男も生きづらい世の中

生きづらい

男社会での女性の生きづらさが最近、声高に叫ばれている。職場、家庭、社会全体において昔から続く「下に見られる」感覚は女性なら誰しも感じたことがあるだろう。ただ、「男だって生きづらい」という声ももちろんある。

 

男社会での生きづらさ

「僕は体質的に酒が飲めないんです。勤務先は男性が多く、ノリで飲みに行っては風俗へ繰り出すような風習がある。新入社員のころは本当に大変でした。アルコールハラスメント、風俗ハラスメントはいまだにある。コロナ禍でリモート勤務が増えたこと、飲み会ができなくなったことは僕にとっては仕事がしやすい環境になってホッとしていますが……」

そう言うのはキヨシさん(30歳)だ。昔ながらの男社会の「ノリ」は、女性のみならず男性にとっても居心地が悪いはずである。お酒が大好き、飲めるならどこでも行くという「つきあいのいいタイプ」は、男女問わず周囲に愛されるのかもしれないが、それと仕事の業績や人柄はまったく別ものだ。

「特に先輩や上司から、取引先の方の前で『コイツは酒も飲めないダメなヤツで』と言われると気分が落ち込みます。営業とあれば宴会には行きますし、下働きもします、場を盛り上げもします。でも酒が飲めないというだけで“ダメなヤツ”と烙印を押されるのはつらいですね」

キヨシさんは、コロナが終息したら転職も視野に入れるつもりだという。

未婚のケンジさん(40歳)も、社内で居心地の悪い思いをしているひとりだ。

「表だっては言わないけど、家庭のひとつももてない男には仕事もたいしてできないに違いないという思い込みがみんなにあるんですよね。毎年、年明けには女性社員からも、『今年こそ結婚しますって宣言しないと』とからかわれています」

他に同世代の独身男性社員はいるのだという。ただ、その男性はけっこう派手に遊んでいるという噂があり、「独身主義なのだ」とみんなが思い込んでいる。

「なのに僕は、結婚しないのではなく、できないのだと思われている。見た目や性格の違いなんでしょうね。それこそ差別だと思うけど、そこで騒いでもどうせ『器の小さい男』とまたレッテルを貼られてしまう。器の小さい女とは言わないけど、男にはそういうことを言いますよね……」

そういう言葉で傷つく男性もおそらく多いのではないだろうか。~の女、~の男と、決めつけることじたいが人を傷つける。とはいえ、そんなことを気にしていたら、会社ではやっていけないとケンジさんは言う。

「誰もが無意識に誰かを傷つけている。それが世の中なのかもしれないと腹をくくっています。適当に笑ってやり過ごすしかない。セクハラに対する女性の勢いは今、世の中が味方になってくれるけど、男に対してはむずかしいですよね。僕なんて女性の先輩に『ケンジくんって女性を知らないんじゃないの』と言われたことがありますが、ムキになって反発することもできず、苦笑いするしかありませんでした。放っておいてくれと言いたいところですけどね」

ケンジさんが勤める会社は、女性へのセクハラには厳しい対処がされるようになったが、男性に対してはほとんど対処されないのだという。

「男は強いから大丈夫、という思い込みが透けて見えますよね。みんなが強いわけじゃないのに」

気にしないようにしようと思っても、ストレスはたまっていくだろう。

 

子どもがいないことで傷ついて

結婚して15年、同じ会社で共働きをしているダイキさん(47歳)には子どもがいない。今でも仕事上での雑談などのとき、「お子さんは?」と言われるとドキッとするという。

「原因はわからないけど、子どもができませんでした。同い年の妻とは子どもに恵まれないのは寂しいけど、ふたりで生きていくのもいいよねと話し合い、保護犬を2頭、引き取りました。僕たちにとっては犬が子どものようなもの。愛情深く育てています」

ところが社内では、ふたりに子どもができないことをいろいろ言われていたようだ。妻に問題があるのではないかとか、ダイキさんが浮気しているのではないかとか。噂は聞き流していたが、かつての上司に言われた言葉は響いた。

「子どももいない男に責任ある仕事は任せられないと。子どもがいてこその家庭だろうとも言われました。ひどいですよね。それはさすがに僕も上司に言い返したし、さらに上の人に、こういう物言いはひどすぎると訴えました。上司が代わって、そこまでは言われなくなったけど、先輩たちに『子どもはいいぞー』となにげなく言われたこともあります」

父親になれなかった男が、人として男として劣っているわけではないはずなのに、ダイキさんは心ない言葉に傷つけられてきた。子どもがいないなら結婚する意味がないと同僚女性に言われたこともあるという。

他人のプライバシーに安易に踏み込んではいけない。相手がどういう事情を抱えているかわからないのだから。ダイキさんは周りを反面教師にして、常にそう意識するようになっているという。

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