東京メトロ半蔵門線とは

東京メトロ半蔵門線は、渋谷駅から永田町、半蔵門、九段下と皇居北側をめぐり、大手町を経由して押上駅までの16.8kmの路線で、途中12駅とメトロの路線の中で最も駅数が少ない。渋谷駅では東急田園都市線と、押上駅では東武伊勢崎線(愛称「東武スカイツリーライン」)と接続し、3社の間で相互直通運転を行っている。半蔵門線は全線地下を走り、地上区間はない。東京メトロの路線で地上区間が皆無なのは、半蔵門線と南北線だけである。
路線案内

半蔵門線の路線案内

半蔵門線の路線記号は「Z」だ。Hanzomon Line であるならば、「H」を使いたいところだが、すでに日比谷線(H)がある。2番目のアルファベット (a) は都営浅草線(A)として使われ、3番目の(n)は南北線(N)に割り当てられていた。そうしたことで、4番目のアルファベット「Z」が採用された模様である。

今回は、半蔵門線のトリビア10選を紹介しよう。
 

1. 開業当初、走ったのは東急の車両のみ

東急8500系

半蔵門線開業時から走っている東急8500系

半蔵門線は、渋谷駅から永田町駅までは銀座線と並走し、バイパスの役割を担っている。1978年の渋谷駅~青山一丁目駅間の開業を皮切りに、半蔵門駅、三越前駅、水天宮前駅まで、と少しずつ延伸され、2003年に押上まで全通した。

永田町駅まで開業後の1981年3月に至る2年半ほどは、東急8500系のみが使用され、営団(当時)の車両はなかった。さながら、「東急半蔵門線」のような状態であったが、1981年4月に営団8000系がデビューして、ようやく地下鉄線らしくなったのである。
 

2. 半蔵門線の車両基地は、どこにある?

半蔵門線の新旧車両

鷺沼検車区に勢ぞろいした半蔵門線の新旧車両

当初は東急の車両しか走らなかった半蔵門線。何かと東急とは密接な関係にあるが、車両基地は東急田園都市線の鷺沼駅に隣接した敷地にある。都心を経由するため、沿線に広大な敷地が確保できなかったためだ。鷺沼駅に隣接した場所は、もともとは田園都市線の鷺沼検車区だったが、1979年に長津田検車区ができたため一部を残して移転、跡地を営団(当時)に譲り、現在に至っている。
 

3. 他線との乗り換えがないのは半蔵門駅のみ

乗換路線が記されていないのは半蔵門駅のみ

乗換路線が記されていないのは半蔵門駅のみ

後発の路線ゆえに半蔵門線の各駅は他線との乗り換えができる駅がほとんどだ。当初、半蔵門線しか通っていない駅は、半蔵門駅と水天宮前駅の2つだった。
水天宮前駅の乗り換え案内

水天宮前駅の乗り換え案内

ところが、水天宮前駅は東京メトロ日比谷線と都営浅草線の人形町駅が至近距離にあったので、利便性を向上するため2018年3月に駅名は別々のまま乗換駅となる。一旦改札を出て地上を歩かなければならないものの、半蔵門線と日比谷線の運賃は通算されるので使い勝手がよくなった。これにより、半蔵門線は、東京メトロのすべての路線と直接乗り換えができるようになったのである。
 

4. 到着する電車の所属会社が分かるのはマニアのため?

東京メトロの車両

次の電車は「東京メトロの車両」と案内している

半蔵門線のホームでは、(今度の電車は)「東京メトロの車両です」「東急の車両です」「東武の車両です」といった表示がなされる。他の地下鉄線では行われていないことなので、マニア向け?特定の会社の車両が好き、あるいは嫌いな乗客のための表示?といった憶測が飛びかったこともある。

しかし、そうした理由ではない。鉄道会社の車両によって、車椅子スペースを連結した車両の停止位置が異なるためだ。具体的には、東京メトロと東急は3号車と9号車、東武は2号車と9号車と分かれている。「車椅子スペースは〇両目です」とすると表示可能な字数を超えてしまうため、このような案内方式になっているのだ。
 

5. 九段下駅の「バカの壁」

九段下駅4&5番線ホーム

壁が取り払われてすっきりした九段下駅4&5番線ホーム

九段下駅の半蔵門線ホームと都営新宿線ホームは並んだ位置にある。しかし、長年「壁」で仕切られ、簡単に行き来できない状況だった。これを「バカの壁」と揶揄したのが当時の猪瀬都知事で、彼の実行力もあって、2013年3月に撤去された。

これにより、4番線(半蔵門線押上方面)と5番線(都営新宿線新宿方面)がひとつのホーム上になり、相互の乗り換えは、それまで階段を上下し、相互の改札口を出入りして5分近くかかったものが、数秒で済むこととなった。もっとも、このホームで2つの路線の乗り換えをする人は、それほど多くないともいわれている。
 

