庭やベランダ活用のアイデア、でもそう上手くいかないことも
おうち時間が増えたことで、ベランダや庭をリラックス空間として活用するアイデアが注目されています。小さな椅子とテーブルを置くだけで、そこはもうアウトドアリビング……といきたいところですが、なかなかそう上手くはいかないことも。
今回は、一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの筆者が、庭やベランダを快適にする2つのポイントをご紹介します。
問題点1:外から丸見え! 視線が気になってお茶を飲むどころじゃない
庭やベランダも我が家の一部ですから、洗濯物を干すだけではもったいない!椅子とテーブルを置いてくつろぎのスペースにすればアウトドアリビングのように使えますし、朝日の下で朝食を頂けばテラスレストランのような気分が味わえます。天気のいい日はテレワークスペースにして、外の空気を吸いながら仕事をするのもいいですね。
ところが意外と多いのが、庭やベランダに出るとご近所や通行人から丸見えで、お茶なんて飲んでいられないという声。なかには、せっかくウッドデッキやタイルを敷いたのに落ち着かないのでほとんど庭に出ていないという人もいます。
家にいる時間が長くなったことで、これまで以上に外からの視線が気になるようになった人は多いようで、生活関連サービスの「くらしのマーケット」調査によると、ラティス(目隠しフェンス)の取り付けは、昨年比でなんと500%アップ(※2021年2月の予約件数と前年との比較)と大幅に伸びています。
確かに視線を感じながらくつろぐのは、なかなか難しいもの。庭やベランダを活用する際には、まずは外からの視線をチェックしてみましょう。
■外に出て視線をチェック! ラティス、スダレ、スクリーン、シェードなどで目隠しを
小さなベランダにウッドデッキと目隠しフェンスをDIYで取り付けた様子。Amazonで買った2000円程度の折り畳み椅子と、IKEAのミニテーブル、ニトリのクッションで小さなリラックス空間になりました。
家の周囲をゆっくりと歩き、我が家の庭やベランダがどのように見えるかを改めて確認すると、視線を遮るべきポイントが分かります。全て覆わなくても、ポイントだけラティスや植栽、スダレ、スクリーン、シェードなどでさりげなく目隠しすれば、落ち着いた空間が作れます(上画像のDIY詳細はこちら「マンションベランダにDIYでウッドデッキ、1時間で完成」)。
注意したいのが、一般的な木製のラティスは、こまめにお手入れをしないと傷みやすいということ。3年ほどでボロボロになってしまうこともあるので、メンテナンスの手間が少ない素材を選んでおくといいでしょう。また風通しを遮ることがないよう、通気性があるものを選ぶことも大切です。
問題点2:初夏なのに暑すぎる! 驚きのウッドデッキの表面温度
もう1つの問題は、夏が近づくとウッドデッキやタイル、モルタルの上は暑くなり過ぎることです。真夏ならともかく、まだ気持ちのいい季節のはずの5月で既に暑くていられないという声も。その暑さの原因は、太陽の日射熱による蓄熱です。草木が生えた自然の土の上は、直射日光が当たっても水蒸気などの放出で表面温度が上がりにくいのですが、ウッドデッキやタイル、モルタルなど人工物でおおわれた地面は蓄熱しやすく、上にいるともわっとした暑さを感じます。
■真夏の炎天下、ウッドデッキは想像以上に高温
ちなみにこちらの写真が、真夏の炎天下のウッドデッキの表面温度を測った時の様子です。この日の気温は31度だったんですが、なんとウッドデッキの温度は59.8度! ちなみに床暖房の温度は30度程度ですから、いかに暑いかが分かります。
真夏のウッドデッキの表面温度。放射温度計を使って直射日光が当たっている場所の表面温度を測りました(一級建築士事務所 OfficeYuu)
■日陰を作る植栽や屋外用ロールスクリーン、オーニング、タープなどで日よけを
屋外で涼しく過ごす秘訣は、太陽の日射熱を遮ることです。つまり日よけをすること。それだけでも表面温度の上昇をかなり抑えることができます。こちらは先ほどのウッドデッキの日陰部分の表面温度、33.3度でした。
日陰になった部分のウッドデッキの表面温度は33.3度でした(一級建築士事務所 OfficeYuu)
またベランダのフェンスに取り付ける目隠しシェードには遮熱機能を持つものや、表面温度の上昇を防ぐ機能を持つ床材などもありますので、そういったものを利用するのもいいですね。ただしマンションの場合は、ベランダは共用部分ですので、規約を確認することを忘れないようにしましょう。
せっかくの庭やベランダですから上手に利用して、快適な毎日をお過ごしいただければと思います。