、安心致しました。健康には十分気をつけて、子どもの成長と夫婦二人での老後を楽しみに頑張ります。ありがとうございました。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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