6. 三越前駅に関するエピソード

三越前駅のホーム

三越前駅のホーム。大手町寄りの出口から東京駅は近い

言わずと知れたデパート「三越」の最寄り駅だ。もともとは銀座線の駅名だったが、半蔵門線が開業したときも乗換駅として同じ駅名を踏襲している。

ところで、半蔵門線は、1989年から2年近くは、三越前駅が終点だった。東急線からは、「三越前行き」の表示で走ったのだが、三越前駅近くには自社系列のデパート東急日本橋店があったものの、ライバル店の名称を絶えず連呼しなくてはならなかった。そこで、表示はやむを得ないものの、東急線内の車内放送では極力駅名を言わないようにした。すなわち、単に渋谷方面行き、半蔵門線直通と案内してお茶を濁したとのエピソードが残っている。

また、半蔵門線三越前駅の大手町寄り出入口は、東京駅日本橋口とは至近距離にある。とくに新幹線を利用するときには、大手町駅、大手町駅乗り換えで丸ノ内線東京駅で下車するよりも遥かに近い。知る人ぞ知る乗り換え方法だ。
 

7. 清澄白河駅始発の折り返し電車

清澄白河駅

清澄白河駅

清澄白河駅の押上方面には、電車の折り返し用の引き上げ線がある。それで、東急田園都市線から直通する清澄白河行き電車が、かなりの本数設定されていた。半蔵門線の利用者が増えるとともに、夕方ラッシュ時の清澄白河駅折り返しはなくなり、現在は朝のラッシュ時のみ折り返しがある。すなわち、大手町駅から7分と都心に近いにもかかわらず、朝7時半から8時半くらいの間は、10分ほどの間隔で始発電車があり、座って通勤できるのだ。

駅に隣接してシティホテルもあるので、地方からの出張で大手町あたりに出かけるときもラクラク出勤が可能である。知られざる情報として記しておこう。
 

8. 住吉駅の留置線の謎

住吉駅ホーム

住吉駅ホーム。右側の線路は電車の留置線となっている

住吉駅は地上の土地の関係で、ホームが地下2層構造になっている。しかし、島式ホーム1面の両側に上下線が発着するだけであるならば、わざわざ2層にする必要もない。現在は、電車の留置線としか使われていないものの、2面4線の造りだ。

これは、留置線のために設置したのではなく、将来的に有楽町線豊洲駅とを結ぶ新線との乗り換え用として先行投資したものである。ほとんど凍結状態にあったのだが、先頃、ようやく新線の建設が具体的に動き出す見通しとなった。開業は早くても10年後くらいになりそうだが、楽しみな話題だ。
 

9. 押上駅と東武のとうきょうスカイツリー駅は同じ駅の扱い

押上駅はスカイツリーの最寄り駅

押上駅はスカイツリーの最寄り駅

半蔵門線の終点押上駅は東武伊勢崎線と接続し、そのまま北千住方面に向かうと地上に出て曳舟駅に到着する。ここで浅草駅からやってくる東武伊勢崎線の本線と合流するのだが、乗り換えて浅草方面へ向かうと次がとうきょうスカイツリー駅である。半蔵門線の各駅からやってきて、PASMOやSuicaをタッチして下車すると、押上駅~曳舟駅~とうきょうスカイツリー駅の東武線の運賃は加算されていない。

これは、押上駅ととうきょうスカイツリー駅が同一の駅として扱われているためだ。何だか得をしたような気分だが、スカイツリーを訪れる人のほとんどは、こんな乗り方をしないで押上駅で下車すると思われるので、東武側にとっての実害は無視してよいような額なのだろう。

一方、都心から半蔵門線と直通する東武線経由で北千住駅に向かうと、東武線を経由するにもかかわらず、日比谷線や千代田線経由と同額になり、東武線の運賃は含まれていない。東武にとっては、残念なことであろう。
 

10. 半蔵門線の新型車両18000系

新型車両18000系

新型車両18000系

2021年6月当初に報道公開された半蔵門線の新型車両18000系が、8月7日から営業運転を開始した。路線カラーの紫を巧みに取り入れた車内のインテリアやコロナ禍に対応した抗菌・抗ウイルス対策など時代にマッチした車両となっている。

まだそれほどの本数が用意されていないのと、東急、東武の車両に混じって運用され、中央林間から南栗橋・久喜まで往復すると長時間都心に戻って来ないので、しばらくはレアな車両となるであろう。乗車できたら幸運と思ってホームで待ちたい。

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東京メトロ半蔵門線の新型車両「18000系」お披露目! コロナ禍に誕生した“紫”車両の全容は
 
渋谷、表参道、青山一丁目といったハイセンスなエリアから大手町などのビジネス街を経て、清澄白河などの下町を経由して押上に至る半蔵門線。知られざる面も持ち合わせた路線であるので、トリビア的情報を楽しんでいただければ幸いだ。

取材協力=東京メトロ(18000系に関して)


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