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パルスオキシメーターで血中酸素飽和度の数値が正常値より低くなったら
パルスオキシメーターの正常値は通常94~95%以上で、90%を切った場合、いわゆる「低酸素状態」と考えられます
では、自分でパルスオキシメーターを使用するときや、新型コロナウイルスの自宅療養中の測定で、SpO2が正常値から外れて低い数値になった場合、どうすればよいでしょうか?
パルスオキシメーターの数値が低い……SpO2が低いときに考えられること・対処法
パルスオキシメーターの値が下がるのは、肺から酸素がとりこみづらい場合です。理由は様々ですが、肺炎などで痰が気道につまってしまい、吸い込んだ空気が肺胞と呼ばれる末端の組織まで届かない場合も、この数値は下がります。ですので、SpO2で測った一回の値というより、臨床症状とすりあわせて経過をしっかりみていくことが大切です。発症から日が経っていく中で、咳や痰が増えたり、発熱が続いたりしていて、以前は94~95%はあったSpO2の値が、92%を下回り出したような場合は、肺炎が増悪していることも疑われます。肺炎の治療や酸素の投与が必要になることも多いので、医療機関を受診することが重要です。
新型コロナウイルス感染症と診断されて、パルスオキシメーターを保健所や市から貸与されている場合は、SpO2低下時の指示が出ていると思います。それぞれの指示に従い、自覚症状がなかったとしても数値を無視せず、適切に対応するようにしましょう。
また、ご自身の健康管理や新型コロナウイルス以外の持病の管理などでパルスオキシメーターを使用されている場合、数値で異常が確認された場合はかかりつけの医療機関を受診されるのが良いでしょう。しかし現在は新型コロナウイルスの感染拡大が起こっていますので、発熱などを伴う場合は受診医療機関が指定されているケースが多いと思います。居住地によって定められた方法に則って対応してください。
パルスオキシメーターの過信は禁物。大切なのは総合的な判断
パルスオキシメーターは、誰でも簡単に使えて、手軽に血中酸素飽和度を調べることができる、非常に有用な医療機器です。しかし、医療すべてに言えることですが、たった1つのデータだけで、何か大きな決断をすることはできません。パルスオキシメーターでわかることも、あくまでも一つの数値で、目安です。まだ数値としては大丈夫そうだが、明らかに急速に状態が悪くなっている、家族が呼びかけても返答がおかしいといった症状があれば、こういう時期ではありますが、救急車を要請するのが良いと思います。
実際の全身の状態は、病歴、既往歴、現在の状況や病状の推移、服薬の状況などとともに、血圧、脈拍、体温、聴診、レントゲン、CTなどのデータを総合的にまとめて判断します。
すでに新型コロナウイルス感染症と診断され家庭や宿泊療養中の方は、パルスオキシメーターを渡された時の指示に従うこと。万一の備えや健康管理で自己購入されている方は、少し数値がいつもと違うと感じても、発熱や呼吸困難、急速な症状の変化がなければ、過剰に心配しすぎる必要がありません。1回測定したときの数値が低かったからと慌てて救急車を呼んだりせず、経過をまとめて医療機関を受診して相談することが良いと思います。
「SpO2のデータが良いので心配ない」という保証はありませんし、「SpO2のデータが悪いからもうだめだ」ということもありません。数日の経過の中でも、数値が少しずつ悪くなっているのか、横ばいなのか、改善していっているのかを総合的に判断することが重要なのです。