老後のマネープランを考える際に、「65歳まで働いて年金生活に移行すれば退職後の無収入期間がなくなります」「70歳まで働いて、70歳まで公的年金の受給開始を遅らせると公的年金額を42%増やせます」と、長く働くことをお勧めすることがよくあります。

しかし、これから定年を迎える世代や、定年後も働く世代は、働くことについてどのように感じ、どんな理由で働き続けているのでしょうか。アンケート調査結果から、定年後の働き方の理想と現実を調べてみました。
 

今回使用するデータの紹介:定年後の働き方に関するアンケート調査

今回使用するのは、「定年後の働き方に関するアンケート調査」です。これから定年退職を迎える全国の50代の男女319名と、定年退職後も働く60代以上の男女259名を対象に、株式会社ガネットがインターネットでアンケート調査を行ったもの。この調査では、定年退職前後の仕事観について明らかにすることを目的としていますが、定年前の50代と、定年後も実際に働く60代の回答の差異に注目です。
 

定年前と定年後の如実な仕事観の変化

まず紹介するのは、実際に60代以上も働く人に仕事観の変化。定年前は、「地位・役職」「会社の業績向上」「給料」を重視していましたが、定年後は、「人とのつながり」「ワークライフバランス」「社会貢献」が大切だと感じるように。定年前後で仕事観に大きな変化があったことがわかります。
株式会社ガネット調べ「働くうえで最も重視していること」

株式会社ガネット調べ「働くうえで最も重視していること(複数回答)」

定年退職が60歳だとしても、希望すれば65歳まで働ける世の中へ制度移行が進んでいますが、現実的には、これまでと同レベルの仕事内容や、同レベルと給与を得られないことが多いという現実があります。
 
しかし、気持ちを入れ替えてその現実を受け入れてみると、人とのつながりや、ワークライフバランス、社会に貢献する喜びを実感できたりと、お金では測れない新たな側面が見えてきたということでしょう。
 

仕事観が変わっても、働く目的は、やっぱり「お金」

仕事観に大きな変化があったという60代の働く人々ですが、働く目的を聞いた質問(複数回答)では、「生活資金のため」がやっぱり1位に。元気なうちは少しでも働いて、生活資金を蓄えておきたいという人が全体の7割以上を占めました。
働く目的

 

定年前の人にアンケート、定年後も働きたい人は70%超

定年後も働き続けている人の現状を踏まえ、定年前の方に聞いたアンケートも見てみましょう。まず、継続して働き続けたいという方は70%という結果になっています。
定年後の働く意思

 

定年退職後も働き続けたいと答えた50代の男女225人に対して、どのような仕事がしたいか聞いた質問では、「定年前と同じ仕事をしたい」という人は59.6%、「同じ業種・業界の仕事をしたい」という人が22.2%で、多くの人がこれまでの経験を生かして働きたいと考えていることがわかります。
定年後の就職先

 

老後に向けて貯蓄なしは3割以上!? 働きたい意思の裏側にある、定年後働かないことへの不安

定年退職を迎える50代の男女319名に「定年退職後働かないことに不安を感じるか」聞いたところ、「とても不安に感じる」「やや不安に感じる」をあわせると、約8割の人が不安を感じていることがわかりました。
働かないことへの不安

 

その不安の原因は「自身の老後に向けて、どのくらい貯蓄していますか」という質問への回答を見れば一目瞭然。なんと、最多の回答は「貯蓄していない」でした。
(SA/N=定年退職を控える50代の男女319名)
 
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50代のうちに知っておきたい3つのこと

今回のアンケート結果からは、定年後も働く人の7割が生活資金のために働いていること、定年前の人の約8割が、定年後働かないことに不安を感じていることがわかりました。
 
定年後の生活について、記事を読む前と後とでイメージは変わりましたか? 最後に、定年前にこれだけは知っておきたい3つのことを紹介します。

1. 定年後は必ずしも期待通りの仕事内容・報酬が得られるとは限らない
「老後も働く」は、老後のマネープランの有効な手段ではありますが、必ずしも期待通りの仕事内容、報酬が得られるとは限りません。生活資金のために働き続けるというよりも、「つながり」や「ワークライフバランス」のために働いたら収入もついてきた、というくらいにできると、定年後の仕事に対しても心の余裕を持って取り組めそうです。
 
2. 定年後に理想の給与が得られずともすむように資産形成を見直す
定年後に思うような給与が得られず慌てなくてもすむように、iDeCoやNISAで現役時代から資産形成をしておけると、定年退職後の不安感が和らぐでしょう。定年退職後に心の余裕を持って仕事をするためにも、いまからの資産形成が必要です。
 
3. 公的年金額を増やす「繰下げ受給」を利用するための準備をしておく
公的年金の受給開始年齢は一般的に65歳ですが、この受取開始を遅くする「繰下げ受給」をご存じでしょうか。年金の受け取り開始を65歳から70歳まで遅くすると、受給額を42%増やせます。また、2022年4月以降は、年金受給開始を75歳まで遅くすることができるようになります。手元資金を増やし、少しでも長く働くことで、公的年金額を増やす繰下げ受給を利用しやすくなるでしょう。
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