子供の病気

子どもの新型コロナウイルス感染…症状・後遺症リスク・対策法

【小児科医が解説】子どもの新型コロナウイルス感染症が増えています。保育所や塾でのクラスター発生も続き、適切に対策することが重要です。子どもがかかった場合の症状、症状が収まるまでの平均日数、後遺症リスクの割合などを、今わかっているデータを挙げながら解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

増加する子どもの新型コロナウイルス感染症……保育所・塾でのクラスターも

子どもの新型コロナウイルス感染症

子どもの新型コロナウイルス感染症。重症化は稀ですが、その症状や後遺症リスクは?

子どもの新型コロナウイルス感染数が増えています。大人と比べると数は少なく、社会全体から見るとまだ多くはありませんが、学校や保育所におけるクラスターの発生も報告され、不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。

感染力の強いデルタ株などの変異株の発生により、感染した大人から排出されるウイルスの全体量が増えている可能性があり、子どもの感染リスクも上がっていることが考えられます。

今までの子どもの報告は、従来の新型コロナウイルスでわかっていることですので、デルタ株についてはより注意が必要です。
 

子どもの新型コロナウイルス感染症の症状・特徴

子どもの新型コロナウイルス感染症は、まだ大人に比べて症例数も少なく、大人よりも子どもの方が感染しにくいと考えられています。症状は大人と同様、発熱、咳、鼻水などの一般的なものであり、嗅覚・味覚障害も報告されていますが、無症状や軽症例がほとんど。大人には見られない症状として、新型コロナウイルスへの感染に関連して、川崎病に似た症状が現れる「小児多系統炎症性症候群」が起こるケースが報告されていますが、日本での発生は少ないです。

イタリアにおけるCOVID-19患者(2020年2月20日~2020年5月8日)の報告では、加齢とともに、無症状、軽症例が減り、入院例が増えていて、2歳未満と基礎疾患の有無が重症化の危険因子であったと報告されています。「2歳未満」という年齢が危険因子になると聞くと不安になる親御さんもいるかと思いますが、日本の20歳未満のCOVID-19患者4万9057例(2021年4月14日時点)では、死亡例の報告はありません。現時点では、子どもが重症化するケースも稀です。

国内では大人から子どもへの感染が多く確認されていますが、子どもから大人へ感染するかどうかは、現時点でははっきりとは明らかになっていません。子どもが感染し、無症状や軽症だった場合も、体内のウイルス量は症状のある人と同様であり、便からのウイルス排泄があることが報告されています。世界の12カ国で起こった213のクラスターを検討したとき、そのうちの3.8%にあたる8例は子どもが発端者であったことが特定されていますので、感染対策は油断せずに行った方がいいでしょう。
 

子どもの新型コロナウイルス感染症の後遺症

大人の場合、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む割合は、10~30%といわれていますが、この割合と比較すると、子どもの場合は後遺症が少ないといえます。新型コロナウイルス感染症にり患した5~17歳の子ども1734人の調査によると、症状が続いた期間は平均6日間。症状が4週間以上にわたって続いたのは4.4%、56日以上続いたケースは1.8%で、後遺症が確認された子どもは、5~11歳で3.1%、12~17歳で5.1%でした。

子どもの新型コロナウイルスの後遺症としては、大人と同様、嗅覚、味覚障害、全身倦怠感、呼吸困難などが報告されています。新型コロナウイルスは体内のACE2というたんぱく質を使って細胞に入ってきますが、子どもは鼻粘膜に発現するACE2が成人より未発達です。そのため嗅覚機能障害が少ないと考えられています。しかし、嗅覚障害が起こると成人でも回復に時間がかかるケースが報告されていますし、低年齢であれば嗅覚異常を子どもが訴えるのはなかなか難しいものです。低年齢でかかった場合は、今後も念のために注意が必要かと思われます。

また、デルタ株は従来の株よりも子どもの感染者が増えているため、後遺症についても今後注意してみていく必要があります。
 

子どもの感染予防法は? 新型コロナ対策として大人にできること

子どもでも10歳を超えると人に感染させる可能性が高くなりますが、まずは大人が感染しないことが重要です。子どもは大人に比べると感染しにくいことから、子どもから子どもへの感染は少なく、感染パターンとしては大人から子どもへの感染が多いと考えられています。

まずは、近くにいる大人が感染しないよう、感染対策を徹底することが大切です。日常生活の行動を考えて、極力人との接触を減らし、手洗い、手指衛生、うがい、マスクなどの基本を心がけることが大切です。
 

子どもを新型コロナウイルス感染症から守るために

子どもが感染している場合、多くは家庭内感染で、親が先に感染していることが多いです。もし親が感染していないのに子どもが感染した場合は、看病にあたる親が感染しないよう、感染対策をする必要があります。

子どもの年齢によっては対応が難しいこともあると思いますが、できれば家庭内でもマスクをして密な接触を避け、食事中もマスクなしの会話をしないようにするなどの工夫をしましょう。子どもの使った食器やタオルなどをきちんと区別することも大切です。特に感染力のある発病2日前から発病後10日までの期間は、なるべく接触を避けた方がいいでしょう。これは親の感染が先に確認された場合も同様です。親も子どもも感染が確認された場合は、一緒に闘病して回復に努めるしかありません。新型コロナウイルス感染症に特効薬はありません。いかに重症化を防ぐかですから、発熱時には解熱剤、咳には咳止めなどを使い、できるだけ体力を落とさないように心がけます。できれば栄養のあるものを取り、難しい場合は水分摂取を心がけましょう。

基本的にはまず大人は自分が感染しない、子どもに感染させない、ということが重要です。子どもはまだワクチンで自分を守ることができませんので、子どもを守るためにも、大人はできるだけ早期にワクチン接種を済ませるのがいいでしょう。
 
まだかかっていない人は、可能ならワクチンを。そしてワクチン2回目接種を終えるまでは特に徹底した感染予防を行いましょう。今の流行状況では、少し外出しただけでも、いつどこで感染するか全く分からない状況です。

子ども同士の感染や子どもから大人への感染が増加した場合、将来的には、子どももワクチン接種の対象になるかもしれません。

■参考
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