軽音高校生の登竜門「閃光ライオット」で準優勝
“リョクシャカ”の愛称で親しまれる緑黄色社会は2012年に同じ高校の軽音楽部で結成。長屋晴子(Vocal & Guitar)は高校入学前から軽音部に入ってバンドを組みたい一心で、小林壱誓(Guitar)とSNSでやり取りをしていたといいます。そこに、peppe(Keyboards)も加わり、後日小林の幼馴染である穴見真吾(Bass)も加入しました。 緑黄色社会 / 始まりの歌結成翌年の2013年には10代のミュージシャンに限定したコンテスト「閃光ライオット 2013」の決勝に進出し準グランプリを獲得。地元・名古屋を中心にライブ活動を続け、2018年にメジャーデビュー。長屋晴子の透明感あふれるボーカルと、鍵盤やベースが跳ねる快活なポップサウンドが同世代を中心に人気を集めます。
緑黄色社会の若年層人気を加速させた理由の一つに「ダンスとの相性の良さ」があります。2017年リリースの「Bitter」では、小林壱誓が考案した振付を曲に合わせて長屋晴子が踊るMVが話題となりました。
2010年代後半、中学の体育でダンスが必修となり、高校の人気部活が軽音からダンスに取って代わる中で、“リョクシャカ”の持ち味がティーンの嗜好とぴったりマッチした格好です。 緑黄色社会 / Bitter
1億回再生「Mela!」で国民的バンドに
緑黄色社会は男女混合バンドであるということに加えて、メンバー4人全員が作詞・作曲に携わることで、バンドの表現の幅を広げ、どんな音楽が好きな人にも万遍なく愛されています。そんな彼らの魅力が詰まった曲の一つが2020年にリリースされた「Mela!」。長屋晴子と小林壱誓が歌詞を手掛け、作曲はpeppeと穴見真吾の共作という、まさに4人で作り上げた楽曲です。「今だ!」と、ふと沸き起こる衝動をそのまま楽曲にしたといい、ストリーミング再生数は1億回を突破しています(2021年9月時点)。
同曲は、「あなたはあなたの物語の主人公」というテーマで作られたアニメーションMVが支持を広げ、さらには日本テレビ系情報番組『スッキリ』の「ひとつになろう! ダンスONEプロジェクト」の課題曲に起用され、緑黄色社会の知名度を全国区に押し上げる契機となりました。 緑黄色社会 『Mela!』Music Video / Ryokuoushoku Shakai ー Mela!
ポスト・いきものがかりではない
男女混合バンドと一口にいっても、サカナクションやゲスの極み乙女。のように、トラックメイカーでボーカルを務める男性がリーダー的に映るバンドもあれば、女性ボーカルが文字通りバンドの顔として牽引していくケースもあります。緑黄色社会については、快活なポップソングと心にグッとくるバラード曲を多く持ち、女性ボーカルという点から、ネット上では「ポスト・いきものがかり」と評されることもあります。 緑黄色社会 『sabotage』Music Video(TBS系火曜ドラマ『G線上のあなたと私』主題歌)
確かに世代を超えて愛される楽曲や親しみやすさなど共通点はありそうですが、緑黄色社会の唯一無二といえる個性は、その「多様性」にあります。
4人それぞれに異なる音楽的なルーツを持ち、そこに優劣がなく互いを認め合う関係性があることで、「緑黄色社会といえばこのタイプ」という縛りを超えて、バンドの可能性を広げられているように思います。
天海祐希が主演を務める、テレビ朝日系木曜ドラマ『緊急取調室』の主題歌に起用されたミディアムバラード「LITMUS」は2021年8月のリリース直後からiTunes総合チャートTOP10入り、週刊USENヒットJ-POPランキング2位など、ヒットの勢いを加速させています。 緑黄色社会『LITMUS』Official Video / Ryokuoushoku Shakai ー LITMUS (テレビ朝日系 木曜ドラマ『緊急取調室』主題歌)
同曲をテレビの音楽番組に生出演し披露する機会も増えてきました。まさに“国民的人気バン
ド”になりつつある「リョクシャカ」の今後に注目していきましょう。
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