ロック・ポップス

日本のバンドの至宝が10年ぶりにアルバム『音楽』を発売!今さら聞けない「東京事変」の魅力とは

2021年6月9日に10年ぶりのオリジナルフルアルバム『音楽』をリリースした東京事変。今からハマりたいという人に向けて、東京事変の魅力をご紹介します。

鈴木 亮介

執筆者:鈴木 亮介

ロック・ポップスガイド

2021年6月9日に10年ぶりのオリジナルフルアルバム『音楽』をリリースした東京事変。今からハマりたいという人に向けて、東京事変の魅力をご紹介します。
 

2003年結成~2012年解散を経て2020年再始動

2003年に椎名林檎率いるバンドとして結成した東京事変。翌2004年にデビューし、同年のFUJI ROCK FESTIVALのヘッドライナーを務めるなど当初から注目を集め、メンバーチェンジを経て7枚のシングルと5枚のフルアルバム(配信限定シングル、ミニアルバムなどを除く)をリリースしますが、2012年の元旦に解散を発表。同年2月29日の日本武道館でラストライブを開催し、活動に一旦幕を下ろしました。

東京事変

東京事変

ただし、ファンからの解散を惜しむ声が途切れることはなく、2016年年末の「第67回NHK紅白歌合戦」に椎名林檎が選出された際に東京事変のメンバー全員がバックバンドとして出演するなど定期的に「再結集」。そして遂に2020年元旦に「再生」が発表され、楽曲のリリースと全国ツアーが行われますが、新型コロナウイルスの影響でツアーは途中で中止に。

再始動の出鼻を挫かれた形になりましたが、コンスタントに新曲の配信リリースを続け、年末の「第71回NHK紅白歌合戦」に出演すると、翌2021年も活動継続を発表。3月30日にテレビ東京系経済番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」のエンディングテーマ「緑酒」をリリースし、従来のファンにとどまらず幅広い世代の支持を集めると、満を持して2021年6月9日、10年ぶりとなるフルアルバム『音楽』をリリース。Billboard JAPANダウンロードアルバムチャートで1位を獲得するなどヒットを記録しています。
 

椎名林檎が信頼を寄せるメンバー

一時期は引退さえも考えていたという椎名林檎を音楽業界に留めるモチベーションとなったのが東京事変だ、ともいわれています。そんな東京事変の、椎名林檎以外のメンバーを紹介します。

・亀田誠治(Bass)
日本を代表するベーシスト、音楽プロデューサーとして知られる。椎名林檎のほかスピッツ、GLAY、いきものがかり、石川さゆり、MISIAなどのプロデュース、アレンジを手がけ、2007年・2015年に日本レコード大賞編曲賞を受賞。 自身の主催イベント『亀の恩返し』の開催や、オーディションでの審査員、NHK Eテレ『亀田音楽専門学校』出演など、次世代ミュージシャン・リスナーの育成にも貢献しています。

・刄田綴色(Drums)
幼少より地元・島根の石見神楽や和太鼓に親しみ、ブラスバンド部でパーカッションを担当。18歳で上京すると、アマチュアバンドでドラムやパーカッションを務める傍らスタジオミュージシャンとしても活動をはじめ、2003年に椎名林檎のツアー参加を機に東京事変としての活動を開始しました。RADWIMPSのサポートドラマーとしても活躍しています。

・浮雲(Guitar & Chorus)
東京事変では「浮雲」名義で活動していますが、ペトロールズのフロントマン・長岡亮介その人です。中学生よりギターに親しみ、大学在学中よりカントリー歌手のバックバンドなど数々のミュージシャンとの共演を経てプロ活動を開始。

2002年に椎名林檎のアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』にギタリストとして参加し、2005年より東京事変に加入しました。星野源のサポートギタリストも務めています。松たか子主演の連続ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』への出演も話題になりました。

伊澤一葉(Keyboard, Guitar & Chorus)
4歳からピアノを始め、中高ではギターボーカルとしても活動。自身がピアノボーカルを務める3ピースバンド・あっぱの活動の傍ら、2005年に東京事変に加入。東京事変ではコーラスも担当しています。その他、the HIATUSのメンバーとしても活動するほか、ソロ活動、aikoから坂本冬美、布袋寅泰まで幅広いミュージシャンのツアーサポートや楽曲提供、演奏参加などマルチに活躍しています。
 

秀逸なクリエイター×椎名林檎=至宝

東京事変の楽曲の大半は椎名林檎が歌詞を書いていますが、作曲は伊澤一葉、浮雲らが担当することが多く、2021年6月9日リリースの『音楽』でも収録曲全ての作詞クレジットに椎名林檎が載る一方、椎名林檎による作曲は13曲中3曲となっています(共同作成の1曲を含む)。

豊かなバックグラウンドを持つメンバーによる奥深い楽曲に、椎名林檎による唯一無二の詩世界が折り重なり、老若男女万人の心を掴む楽曲が生まれます。

『音楽』では、意表を突くラップ曲「孔雀」でスタートすると、ベースのスラップがクールな「毒味」、ジャジーなピアノとスネアドラムに乗せて軽快に「若い世代を憂うのは日本の伝統です」と歌う「紫電」……と冒頭3曲だけを簡単に紹介してもそのカラフルで「奥深いポップ」に陶酔してしまいます。1曲目は浮雲・椎名林檎の共作、2曲目は亀田誠治、3曲目は伊澤一葉の作曲です。

そして同アルバムの中でも注目したいのがWBSのエンディングテーマとして支持を集める「緑酒」です。「ぺてんのない世の中を直ぐに作んなくちゃ」、「簡素な真人間に救いある新型社会」とこの時代に生きる多くの人を勇気づける楽曲は、そのミュージックビデオも「日本の美しい光景が散りばめられている」と称賛を浴びています。

  

2021年以降の活動にも注目

インタビューでは「先のことは考えていない」と語られていますが、個々のキャリアが凄まじいからこそ、この5人での活動があとどのくらい見られるのか、ファンはやきもきしていることでしょう。SNS上にも「もう2度と解散しないで」といったコメントが見られます。東京事変の今後の動向に、引き続き注目したいですね。


東京事変公式HP
https://tokyojihen.com/
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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