コロナ禍が生んだ「オンラインショールーム」とは?
建て替えや新築、リフォームなど、家づくりに欠かせないのが住宅設備建材のショールーム。キッチンや浴室の実物を見ながらプランを立てたり、新製品をいち早くチェックしたり、一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの筆者も普段から足しげく通っています。 このショールームで最近人気になっているのが、オンラインでコーディネーターに相談しながら見学やプランニングができるサービスです。でもショールームの大きなメリットは、実物を確認できることにあるはず。なのにオンライン?このサービスを提供している住宅設備建材メーカーのLIXILによると、「オンラインショールーム」はコロナ禍のソリューションとしてスタートしたものだったそう。ところが満足度が93%と通常の接客よりも高く、またオンラインならではの利点が多いことが分かり、コロナ禍に関係なく今後も継続予定なのだそうです。
なかでも普段であれば閉館している夜の時間に利用ができる「ナイトオンラインショールーム」が、共働き世代に人気とのこと。そこで今回は、オンラインショールームを実際に体験、その人気の理由やメリットを探ってみました。
まずは申し込み。スマホで撮影した写真などをアップロード
今回の相談内容は、築20年の筆者の実家のキッチンリフォームです。最初の申し込みはネットから。簡単な相談内容を入力し、仕事が終わった後にゆっくり相談できるよう18時~のナイトオンラインショールームの予約をしました。 予約登録をすると折り返し招待メールが到着。要望シートに家族構成や求める機能、好みのデザインなど、もう少し詳しい内容を入力していきます。図面が無いので、とりあえずキッチンの幅など寸法を測り、スマホで撮った現場の写真、気に入っているイメージ写真などをアップロードしました。 ここで気付いたのがショールームの場所の指定がないこと。オンラインだから当たり前なのですが、リアルの場合は家からの距離や、希望の製品が展示してあるかなどを確認してから場所選びをしています。オンラインならどこからでも同じサービスが受けられるというのが新鮮な感じ。海外から利用する人もいるそうです。ナイトオンラインショールームがスタート。寸法の測り忘れも問題なし
ナイトオンラインショールーム当日。予約時間の18時になったのでzoomにつなぐと、LIXILショールームコーディネーターの雨山桃子さんが待っていてくれました。筆者は自宅のダイニングで普段着姿で参加です。リアルだと既に閉館している時間ですから、ちょっとワクワクするような不思議な感覚です。 ヒアリングタイムは、事前に送ってあったお気に入りのイメージ写真などを一緒に見ながら、普段の生活スタイルや、リフォームでしたいことなどを、ざっくばらんに話していきます。家電の種類や量、普段の料理のスタイル、ゴミ置き場の有無などのヒアリングをされているうちに、プランがどんどんと具体化していきます。
話の途中で気付いたのが、天井の高さを送信していなかったこと。でもその場にいるから大丈夫。測り忘れがあったとしてもその時点で測ればOKです。
他にも、手持ちの家具や床と合わせたい、こんなお皿やお鍋が入る収納が欲しいといったようなことも、すぐその場で確認できるので、細やかな要望に沿ったプランが立てやすいとのこと。確かにリフォームの相談は現場でするのが一番、これもオンラインショールームならではのメリットといえそうです。
オンラインならではの密度の濃さ! バーチャルショールームで質感が伝わってくる
会話をしながらキッチンプランがどんどん出来上がっていきます。とにかく密度が濃いのでスピードが速い! ここまででだいたい30分。 リアルの場合は、情報が多すぎて目移りしたり歩き回ったりするので、ひとつ決めるのに2時間以上かかって疲れ果ててしまうことも少なくありません。オンラインの場合は60分という区切りの中で、無駄なく必要なことに集中できるせいか効率がすごくいいのです。 ここで気になったのが、3D画像やカタログでは、質感がいまいち分かりにくいということ。そう言うと、バーチャルショールームを案内してくれました。バーチャルショールームは、オンラインでショールーム館内を自由に見ることができるシステムで、全体を見ながらぐっと近寄るといったこともできるので、鏡面の艶やかな感じやキラキラ感、マットな質感などが意外と分かりやすく伝わってきます。
また気になるポイントをクリックすると、画像や動画などで更に詳しい説明を見ることができ、換気扇の掃除の仕方や、収納の開け閉めの仕方、内部のつくりの詳細なども確認することができました。 オンラインならではのメリットを感じたのが、換気扇や水栓、コンロなどの設備選びです。リアルだと全体のデザインやプランを決めたり、歩き回ったりしているうちに疲れてしまい、細かい部分は適当に選んで終わり!といったケースも少なくありません。
オンラインの場合は、画面で設備の一覧を見ながら、それぞれの詳しい解説を聞いたり見たりできるので、比較がしやすく、細かい部分までこだわって選ぶことができました。
プランニングはオンライン、最終確認はリアル。ハイブリット利用が効率的
ここまで約60分。それから数日以内に、作成した3D画像や図面、製品の見積もり書がメールで送られてきます。 オンラインショールームを実際に体験して感じたのが、オンラインならではの集中力と情報の絞り込みで、効率よく深い情報を得られること。またリフォームの場合は現場に居ながら相談できるのが、大きな利点といえます。何より自宅からゆっくり座ったまま相談ができるので疲れない! 小さなお子さんがいるご家庭や、妊娠中の人でも安心して利用ができます。また複数で接続することもできるので、単身赴任中の家族や実家など、離れたところに住んでいる場合も、ネットを通じて一緒に相談ができるのもオンラインならではです。
なかには大阪にお住まいの方が、北海道で暮らすお母様のためにリフォームをプレゼントするのに利用したケースもあるそう。
もちろん最終段階では、実物をしっかり見て決めたいもの。情報量が重要になるプランニングはオンライン、最終確認はリアルのショールームで行うといったハイブリッド利用がこれからの新しい家づくりのカタチになりそうです。
※取材協力:LIXILオンラインショールーム