夫婦ともに高齢ですが、子どもが独立するまでは働く覚悟です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、47歳で出産し子どもの小学校入学に合わせて住宅購入を考えているという専業主婦の方です。今後のマネープランの考え方について、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談はすべて無料になります)

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これからの住宅購入と教育費、老後のお金について

5000万円の住宅購入は身の丈に合っていますか?


■相談者
わすれんぼうさん
女性/専業主婦/52歳
九州/借家
 
■家族構成
夫(会社員・57歳)、子ども(5歳)
 
■相談内容(原文ママ)
47歳で子どもを授かりました。子どもは現在5歳、夫は57歳で現在、社宅住まいです。子どもが、小学校に入学するのに合わせて住宅購入を予定しています。夫は会社員で60歳以降は6割ほどの収入になることが決まっています。現在、私は専業主婦ですが、来年からパートで働くつもりです。夫婦ともに高齢となりますが、子どもが独立するまでは働く覚悟です。夫婦の年金は合わせて27万円ほどになるかと思います。

夫の退職金(3500万円)を夫婦の老後資金と子どもの教育費の一部に充て、現在の預貯金から3500万円を頭金とし、1500万円15年の住宅ローン返済をする予定です。ただ、年齢的に団信に加入できない可能性があると聞きました。夫の保険(満期300万円)が満期となるので、その分は、新規に生命保険に加入して補うことも考えています。現在の保険は、学資保険(18歳満期400万円)と私の医療保険5000円を含んでいます。子どもの教育費と夫婦の老後の費用を考えた場合、予算5000万円は身の丈に合った金額でしょうか。また、贅沢をしているつもりはありませんが、支出が多いのが気になっています。雑費には日用品代、クリーニング代、新聞代、医療費を含んでいます。貯金(互助積立、持株会を含む)の額は固定し、不足分はボーナスから補っています。率直なご意見をお聞かせいただければ幸いです。
 
■家計収支データ
相談者「わすれんぼう」さんの家計収支データ

相談者「わすれんぼう」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
毎月10万円程を生活費の不足分補てん費用に充てています。100万円を貯金しています。

(2)家計収支について
毎月の支出38万5500円から天引き分(合計11万1000円)を引いた額(27万4500円)を手取り分17万円+ボーナスからの月々約10万円でまかなっています。
 
(3)加入保険について
夫/生命保険(2021年8月満了:満期保険金額300万円、死亡保障600万円、医療特約入院6000円)=毎月の保険料1万6000円
 
妻/がん保険(終身保障、終身払い、入院・通院5000円60日、他に手術、一時金など)=毎月の保険料1800円
医療保険(終身保障、終身払い、入院1万円、他に手術給付金など)=毎月の保険料2200円
生命保険(200万円払い済み、死亡保障400万円)=毎月の保険料なし
 
子ども/
学資保険(18歳満期、満期金400万円)=毎月の保険料2万6000円(2027年までの払込み)
 
(4)食費について
外食と飲み物代が多いのと、しっかり管理できていないためと自覚しています(コロナ前のデータです)。今後はまず外食を減らすつもりです。
 
(5)教育費について
習い事代と幼稚園代。子どもの進路については、小学校は公立に決定しています。中学受験を全く希望していないわけではありませんが、金銭的に難しいのではないかと想像します。大学は国公立を希望しますが、私立文系・理系の可能性もあると考えています。
 
(6)趣味娯楽費について
趣味娯楽費には帰省や旅行の費用も含めています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 住宅購入するなら60歳以降の収支に注意して
アドバイス2 金融資産から生活費の不足分を取り崩しても大丈夫
アドバイス3 団信に加入できなければ、最低限の死亡保障は確保する
 

アドバイス1 住宅購入するなら60歳以降の収支に注意して

給与から貯蓄や保険料も天引きで、毎月の収支の不足分をボーナスから補てんするという家計のため、キャッシュフローがやや複雑になっていますが、データどおりとして、今後の貯蓄の流れ、住宅購入後の収支を考えていくことにします。
 
給与天引きで毎月25万9000円の貯蓄。年間で310万8000円です。ボーナスからは100万円ですから、合計410万8000円。60歳までの3年間で約1230万円です。現在の貯蓄と投資額を加えると約5410万円になります。2年後に住宅購入で頭金3500万円、諸費用が200万円程度かかるとすると、残りは1700万円となります。
 
