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「eSIM」はSIMカードと何が違う? メリット・デメリットを確認

iPhoneなどに搭載され、楽天モバイルが対応するなどして注目されるようになった「eSIM(イーシム)」。eSIMは従来のSIMと何が違うのか、それを利用することでどのようなメリットがあるのかを説明します。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

スマートフォンに内蔵されたSIM

スマートフォンに挿入することで通信をできるようにする「SIM」。最近ではMVNOなど「格安スマホ」として知られる低価格の通信サービスが、SIMカードのみでサービスを提供していることから知っている人も増えているのではないでしょうか。
スマートフォンで通信するのに必要なSIM。通常はカード型で、スマートフォンのスロットのサイズに応じたものを挿入して使う

スマートフォンで通信するのに必要なSIM。通常はカード型で、スマートフォンのスロットのサイズに応じたものを挿入して使う

ですがここ最近、「eSIM(イーシム)」という言葉も耳にするようになってきました。実際楽天モバイルはサービス開始当初からeSIMへの対応を打ち出していますし、「povo」「LINEMO」といった新しい料金プランも相次いでeSIMへの対応を打ち出しているようです。

eSIMとは何かといいますと、これは「embedded SIM」の略あり、あらかじめデバイスに組み込まれているSIMのことを指します。SIMといえば小型のICカード型というイメージが強かったと思いますが、そのSIMを端末の中に組み込んでしまったのがeSIMなのです。
eSIMは端末内に組み込まれたSIM。それゆえチップサイズのeSIMが多く、通常見ることはできない

eSIMは端末内に組み込まれたSIM。それゆえチップサイズのeSIMが多く、通常見ることはできない

実際、eSIMしか搭載していないスマートフォン、例えば楽天モバイルの「Rakuten Mini」「Rakuten BIG」「Rakuten Hand」はいずれもSIMカードを挿入するスロットがありません。端末内に組み込まれたeSIMを用いて通信する仕組みなので、SIMスロットが必要ないわけです。
「Rakuten Mini」など楽天モバイルオリジナルのスマートフォンは、eSIMのみを搭載しているためSIMカードを挿入するスロットがない

「Rakuten Mini」など楽天モバイルオリジナルのスマートフォンは、eSIMのみを搭載しているためSIMカードを挿入するスロットがない

そして国内で販売されているスマートフォンで、eSIMに対応している代表的なものとして挙げられるのが、アップルの「iPhone」シリーズとグーグルの「Pixel」シリーズです。

実際iPhoneは、「iPhone XS」シリーズなど2018年に発売されたものであればeSIMと通常のSIMカードの2つが同時に利用できますし、Pixelシリーズであれば2019年の「Pixel 4」シリーズであれば、同様にeSIMとSIMカードの2つが利用可能です。
 

スマホ上の操作だけで通信サービスの利用が可能に

ですがここで気になるのが、eSIMで携帯電話会社をどうやって契約したり、変えたりするのか? ということ。SIMカードの場合、カードを差し替えればその会社の回線で利用可能になりますが、eSIMは物理的に交換することは基本的にできません。

ではどうするのかというと、eSIMに携帯電話会社の情報を、スマートフォンでダウンロードして登録するのです。より具体的に説明しますと、eSIMに対応する通信サービスを契約すると、多くの場合QRコードが発行されるので、スマートフォンのeSIM設定からそのQRコードを読み取り、指示に従って操作していけば使えるようになります。
eSIM

eSIMはスマートフォンから必要な情報をダウンロードして登録する仕組み

それゆえ解約して使わなくなったeSIMは情報を削除すればよく、他の携帯電話会社に乗り換える場合も契約を済ませた後、新しい携帯電話会社のeSIM情報をダウンロードして書き込むだけ。物理的なカードがないのでお店に行ったりSIMカードが届くのを待ったりする必要はなく、スマートフォン上で契約から登録までを全て完結でき、すぐサービスを利用できるというのがeSIMのメリットといえるでしょう。

そうしたことからeSIMはオンライン主体で提供しているサービスとの親和性が非常に高いのです。楽天モバイルがその代表例と言えるでしょうし、povoやLINEMOがeSIMに対応しているというのも、サービスとの相性の良さゆえといえるでしょう。
楽天モバイルは携帯4社の中でいち早くeSIMに対応、オンラインで全てが完結することをアピールしている

楽天モバイルは携帯4社の中でいち早くeSIMに対応、オンラインで全てが完結することをアピールしている

他にもソフトバンクのワイモバイルブランドがeSIMへの対応を打ち出しているほか、MVNOでもインターネットイニシアティブの「IIJmio」が、データ通信専用になりますがeSIM用の料金プランを用意しています。国内でも徐々に、eSIM対応サービスは増えているのです。
 

スマホが使えることが大前提、端末も2台必要に

一方でeSIMにはデメリットもあります。1つは現状、eSIMに対応するプランやサービス自体がまだ少ないこと。特に携帯大手3社のメインブランドはいずれもまだeSIM対応を打ち出していませんし、NTTドコモに至ってはオンライン専用の「ahamo」であってもeSIMには対応していません。

ですが実は総務省がeSIMの導入にとても熱心であり、2021年夏頃を目途として携帯各社に早期にスマートフォンへのeSIMの導入を求めているほか、eSIMへの対応が難しいとされるMVNOが、eSIMを提供できるようにすることも要求しています。そうしたことからそう遠くないうちに、多くのサービスがeSIM対応となる可能性が高いと見られています。
総務省は携帯各社のeSIM導入を積極推進しており、携帯大手には2021年夏頃を目途として早期にeSIMを導入すること、MVNOがeSIMを導入するのに必要な機能を提供することなどを求めている

総務省は携帯各社のeSIM導入を積極推進しており、携帯大手には2021年夏頃を目途として早期にeSIMを導入すること、MVNOがeSIMを導入するのに必要な機能を提供することなどを求めている

デメリットは他にもあります。eSIMを使って通信できるようにするにはスマートフォンを自ら操作する必要があることから、スマートフォンの操作に慣れていない人はむしろeSIMの方が難しく感じてしまうかもしれません。eSIMはオンライン専用プランと同様、スマートフォンに慣れた人向けのものと考えるのが無難でしょう。

そしてもう1つ、注意が必要なのはeSIMを利用するのにもう1台、インターネットに接続できる端末が必要なことです。先にも触れた通り、多くのサービスはeSIMを登録する際QRコードの読み取りが必要になるので、eSIMを登録する端末とは別にQRコードを表示する端末が必要なのです。
eSIM

eSIMの情報登録は基本的にQRコードを用いることから、登録するスマートフォンとは別にQRコードを表示する端末が必要になる

取得したQRコードを印刷できる環境があれば必ずしも2台の端末を用意する必要はないのですが、そうでない場合は基本的にインターネットに接続できる端末がもう1つ必要だということは覚えておいて下さい。

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