60歳以降は収入が60%程度になるとのことですから、現在の手取り年収から計算すると、おそらく60歳からは手取り年収が600万円ほどと思われます。
 
一方、支出は、住宅ローンの返済が金利1.5%、毎月返済のみ、返済期間15年で月9万3000円程度になりますから、現在の住居費から2万3000円増えることになります。さらにマンションだと管理費や修繕積立金が発生し、仮に毎月3万円程度とすると、住居費は現在から約5万円程度は増え、毎月の支出は約43万円になります。ご主人の保険料の支払いがなくなり、他の支出を少しずつ見直して、毎月の支出を41万円に抑えることができれば、年間で約500万円の支出となります。
 
収入が減額になっても、年間100万円は貯蓄できます。65歳までの5年間で500万円。先の1700万円に上乗せすると、65歳時点での金融資産は2200万円となります。これに、退職金の3500万円(手取りは3300万円程度に)、今年満期になる保険の300万円、学資保険の400万円を加えると、6200万円となります。
 
これまでと、これ以降にかかるお子さんの教育費1800万円(中学から私立として)を差し引くと、4400万円となり、これが夫婦二人の老後資金となります。ただし、住宅ローンはこの段階で一括繰り上げ返済すると、おそらく800~900万円必要になりますので、それを差し引いた3500万円が老後資金ということになります。実際の生活では、住宅ローンの返済やそれに伴う諸費用、固定資産税、お子さんの教育費はその都度、出ていきますが、試算としては、65歳時点で3500万円ほど残すことができるということになります。試算から頭金はもう少し増やしてもよいかもしれませんが、住宅ローンは予定の1500万円以内に抑えるようにしましょう。
 
ただし、注意していただきたいのは、現在の家計収支の管理の仕方です。60歳までは現状のままでもいいのですが、60歳以降は収入が減る分、社会保険料のほかは必要なものだけ給与天引きにし、毎月の家計のなかで収支が管理できるようにしたほうがいでしょう。それでも年間100万円は貯蓄できるはずですから、ボーナスからの補てんなどは避けるようにしてください。
 

アドバイス2 金融資産から生活費の不足分を取り崩ししても大丈夫

ご主人65歳からの収入は公的年金の月27万円のみとなります。65歳時点でお子さんは18歳。大学進学の年齢です。でも教育費に関しては、計算上ですが、すでに確保されていますので、毎月の家計からの支出はなくなります。住宅ローンも完済していれば、毎月の支出は30万円程度に収まるでしょう。毎月の不足分を貯蓄から取り崩すとして、年間50万円としても貯蓄がゼロになるのは70年かかります。
 
そうしたことを考慮すれば、お子さんの教育費で思いがけない支出があっても対応できるでしょう。また、日頃の家計を必要以上に削減することもないでしょう。ご相談者は支出が多いことを気にされていますが、それぞれの費目で上限を決め、今以上には使わない、予算内に収める、ということに注意していけば、十分でしょう。今後、お子さんのためにお金を使いたいことも増えると思いますが、収支のバランスを崩さず、現在の貯蓄ペース、60歳以降の収支管理と年間100万円の貯蓄、このことを忘れないでいてください。
 

アドバイス3 団信に加入できなければ、最低限の死亡保障は確保する

住宅購入の際に、銀行ローンを利用するには、団体信用生命保険の加入が必要です。病歴がある場合は、ワイド団信といって、条件が緩和されたものもあります。年齢は申込時点で65歳未満、完済時80歳未満など(金融機関によって異なります)の条件がありますが、ご相談者の場合は、どちらもクリアできるはずです。住宅ローンを借りる金融機関に相談するようにしてください。もし、加入できないとすると、「フラット35」の利用になります。また、生命保険が不足することになりますので、死亡保障1000万円の定期保険に加入し、お子さんが成人したら解約する、という方法もあります。
 
いずれにしても、住宅購入が2年後であれば、物件の見学や資金計画などを十分検討してみてください。くれぐれも予算オーバーしないように注意してください。2年後にこだわらなければ、65歳でキャッシュで住宅購入するという選択肢もあります。ローンを組まなければ諸費用が抑えられますから、その分、手元資金を残すこともできるでしょう。
 
お子さんの成長を見守るためにも、ご夫婦ともに健康第一で過ごしてください。現段階での試算では大丈夫ですよ。心配はいりません。
 

相談者「わすれんぼう」さんから寄せられた感想

深野先生からいただいたアドバイスを何度も読み返しております。具体的な数値とすべきことを提示していただいたことで、不安だらけだった将来の展望が見えてきました。アドバイスの最後の先生からの温かいお言葉に夫婦ともども感激するとともに、一番大切なことを再認識いたしました。心より感謝いたします。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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